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俺達は穀物庫へと急いだ。
するとさっきまで閉まっていたはずの扉が開いている。
近くには木製の閂が切り落とされていた。
俺とリズが中に入ると先程戦っていたゴブリンよりも一回り大きい剣を持ったゴブリンがこちらを振り向いた。
ゴブリンソルジャー。
通常のゴブリンより強い上位種の一つだ。
「やっぱりあいつらは囮か」
通りで逃げないわけだ。逃げたら殺されるなら戦うしかない。
ゴブリンソルジャーは俺達を見て怒っていた。
『ギャゴオオウッ!』
その迫力に押されながらも俺は笑った。
「はっ。なにもないってか?」
そう。穀物庫の中身は空だった。
中にある食糧は見張りの前に俺がスキルで収納したからだ。
ゴブリン退治も大事だけど、一番大事なのは食糧を守ること。だから先に移しておいた。
ざまあみろと言いたいところだけど、予想外に強い敵が出てきた。
でもクエストを受けてたらこういうことはよくある。相手は自然だ。いつも狙った相手ばかりと戦えるわけじゃない。
普通は予想外の強敵は追い払ったり、逃げたりする。
だけど今の俺には好都合だった。
「あの剣とでかい体から取れるレアアイテムはカネになる。逃がさないぞ」
なんて口では言ってみるけど、俺の手足は震えていた。
それを見てゴブリンソルジャーが飛び掛かってくる。
『ギャゴッ!』
「ひいっ!」
尻餅をついた俺の足下をゴブリンソルジャーの剣が切り裂く。
当たっていたら死んでいた。
そう思うと血の気が引いた。
やばい。やっぱりここは逃げた方が――
そう考えた時だった。
「はあっ!」
リズの飛び蹴りがゴブリンソルジャーに放たれる。
『ギャッ!』
ゴブリンソルジャーは後方に飛ばされた。
着地するとリズは心配そうに振り返る。
「ソーコさん! 大丈夫ですか!?」
リズの声を聞いて俺はようやく落ち着いた。
「あ、うん……」
危なかった。ちょっとなにかあるとびびっちまう。
そもそも俺のスキルは戦闘用じゃないから、咄嗟の時には無力だった。
使えるとしたら相手の隙をついた時か、無力化した時だけ。
今はリズに任せよう。
「あいつ強そうだけど、いける?」
「大丈夫です。ゴブリンならよく里から追い払ってましたから」
マジ? ゴブリンってそんなネズミみたいな感覚なの?
「じゃ、じゃあ任せる。俺も隙が見えたら加勢するから」
「はい!」




