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あれから三日が経った。
今日も俺達は草原で小さな角を持つツノネズミを追いかけてた。
リズが追い詰め、待ち構えていた俺がツノネズミに手を伸ばす。
この連携も随分上手くなっていた。
一々合図を出さなくてもリズは俺を察して動いてくれる。
ツノネズミを収納すると俺は一息ついた。
「ふう。この辺りのモンスターは大体アイテム化できたな」
ステータスを表示させるとさっきのツノネズミから取れる素材が加わっていた。
『ネズミの前歯』『小さな角』そしてレアアイテムである『小動物の心臓』だ。
小動物の心臓は煮込んで発酵させると珍味になるらしい。あんまり食べたくはないけどマニアの間じゃ人気があるそうだ。
理解はできないけど一つ一万ゴールドで取引される代物らしい。
これが四つあった。
他にもレアアイテムが並んでいる。
「全部合わせたらいくらになるんだろ……。でも九十日で三千万だから全然足りなそうだな……」
リズはニコリと微笑んだ。
「ですけどソーコさんは随分動きが素早くなりましたよ」
「うーん。多分スピードは変わってないけどモンスターの行動をある程度予想できるようにはなったからかな。あと体力がついてきてパッと動けるようにはなったかも」
ギルドにいる時、俺はみんな後ろでずっとモンスターの動きを観察していた。
モンスターにはいくつか独自の行動パターンがある。だからそれを知ればある程度はどう動くか分かるんだ。
でも実際にそれを予想して動いてみても体がついてこなかった。
テレビで野球選手がど真ん中の速球を空振りしてるのを見て笑ってたら、バッティングセンターで120キロの球すらまともに打てないようなもんだ。
実戦じゃ足が動かない。手が萎縮し、頭で考えている間にチャンスを逃す。
その遅れがこの三日で随分なくなっていた。
経験値も増えてるみたいだし、なんか順調だ。
皮肉なことにギルドへ所属していた時より今の方が冒険者っぽいことをしていた。
するとまた俺の頭の上にプレートが現れた。
『おめでとうございます。レベルが5に上がりました』
「お。またか。今度は結構かかったな」
この三日で2だったレベルが5にまで上がった。
クエストを受けるにはレベルが高いに越したことはない。
大抵のクエストにはレベルで制限がされているからだ。
されてないのは安くて簡単なものばかり。
だからレベルが上がると嬉しかった。
これでまた受けられる依頼が増える。
俺は周囲を見渡した。
「もうほとんどモンスターもいなくなったな」
狩り尽くしたは言い過ぎだけど、この三日でモンスター達も警戒して姿を現さなくなっている。
アイテムをゲットするペースも遅くなってきた。
それにここのモンスターは弱くてレアアイテムさえ大した値段が付かない。
この草原だけで三ヶ月以内に三千万も稼ぐなんて到底無理だ。
もっと別の場所に行かないと。
森や川、あるいはダンジョンと強いモンスターがいるダンジョンにだ。
危険だからあんまり行きたくないけど。
だってモンスターって怖いんだよ。
クマみたいなのがゴロゴロいるんだぞ。
普通そんなところに行きたくなんてない。
「とりあえず納品しに戻ろっか」
俺がそう言うとリズは可愛らしく笑った。
「はい」




