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絶対にこいつを倒す。
その覚悟は決まったものの、だからと言ってピンチには違いなかった。
スキルが効かない。そんな想定してもなかった。
でもリズを助けるにはどうにかするしかない。
俺にはこの力しかないんだ。
観察しろ。もっと深くまで読み取るんだ。
攻撃パターンは分かった。今度はあいつの生態を調べろ。
早く。リズが戦える内に。
俺はロックワームを見つめ続けた。
尻尾はダメだ。なら頭部。でも頭のどこを狙えばいい?
あれも岩の塊だ。一つ削ぎ落としたところで大したダメージは与えられない。
一撃で倒すしかないんだ。
どこだ? どこが弱点だ?
考えろ。考えるんだ。
するとロックワームが体の一部を飛ばしてリズを攻撃してきた。
リズが避けると背後にいる俺にそれが飛んでくる。
なんとか屈んで避けると後ろの壁に岩が突き刺さった。
当たったら間違いなく死ぬ。
でも問題はそこじゃない。
俺は目を見開いた。
あいつは自分の体の一部を切り離せる。
ならどこかが引き留めてもいるはずだ。
どこだ? それを探せ!
俺はロックワームを凝視し、そして見つけた。
大きな口を開けてリズを捕食しようとした一瞬、口内にあるクリスタルのような宝石がチラリと見えた。
あれだ! あれがあいつの力の源だ!
極まれに天然石が魔力を持つという話を聞いたことがある。魔力を使って体を維持してるなら切り離しができることも納得できる。
でもあれに触れるには口の中に飛び込まないといけない。
刀のような鋭い牙をすり抜けてあれに触れるのは至難の業だ。
触れる前に噛み砕かれれば死ぬことは免れない。
でもやるしかなかった。
今もリズは戦い続け、同時に消耗し続けている。血を流しながらも健気に攻撃を続けるリズを目の前にして怖いなんて言ってられない。
俺は拳をぎゅっと握った。
「……やってやる。やってるやるよ!」




