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『ロックワーム』

 全身岩の体をしたワーム系のモンスター。

 ヘビのような体をしているが、よく見ると小さな足がたくさん生えていてムカデに近い印象だった。

 岩山に生息し、主食は岩だけど他の生き物も補食する。

 縄張り意識が強く、侵入者には容赦なく攻撃する気性の持ち主。

 今は僕達のことを観察しているのか、奥の方で動きながらこちらを伺っていた。

 ドゴン洞窟に来る前、マヤに教えられた情報が脳裏を駆け巡る。加えてこう言われていた。

「ロックワームのレベル30以上の冒険者じゃないと受注できない強敵です。最近目撃例が多いみたいですけどソーコさんのレベルは精々10前後。出会っても絶対に戦わないでください。死にますよ」

 最後の一言がやけに耳の奥に残っていた。

 ただ出会うまではどうにかなるだろうとも思っていた。いくら強くても相手はワーム。それより上の種族はたくさんいる。

 中級者クラスのモンスターならなんとかなるはずだ。

 だけどそれはただの慢心だった。

 サイズ感としては全長十メートルほどの長さで自由自在に動く大型のSUV車がたくさん連結しているみたいだ。

 圧倒的な存在感に強者の風格。

 おそらくここら一体のヌシだろう。

 ロックワームの周辺には敗北したと思われるパーティーの残骸が生々しく残っていた。

 人の腕が埋まっているのを見て思わず吐き気を催す中、俺は悩んでいた。

 今から後ろのローリングロックを収納して逃げることはできる。でもこんな大物を易々見逃していいんだろうか。

 ロックワームの体は特別製で頑丈な鉱石でできている。素材は武器や防具に引っ張りだこだ。

 これだけのサイズ。一千万は堅い。一気にカネを稼ぐチャンスだ。

 ……でも。

 俺はリズをチラリと見た。

 基本的に戦うのはリズだ。あんな化け物を一人で相手にするなんて正気の沙汰じゃない。

「リズ……」

「やりましょう。ソーコさん」

 俺が尋ねる前にリズは答えた。

「このペースだとアメリアに辿り着きません。これはむしろチャンスです」

 リズは俺と同じことを考えていた。でもチャンスは同時にピンチでもある。

「……無理そうだったらすぐに退こう。後ろのローリングロックはいつでも収納できるから」

 リズは真剣な顔で剣を構えた。

「はい!」

 こんな強大な敵を前にしても戦うって選択肢があるリズはすごい。

 同時に前までなら俺も怖くなったらすぐ逃げ出してた。大型モンスターが出たら物陰に隠れて怯えている。

 それが俺だった。

 今だって怖いし逃げたい。でもそうしないはリズがいるからだ。

 この子を一人残して逃げたら俺はもう生きていけないだろう。

 俺は覚悟を決め、小さく息を吐いた。

「なんとか隙を作ってくれ! そしたら俺がなんとかする!」

「お願いします!」

 そう言うとリズはロックワームに向かって走りだした。


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