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マーティアに戻った俺は早速ギルド本部に向かった。
そこでクエストの成功報告とゴブリンのレア素材をカネに変えてもらう。
瓶詰めした髄液とゴブリンソルジャーの剣を見せるとマヤは驚いていた。
「本当に手に入れたんですね。えっと、ゴブリンの髄液のレートはっと…………。この瓶一つで四十万ゴールドですから、四つ分で百六十万ですね」
想像以上の大金が手に入り、俺とリズは顔を見合って喜んだ。
だけどすぐ現実がやってくる。
「この前のと合わせて二百万か……」
大金だけどまだ三千万の十分の一にも到達していない。
どんどんクエストをクリアしていかないとアメリアを取り戻すなんて夢の又夢だ。
「そうだ。またレベルが上がったんだ。今度は7に。受けられるクエストも増えるよね?」
「そうですけど、レベルが上がると難易度や危険度も上がりますよ?」
「でも報酬も上がる。レアアイテムの価値も。だろ?」
「まあ、はい」
マヤは俺を心配してくれてるらしく、小さく嘆息する。
「大丈夫なんですか? こんなペースでやって。お金が必要なのは分かりますけど、無茶すると危険ですよ?」
俺は苦笑した。
「まあ、そうなんだけどさ。多分俺はもっと早くこうするべきだったんだ。がんばって、力を付けて、強くなる。でもそれをしてこなかった。逃げてたんだよ」
俺は自分の右手を見つめた。
「スキル自体はずっとあったのに、俺はこの力を使いこなせなかった。強くなったり、試したりするチャンスはいくらでもあったのにな。怖いからって誰かの後ろに隠れ続けてたんだ。ダメだよな。そりゃあ追放もされるか」
俺は開いていた右手をぎゅっと握った。
喜んでくれた村人達の顔が浮かぶ。
「でも嬉しかったんだ。誰かの役に立てるのが。だから怖いけど今はやりたいって気持ちの方が強い。この気持ちがある間に場数を踏んでおきたいんだ」
フッと笑うと俺はリズを見つめた。
「それにリズもいるしね」
「ソーコさん……。はい。一緒にがんばりましょう!」
リズはかわいらしくはにかんだ。
「うん。頼りにしてるよ」
俺達を見ていたマヤはやれやれとかぶりを振った。
「随分と信頼しあってますね。まあ、やる気は伝わりました。できるだけ報奨金が高くて、且つ素材が高価なクエストを探してあげますよ」
「ありがとう」
「どういたしまして。あ。そうだ。ゴブリンソルジャーが持ってた剣はどうしますか? 五万ゴールドくらいにはなりますけど」
「五万か……」
正直もっとすごい業物だったらと期待してたけど、大した金額にはならないみたいだ。
俺はリズをチラリと見た。
「じゃあ、リズにあげるよ」
「え? いいんですか?」
驚くリズに俺は頷いた。
「うん。素手のリズも強いけど、武器があった方が戦いやすいでしょ?」
「剣ですか……。使ったことはありませんが、それがソーコさんの為になるならがんばって使いこなしてみせます」
こうしてリズは新たに剣を手に入れた。
そして俺達は息つく間もなく次のクエストを受注した。




