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「はあ? あんたなに言ってるのよ?」

 アメリアは目を丸くして驚いていた。

 ママは呆れながら煙草を吹かし、煙を泳がせた。

「聞いてないのかい? こいつは客を取らない。というか取れないんだよ」

「客じゃない」

「あん?」

「文字通り俺が買うんだ。アメリアの所有者になってやる。そうすればどうしようが俺の勝手だろ!」

「はっ。なにを言い出すかと思えば」

 ママは苦笑し、物憂げにアメリアを見つめた。

 俺はそんなママの目を見続ける。

 ママは大きく嘆息した。

「馬鹿な男もいたもんだねぇ。でもそういうのは嫌いじゃないよ。こっちも裏家業だからね。掟は破ってなんぼだ」

「じゃあ――」

「三千万」

「…………は?」

「三千万用意できたら売ってやろう。期限は三ヶ月」

 なに言ってるんだ? 三千万って立派な家が建つ値段だぞ。

 しかも三ヶ月って。そんな短期間にそれほどまでの大金を稼げるわけがない。

 無茶苦茶だ。

「た、高すぎるだろ! 相場は三百とかそれくらいのはずだ! それに三ヶ月って……。いくらなんでも短すぎる」

「普通の獣人ならそうだが、この子は踊り子だ。それに愛人にしたいって客も大勢いる。さっき来た奴なんて二千万出すって言ってたよ。だが断った。だから三千万だ。それだけ出せば持っていってもいいよ。無理なら他の客を探す。三千万払ってもいいって客をね」

「そんな大金……」

 今の俺は実質無職。よくて日雇いだ。

 そんな俺に大金を用意するのは到底不可能だった。

 用意できるわけないだろ。

 そう言いかけた時だった。

 俺は前とは違うことを思い出す。

 常識で考えれば絶対に無理だけど、今の俺にはスキルがある。

 レベルの上がった倉庫。

 これを上手く使えばなんとかならないか?

 ほら、えっと、どうにかしてさ。

 はっきりとしたやり方は思いつかないけど、それでも諦めたくなかった。

「……用意すればいいんだな?」

 ママはあからさまに眉をひそめた。

「あてがあるのかい?」

「……正直ない。でもなんとかやってみる」

 実際そうだった。妙案なんてない。

 でもこのままじゃイヤだった。

 ママは笑いを押し殺した。

「ククク。見たところあんたにそんな大金を用意できるとは到底思えないけどねえ。まあ、でもいいさ。それだけもらえれば十分だ。精々がんばりな」

 そう言うとママはドアから出て行き、そしてすぐ戻って来た。

「そうだ。どうやったかは知らないけど、ドアを直しておいてくれよ。それとあんたのことはセキュリティーに報告しておく。もしその子を盗みだそうとまた侵入したら、今度は殺すからね。欲しけりゃカネを用意してくるんだ。分かったかい?」

「……ああ」

 ママはフッと笑うと通路を歩いて行った。

「鍵を開けておくから部屋に戻りな。マリアが探してたよ」

 そう言うとママはどこかに去って行った。


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