記録1 発端
この物語はフィクションです。
実在する人物、団体とは一切関係ありません
また差別や暴動を
肯定、助長するものではありませんが、
より多くの人が未来に向き合う事を
明確に肯定、助長します
2017年 SNS上に、
「アンケートの結果多くの女性が
男性にAEDを使われたら
セクハラで訴えると答えた」
という内容のポストが浮上した。
その後この投稿は“デマ”だったと判明した。
もう一度 この投稿は“デマ”であった。
この投稿以降、SNS上で
男性は女性にAEDを使わない方がいいという
意見が波紋を広げていく。
ネット上に散らばる記事やコラムには
弁護士等が、仮に訴えられたとしても
棄却される つまり訴えを退けられると
答えていたり、仮に裁判が始まっても
訴えられた男性が負ける事はほぼないと
いう回答も見られるが、それらは全て
男性が訴えられた後の話であり、
男性が女性からセクハラで訴えられた時点で
既に社会的制裁を受けているという現実に
向き合ってはいない。
重要なのは裁判に勝てるかではなく、
訴えられないかである。
男性達は訴えられる事を拒み、
セクハラ容疑者扱いされる事を拒んでいる。
現時点 この国で
AEDを女性に使った男性の
社会的名誉や信用を完全に守る方法は、
存在しない
原作 ゼロイチ
AED事変
-女性へのAED使用拒否による騒動の記録-
記録1 発端
20XX年 SNS上には依然として
男性が女性にAEDを使うリスクに関する
ポストは散見されていた。
その影響か、女性が倒れた場合
AEDを使われない可能性を悲しむポスト、
または男性からAEDを使われる事を
強く拒絶する意思を示すポスト等、
多くの意見が渦巻いていた。
一部抜粋
XXXXX 20XX年X月X日
人の命助けてセクハラ扱いされて
こっちが人生詰むとかマジ意味わからん
女にはAED使わない方が身の為だわw
XXXXX 20XX年X月X日
女の人にAED使わないとかのポスト
ホント悲しい >_<
このポストが拡散されるほど
救われるはずだった命が
救われなくなっちゃうなんて泣
XXXXX 20XX年X月X日
AED男に使われるくらいなら
マジ死んだ方がマシだわ
どさくさにまぎれて性犯罪したいだけだろ
アタシにAED使ったらマジ訴えてやるわ凸
匿名故か顔が見えない故か、
SNS上は絶えず誹謗中傷がうねりを起こし
論争の火種をばら撒いていた。
そんな中ある騒動が起きた。
自身もSNS上で女性にAEDを使わない事を
ポストしていた男性 A氏 は、
路上で女性が倒れた現場近くを歩いていた。
倒れた女性の友達はAEDを近くから
持って来ていたがパニックになっているようで
偶然通りかかった男性A氏に
AEDを使ってくれないかと頼んだ。
男性なら冷静に処置出来ると、または
こういう事は男性が責任を持つべきだという
考えがあったのかも知れない。
A氏はこれを拒否。
A氏
「男がやったらセクハラって
おまえら文句言うだろ 女がやれよ」
女性の友達
「はあ?こんな時に何言ってんの?
人の命がかかってるんですよ!?」
A氏
「こんな時にでも男が人の命を救えない社会に
おまえらがしたんだろうが 知るか」
A氏はそう言って通り過ぎて行った。
その翌日、その一連の場面の動画が
SNSにポストされ、瞬時に拡散された。
その時周囲の見物人、いわゆる野次馬の一人が
動画を撮影していたとみられる。
動画にはA氏が女性を助けず
歩いて通り過ぎていく一部始終も
「男がやったらセクハラって~」
の音声も入っており、何より
A氏の顔がハッキリと映っていた。
その後A氏を薄情者とする誹謗中傷は
ウイルスのようにSNS上を蠢いていき、
個人情報も特定され、彼は
いわゆる『晒し』の身となって行った。
SNSのA氏のアカウントには
大量の苦情や暴言のメッセージが溢れ
誹謗中傷の矛先は彼の家族にまで及び、
ワイドショー等のメディアも
モザイクを顔に加工しながらも
A氏の動画を各社我先にと報道した。
そしてA氏の騒動が拡大していく中、
倒れた女性が助かったのかと言う事実は
SNSからもテレビからも忘れられていった。
数日後 A氏は勤務先の会社から突然
解雇を言い渡された。
世間での騒動が会社の耳にも届き
信用を失ったのであろう。
A氏は気付けば
社会的名誉や信用を失う という
男性が最も避けたい結果の当事者になっていた。
この騒動により、
男性は女性にAEDを使っても、使わなくても
人生を詰む事になるという事例が生まれ、
それはこの国全体に落雷のように駆け巡った。
その後A氏は全てを失ったかに見えたが、
意外な行動を起こしていくのだった。
次項につづく




