11…変化
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「カイセイ!」
まぶたを開けるとソアラの顔があった。今にも泣きそうに、顔を自身の両手に埋めた。ソアラの向こうにドクターも見えた。
「ここは……?」
そう言って、まぶしさにカイセイは目を細める。突然ライトが当たったからだった。
「……ふむ。気分はどうだ?」
見知らぬ医師が不思議そうにカイセイの顔を観察する。カイセイが何も言えないでいると、彼は促すように隣にいるドクターをちらっと見た。ドクターが心配そうにのぞき込んだ。
「吐き気や痛みは無いかい?」
カイセイは小さくうなずく。
「では、何か変に感じることはあるかい? 例えば……景色が違って見えるとか」
カイセイは首を振る。二人の医者は顔を見合わせた。
その間をくぐってソアラが再びカイセイの近くに来ると、とたんに目を丸くさせた。
「カイセイ、その眼……」
ソアラは思わずのぞき込んだが、間近で目が合ったので、サッと顔を背けた。何だか恥ずかしかった。
「……何か違うわ」
ドクターはそんなソアラとは逆の方へ顔を背けたカイセイを見て、ひげをこすりながらこっそり笑った。
「君の髪もだよ」
「……?」
カイセイはその意味が分からず、戸惑いの表情を浮かべる。
「これは……何かの影響で一時的に変化したのかもしれない。君の髪の色素が薄くなっているんだ」
「眼の色も!」
ソアラは頬が紅潮させて言うと、そっとカイセイの手に触れた。
「えっと……何色っていうのか……その…」
言葉を詰まらせたソアラの肩を、ドクターが優しく抱く。
「ソアラ……君の記憶の中にある、かつての美しい空の色だ」
ドクターは今後の処置を簡単に説明し、隣にいた医師を紹介した。
「一応、精密検査を頼もう。この名医のジャンが協力してくれる。2日後に。カイセイいいかね?」
少しの間の後、カイセイはこくんとうなずく。ソアラは心配そうにドクターを見上げると、ドクターはソアラの肩をぽんっとたたいた。
「というわけで……ソアラ、地球行きは少し延期だ」
「「!」」
「シェルターの復旧に君の能力が必要だ。それからカイセイ、君も手伝ってくれるな」
二人の顔が輝くのを見て、ドクターは片目を閉じてみせた。
「だから早く元気にならなくちゃな」
ソアラはすかさず付け加える。
「じゃああなた、私の助手ね」
「えー……」
ぶすっとするカイセイにドクターはこっそり耳打ちする。
「さっそくご指名だ。カイセイ、女王様の命令はコワイぞ」
「ちょっとー! 聞こえてるってば!!」
思わず、カイセイは吹き出した。そのままケタケタ笑っている。ソアラとドクターは驚いて顔を見合わせた。
「初めて……笑ったわ」




