BLACK WORLD PART2
PART1を知らなくても関係ない、一話完結ショートストーリー
世界の約20か国が参加しているこのイベント。このイベントには、日本は参加していない。参加できないのだ。しかし、外国諸国から日本が除外されているわけではない。
このイベントは、世界中の注目を浴びている。これは、トーナメント形式で行われている。決勝戦はアメリカ対オーストラリア。日本国民は、一人残らずアメリカを応援していた。
「お互いにここまで勝ち残った一人の戦士です。最後まで気を抜かずにがんばりましょうか。」オーストラリア代表は言った。
「そうですね。どっちが勝っても、恨みっこなしですよ。」アメリカ代表がおどけて言う。
一方その頃、国会議事堂には、衆参両議員が全員緊急召集されていた。もちろん、中心には、生中継されているモニターを一直線に見据えた首相が鎮座している。
「総理、この決着がついたら直々に天皇皇后両陛下にお伝えに行かれるんですよね?」
「ああ。その通りだ。しかし、決勝戦は意外と、短期決戦になるかもしれない。」
イベント会場は極限の緊張感に包まれていた。静寂を破ったのは主催者のルール説明だった。
「決勝戦のルールを説明させていただきます。」
その声とともに、両国代表者の前に5本の白い紐がつるされた。
「勝負は至ってシンプル。先攻後攻を決めて、互いに紐を一本ずつ引いてもらいます。しかし、先攻を勝ち取った者は3本引くことができます。紐を引く順番がカギとなるでしょう。紐の先には1から5までの数字が一つずつ書かれています。その数字がそのまま点数となります。5本のひもを引き終わった時点で獲得点数が多いものが所属する国が優勝です。」
決勝戦は予想以上に簡単なルールで行われるようだ。
「どのように先攻を決めましょうか。ジャンケンでいいですか。」
オーストラリア代表が申し出る。
「そのようにしましょう。」
アメリカ代表が応える。
かくして、オーストラリア代表が先攻を勝ち得た。
一方、国会議事堂にて。
「総理、アメリカが後攻になってしまいましたね。」
「今回のルール上、このようなことは仕方がない。我々は公平な第三者的目線で見守るしかない。」
「そうですね・・・。」
オーストラリア代表が全世界中の注目を集めながら一本目を引く。
「ああっ、2ですか。まぁ1ではないだけいいでしょう。」
アメリカ代表が深い安堵のため息をつく。
「では、私の番ですな。1を引いた時点で、私の負けです。」
そういいながら勢いよく紐を引いた。3だ。
「ふぅ、とりあえず持ちこたえました。次はあなたの番です。」
オーストラリア代表が紐の前に立つ。
「私がここで5の紐を引けばオーストラリアの勝ちです。」
そういうと、紐を掴んで、思いっきり引いた。4だ。
「うーん・・・勝利は逃してしまいました。」
「これで私が5を引けば、アメリカの勝利です。」
すれ違いざまにオーストラリア代表に言った。
世界中が一丸となって、モニター越しにアメリカ代表の一挙動を見守る。日本政府も例外ではない。
アメリカ代表が、緊張した面持ちで2本の紐の前に立つ。一番緊張しているのは、当の本人である。
右の紐に手をかける。一呼吸おいて、一気に白い紐を抜いた。
「勝者ー、8-7で、アメリカぁーーー!」
決着の瞬間だった。見事、極度のプレッシャーの中、5の紐を引き抜いたのだった。
両腕を高く上げるアメリカ代表のもとに、オーストラリア代表が近寄った。
「見事な強運です。完敗致しました。これで潔く引き下がれます。」
「ありがとう。素晴らしい勝負だったよ。」
こうして、アメリカ優勝という結果を残して、そのイベントは幕を閉じた。
天皇皇后両陛下のもとへ、総理大臣が訪れた。
「陛下、アメリカの勝利という結果に終わりました。」
「そうか。これで日本の意見も世界にとおりやすくなる。アメリカには感謝しないと。」
「しかし、本当にいいのでしょうか、陛下。第三次世界大戦を運任せのゲームでやってしまうなんて。」
「良いかどうかは私にもわからない。ただ言えるのは、日本が長年の“戦争放棄”が評価されて、アメリカと同じ権限を持つことが、国際的に承認されたこと。そして、この戦争では、死者が出ないこと。だけだ。」
「その通りですね、陛下。では、わたくしはこれで。」
「報告、ご苦労だった。」
総理は、陛下に背を向けると、備え付けられた足元のワープ装置に乗り、どこかへ消えていった。
科学技術が発達しすぎて、国際的な力の差が明らかになってしまった、遠い未来の話である。
ありがとうございました。




