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 まるで蟻とムカデの戦いだ。

 リズとロックワームの体格差はそれくらいあった。

「はあっ!」

 小さなリズが素早く巨大なロックワームに蹴りを放った。岩の体が衝撃で少し下がるのを見て、リズの力強さを再確認する。

 だけど体の一部が軽く割れただけでロックワームにダメージが入っているようには見えなかった。

『グロオッ!』

 ロックワームはすぐさま体をよじらせてリズを弾き飛ばそうとする。

 リズは攻撃が届く僅か前に回避して、距離を取っていた。

 安心したのも束の間で、ロックワームの尻尾が鞭みたいにしなってリズを襲う。

 リズがジャンプで避けるとさっきまで居た場所の岩壁が粉々に砕けた。

 あんなのを喰らったら一溜まりもない。

 だけど長い体は弱点にもなる。

 その分触れやすいはずだ。

 でもあれだけ激しく動いていたら難しい。右手を出す前に俺の体は粉砕されるだろう。

 尻尾を動かさないタイミングを見つけないと。

「そのまま攻め続けられるっ!?」

「やってみます!」

 リズは素早く踏み込み、ロックワームの攻撃をかいくぐった。

 そして再び蹴りを放つ。今度も少し押せただけでダメージはほとんどなさそうだ。

 ロックワームは鬱陶しそうに大きな口を開けてリズを捕食しようとするけど、口を閉じてもなにかが食べられることはなかった。

 リズは既に距離を取り、そして再び攻撃に移る。

 その切り替えがあまりに早いからロックワームは俺に意識を向ける暇もなく、ひたすらリズを狙って攻撃していた。

 おかげで攻撃パターンはかなり分かってきた。

 そして狙うべき攻撃もだ。

 噛み付き。

 あの時だけは尻尾が動かない。

 その時背後から近づければ触るだけなら可能なはずだ。

 それをするには……。

「リズ! あいつを反対向きにすることはできる!?」

「反対……。分かりました!」

 すぐさまリズはロックワームの周辺をグルグルと回り始めた。

 リズを追うためにロックワームも回転していく。

 そして振り向く形になってから再びリズは攻撃を開始した。

 よし。これならあいつはこっちに気づかない。

 あとは噛み付き攻撃を待てば。

 体当たり。尻尾でのなぎ払い。叩き付け。体を震わし、そして、噛み付き。

 今だッ!

 俺は全力でロックワームに向かって走った。

 ロックワームは攻撃が外れ、リズを探して上を向いている。

 あの体勢からじゃこっちは見えない。

 触れる!

「いっけえええええっ!」

 俺は右手を伸ばしてロックワームに飛びついた。

 そして触れると同時に収納。

「勝った!」

 そう安堵した瞬間だった。

 俺は目を見開いた。

 たしかに収納はできた。

 でもそれはロックワームを形成する尻尾の一部だけだった。

 他の部分はそのまま残っている。

「なっ!? そんな……っ!?」

 作戦の失敗を悟ると、次にロックワームがこちらに振り向くのが見えた。

 飛びついたせいで体勢は前のめりになっている。

 体の一部を失ったロックワームは明らかに怒っていた。

『グロロロロロッ!』

 ロックワームは尻尾を振って俺を弾き飛ばそうとする。

「やばっ!」

 俺はなんとか後ろに跳んで回避を試みた。

 鼻先に大質量の岩がかすめていく。

 どうにか回避できた。

 そう思った矢先だった。

 遅れて尾を振った時に砕けた岩の破片が襲い掛かる。

 俺は右手を伸ばしてなんとか岩の破片を収納するよう試みるが、全ては無理だった。

「がっ!」

 右手をすり抜けたいくつかの岩の破片は俺の軟弱な体に突き刺さった。


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