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 もしアメリアが見つかったら助けるためにはお金がいる。

 それも大金が。

 そんなあては微塵もなかったけど、とりあえずここ数日の飯代くらいは確保しないといけない。

 でないとアメリアはおろか、リズさえも救うことはできなかった。

 ギルド本部に辿り着くと俺はすぐさまマヤのところに向かった。

 マヤは俺を見つけると笑顔になった。

「お疲れ様です。リンゴロの実は集まりましたか?」

「うん。なんとか」

「それはなによりです。あれ? その子は?」

 マヤさんは不思議そうにして俺の後ろに隠れるリズを覗いた。

「あはは……。まあ、色々あってさ。実はどうしたらいい?」

「え? あ。ちょっと待っててください。ボックス持ってきますから」

 マヤはカウンターの奥に行くとしばらくして大きな木箱を持ってきた。

「よいしょっと。ここにお願いします」

「分かった」

 俺は右手を前に出し、スキルを発動させる。

 すると右手からリンゴロの実がごろごろ出てきて箱がいっぱいになった。

 それを見てリズは驚いた。

「すごい……。魔法ですか?」

「スキルだよ。大したもんじゃないけどな」

「でもすごく便利そうです」

「便利は便利だけどさ。やっぱり戦えないからハズレなんだと思う」

 自分で言ってて虚しくなった。

「そんなことないですよ。立派なスキルだと思います」

「あはは……。ありがとう」

 褒められると満更でもない。

 すると箱いっぱいのリンゴロの実を前にマヤは苦笑する。

「えっと、失礼ですけどこれって本当に二百個あるんですか?」

「え? 誤魔化してなんてないよ。なんなら証拠見せようか?」

「そんなことできるんですか?」

「うん。こうして一度収納して」

 俺はリンゴロの実を再び倉庫に戻した。

「そしてステータスを出すと。ほら」

「あ。本当だ。二百って書いてある」

 ステータスのスキルの欄には倉庫に入っているアイテムが表示され、そこには数も示される。

 だからわざわざ数えなくてもすぐに何個か分かった。

 マヤは感心していた。

「これ、買い物とかで便利そうですね」

「まあね。家に帰ったらまだ残りがあったとかはないな。ここに入れとけば在庫は分かるし、なんでか腐らないから」

「へえ。便利。あれ? 魔犬なんて倒したんですか?」

「え? なんで?」

「だってほら。ここにあるじゃないですか。『魔犬の牙』が」

 マヤが指さした先には見覚えのないアイテムが表示されていた。

 たしかに魔犬の牙と書いてある。それが六つあった。

「あれ? いつの間に」

「あ。『魔犬の爪』も『魔犬の毛皮』もある」

 するとマヤは急に目を丸くした。

「こ、ここに『魔犬の眼球』って書いてありますよ!」

「あー。あるな。それが?」

「それがって! レアアイテムですよ! たしか魔犬を生け捕りにすることでしか手に入れられないから市場にほとんど流通してないんです!」

「……マジ?」

「マジです」

「もしかしてお高い?」

「そりゃあもう。魔法使いの装備に付ける装飾品として人気があるんです。最近納品があったから覚えてます。ええと、ちょっと待ってくださいよ」

 マヤはなにやら資料を漁りだした。そしてなにか見つける。

「あった。ほら! この依頼を見てください! 魔犬の眼球二つで八十万ゴールドですよ!」

「八十万! ウソだろ!?」

「本当です。それだけレアってことですよ」

「マジかよ……。でもそんなもんがなんで倉庫に?」

 するとマヤは俺を怪しんだ。

「これ。盗品じゃないですよね?」

「んなわけあるか。俺に盗みなんてする度胸ないよ」

「ですよね。見つかったら戦えないからボコボコにされるでしょうし」

「そうそう」

 頷いてて虚しいが、ひょろっとした弱そうな奴でも戦闘スキルや魔法が使えたりする世界だ。

 もし相手が強かったら下手すりゃ殺される。

 そんなんだから誰のポケットにも手を突っ込みたくない。

 マヤは腕を組んで唸った。

「魔犬の眼球が六つもなんて……。こんなの見たこともありませんよ……。だけど引く手あまただからなぁ。ちょっと依頼票を整理しますね」

 マヤは依頼の書かれた紙をいくつか取り出し、カウンターに並べた。

「えっと、これが八十万。こっちが七十五万。これなんて百万ですよ。合計で二五五万ゴールド。すごい。普通の人の年収分くらいある……」

 二五五万ゴールド。

 そんな大金は久々に見えた。

 マヤは恐る恐る顔を上げた。

「ど、どうします? 依頼受けて即納品しますか?」

「ど、どうしたらいい?」

「そんなの私も分かりませんよ~」

 突然のことに困惑する俺達。

 当たり前だ。

 普段は高くても一件二万ゴールドくらいの細かい商売をやってきた。

 そんな俺にいきなり二百万オーバーなんて手に余る。

「……と、とりあえず……保留で……」

「……そうしておきましょう。じゃあリンゴロの実だけ精算しますね」

「うん。頼むよ……」

 俺はマヤから八千ゴールドだけ受け取り、リズと共にギルド本部をあとにした。

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