紫苑の花
あの日、僕の中で紫苑の花が咲いた。
君の心が傷ついたあの日。君には早くあの日を忘れてほしい。君の心の傷は、あの日を忘れることで少しは治るはずだから。そう考えたから、君の中から僕を消そうと決意した。そして、そのための種はもうまいておいた。これでいいんだ。これでいいはずのに...なんで、僕はこんなに悲しいのだろう。君のためを考えてやったのだから、僕は種をまき終わって嬉しいはずなのに。なんでこんなにも心が空虚になるのだろう。
僕の中に紫苑の花が咲いた。そう、一生あの日を忘れないように、紫苑の花が咲いた。