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ママがいなくなると俺の口から大きな溜息が出る。
啖呵を切ったものの、三千万は大金だ。
当然そんな大金稼いだことないし、稼ぐ方法も分からない。
あっちの世界だったら宝くじでも買ってただろうな。あとは競馬とか。
結局当たらずその日を迎えていたに違いない。
それくらい俺にはカネを稼ぐ能力がなかった。
あったら倉庫でなんて働いていない、
どうしようか悩んでいる俺を見てアメリアは眉をひそめた。
「あんた、正気なの?」
もっともな質問だった。
俺が俺を見てもそう言うだろう。
「どうだろうな。なんていうか、最近自棄気味なんだ。この世界にむかついてるっていうか。俺自身に苛ついてるというか」
「意味が分からないんだけど」
「だろうね。でもどうにかしてみるよ」
「どうにかって……」
「リズのためだ。がんばらないとな」
リズの名前を聞いてアメリアは不安そうにした。
「……あの子はどこにいるの?」
「外で待ってる。次来る時は会わせてあげるよ。君を買ってね」
するとアメリアは儚げに笑って俯いた。
「そう。無理だとは思うけどあの子には会いたいし、期待しないで待ってるわ」
昔から期待されると失敗ばかりの俺としては正直救われた。
余計なプレッシャーがかかるといつも緊張して余計なミスをしちゃうんだよな。
いや、今回は絶対助け出すけど。
アメリアはドアがあった場所を指差した。
「あと、あれちゃんと直してね。ここで着替えるんだから」
「……はい」
俺は部屋から出る時、ドアは元に戻した。
「じゃあ、またね」
アメリアは軽く目を見開き、可愛らしく微笑した。
「そうね。また」




