第11話 サクラちゃんの事情
「私だって自分から望んで魔法少女続けてるわけじゃないのに……」
おーっと、いつもと違う展開だー!
サクラちゃんどうしたんだー!
「やっぱりあのとき断ればよかったのかな……」
あーっと、サクラちゃんの回想が強制でスタートしてしまったぁぁ……ぁ……ぁ…………。
※以下、サクラちゃんの回想。
私が魔法少女になったのは中学3年に上がってすぐの頃だ。
中学2年の終わり頃、土手を1人で歩いて下校しているときに声をかけられたのが始まりだった。
「そこの君、ちょっといいカナ?」
「はい、なんですか?」
急に話しかけてきた男は白いスーツを着ていて、靴にシルクハットに革手袋まで全身真っ白だった。
「僕正義協会の者なんだけドネ」
その男が自分の胸元を指差すと、そこには金色にピカピカ光っている正義協会関係者を印すバッジが付けられていた。
「君、魔法少女にならないカイ?」
「え! 私がですか!?」
あまりにも突飛な話だったので私はとても驚いてしまった。
「魔法少女は知ってるヨネ?」
「はい、知ってますけど……」
魔法少女は私達が住んでいるこの正悪町を怪人から守っている正義協会のヒロインだ。
彼女達は可愛い衣装を纏い魔法道具で戦っている。そして男性ファンが多く町のアイドル的存在だ。
そんな存在に私が……。
「君、桃色の魔法少女の才能があるんだヨネ。やってみる気ないカナ? ほら見てコレ」
男がポケットから桃色の宝石を取り出すと少し光っていた。そしてそれを私に近づけるとさらに光りが強くなった。
「え……」
「ほら、やっぱり君には魔法少女の才能があるんダヨ。フフフ、どうカナ? やってみナイ?」
「でも普通魔法少女って小学生から中学生くらいまでですよね? 私もうすぐ中学3年なんですけど……」
この時期で魔法少女になるのはあまりにも遅い気がする……。
「だったら1年だけでいいからやってみよウヨ。中学生の間だけでいいかラサ。もちろん学校優先で空いた時間だけでいいンダ。それにお給料も出るんダヨ」
男がさっきよりも必死に頼み込んできたので、正義協会の人だとしても少し怪しいと感じた。
でもお金が貰えるというのは私にとってはとてもありがたい。
「……それ法律とか大丈夫なんですか?」
「平気ダヨ。この町だけの特例だけドネ」
「…………」
私の家は貧乏で借金まである。
父は私が中学生になったときに亡くなり、母は毎日パートで忙しい。双子の弟2人は小学2年生で妹は来月から小学生だ。あの子達には家が貧乏だからという理由で不憫な目に遭ってほしくはない。
私は高校生になったらバイトをするつもりだったけれど、もし魔法少女になれば1年早くお金を稼ぐことができる。それにバイトなんかよりも多くお金が手に入るかもしれない……。
少し迷ったけれど、私は魔法少女になることにした。
「……1年だけなら」
「フフ、じゃあ早速ここにサインしテネ」
「え、今ですか?」
「もちろん、善は急げダヨ。君専用の魔法道具や服なんかも先に用意しておく必要があるかラネ。サインしてすぐ明日から魔法少女ってわけにはいかなイヨ」
確かにそうかもしれない……。
「……親の同意とかは」
「さっきも言ったけど特例案件だかラネ。逆に親の同意とか判子とかは必要ないンダ。君がサインしてくれるだけで十分ダヨ。もちろん詐欺なんかじゃないから契約書はきちんと読んでもらって構わなイヨ」
少し不安だったので契約書をしっかり読んだけれど、詐欺などではなさそうだった。あまり難しいことは書かれておらず、中学生の私でも理解できる内容だったからだ。
私のことを事前に調べていたのだろうか、契約書には最後に『今日から1年間の契約』と書かれていた。
そして私はサインをしてしまった。
「フフフ、これで君は4年間魔法少女ダヨ」
「え! 4年間!?」
男が契約書をもう一度私に見せると1の数字が光りだし4に変わっていった。
「こ、こんなの聞いてない!!」
「大丈夫ダヨ。君なら4年間魔法少女を続けられルサ。フフフ、これで4年間は桃色に適合する子を探す必要がなくなっタネ。フフフフフ……」
そう言い残すと、男は上空に飛び跳ね雲の中へ消えていってしまった。
それから2年間私は魔法少女を続けている。その間あの男には一度も会っていない。
あの男の正体が気になり正義協会の人に話を聞いてみると、唯一あの男だけが力に適合する人間を見つけることができるのだと言っていた。ダリアちゃんにヒマワリちゃん、バクレンジャーの人達、黒バイ仮面さんもあの男にスカウトされたのだという。
ただ正義協会もあの男の素性を知っている者はおらず、たまに気まぐれで正義協会本部や正義協会アジトに顔を出しているらしい。
一体何者なのだろうか……。
第11話完!




