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最終記録 友へ

国会議事堂前暴動危機の翌日、

日本政府が再び記者会見を開いた。

内容は

先日発表したAED特別法案を撤回し、

AEDで救助された者が主にセクハラ等を理由に

救助した者を訴えた場合は救助妨害罪とする、

救助者保護法案 を国会に

提出すると発表するものであった。


一連の騒動が起きてから初めて政府、社会が

男性側に傾いた瞬間であった。

訴えた側を有罪とする社会のシステムが出来れば

女性にAEDを使った男性が女性から訴えられても

訴えた方が罪を犯してるという形が出来るので

男性側の社会的名誉や信用は守れるだろう。


この政府の発表の後SNS上では政府の判断に

喜びや感謝や安堵を表すポストが男性達の間で

広がった。

一部抜粋


XXXXX  20XX年X月X日


この法律があれば人の命を救って

男の名誉と信用を守れる。最適解じゃないか。



XXXXX  20XX年X月X日


考えた奴天才かよw



XXXXX  20XX年X月X日


今度から真剣にAED使う事考えます



XXXXX  20XX年X月X日


初めて国が男の為に動いたな。



XXXXX  20XX年X月X日


これからはマジで倒れた人見つけたら

AED一秒でも早く使う

俺も命を救う側になるぞ




SNS上のAED使用拒否派男性達や

それに近い思想の男性達の怒りは

沈静化していった。この国はようやく

人の命を救う事にためらう必要のない国へ

変わり始めた。未来に希望が見え始めた。

男性達にとっては。


この法案の発表の後、女性達は

SNS上で情報共有や宣言等を繰り返し

日本各地で職場の無期限ストライキを強行した。


男性達と同じく、女性達も自分達の

権利、自由、尊厳を守る為に立ち上がったのだ。

女性の立場からすれば

性被害を訴えた者が犯罪者扱いされる法案など

到底容認出来なかったのであろう。


本来ストライキは労働組合等を通して

交渉を経てから行う物だが、

今回の女性達の大規模ストライキは

かなり強行的な態度であった。

そして無期限という、女性達の決意と覚悟を

見せつけるものだった。


女性達の集団広域ストライキは特に

医療、福祉、保育の分野に甚大な損害を与えた。

人手不足で治療に悪影響が出たり

子供を預ける事が出来ずに父親が

会社に行けなくなる等の影響が出た。

それ以外の業種も多方面に人手不足や

専門知識を持つ人材の欠勤等で

深刻な被害を受けた。

日本各地でこのような事態が

同時多発的に発生した。

女性達の怒りは日本全土を覆いつくした。


男性達は過酷な環境でも社会を止めない為に

自分達の日常を守り続けた。

人手不足、長期間の残業にも協力して挑んだ。


政府は発表した救助者保護法案を

撤回する様子は無かった。

これを撤回すれば

国会議事堂前暴動危機のような事が

また起こるかもしれない、次は本当に

機動隊と衝突するかも知れないと判断、

または撤回して逆に男性側が

無期限ストライキを強行すれば、

電気ガス水道等のインフレや物流やゴミ収集等

社会の維持に欠かせない業種が停止してしまう。

そうなるよりは女性達がストライキしてる

現状の方がまだマシと判断したのかも知れない。


混沌渦巻く中、

この国は痛みを伴う局面へと進み始めた。

男性達は自分達の権利、自由、尊厳の為に

人手不足等の困難に屈せずに

忍耐の道を選び、社会活動を続けて行った。




以上がこの国で起きた、

通称 AED事変 の詳細である。

これ以後緩やかに社会機能は麻痺。

人手不足、ストライキ中の無賃金による困窮、

それによる犯罪の増加等が連鎖し、

無政府状態へとおちいって行った。


この記録を記す内に分かった事がある。

人は、他人の命よりも自らの権利・保身を

優先する者だと言う事。

そして国は人の権利・保身を守れる社会を

作る事を怠って来たと言う事。


この騒動に関するSNS上のポストで

僕が悪かった 私が悪かった

国民の皆さんごめんなさい と言ったポストは

一度も見なかった。

AEDという命を救う救命具によって国は死んだ。


今我々は無法地帯と化したこの街で廃墟に隠れ、

暴徒達に怯えながら日々を過ごしている。

我々の食料もそのうち底をつきそうだ。


海の向こうの友へこの記録を残す。


どうか君達の国で

同じような悲劇が繰り返されない事を祈る。


20XX年12月25日


名も無き生存者より




記録の全行程を終了。

小説と言う形でネット上に転送する事で

記録の補完計画の完了とする。


友よ、どうかこの記録が

一人でも多くの目に留まり、

未来に向き合う切欠になる事を願う。


そして未来の子供達へ、

君達がこの世に生を受ける頃には、

この無限につづく論争に

終止符が打たれている事を願う。




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