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しばらく歩くとリズは俺に謝った。
「すいません……。守ってもらっちゃって……」
どうやらさっきのコールに絡まれたのが気になっていたらしい。
人間の悪意を目の当たりにしたら不安になるのも当たり前だ。
「気にしなくていいよ。これも主人の勤めだから」
なんて少しはそれらしいことを言ってみる。
「ソーコさん……。ありがとうございます」
リズは嬉しそうにはにかんだ。
笑顔が眩しい。
普段こんな笑顔に触れてないから見てるとなんだか恥ずかしくなった。
それから近くのショップでリボンのついたボーラーハットとかいう帽子を買ってリズに渡した。
リズは被るとくるりと回った。
「変じゃないですか?」
変どころかすごくかわいい。
「いや。むしろ似合ってるよ」
リズは嬉しそうに微笑んだ。
「ありがとうございます。大切にしますね」
「安物だけどね」
「関係ありませんよ。ソーコさんが買ってくださったものですから」
どうやら喜んでくれたみたいだ。
それについては大変嬉しい。
だけど俺の財布はかなり軽くなってしまった。
安いと言っても服は結構カネがかかる。
まずは納品に行かないと。
昨日は色々あって行けなかったからな。
「これで街を歩いてもそこまで目立たないかな。尻尾も隠してるし」
「はい。ちょっと窮屈ですけど」
会った時は尻尾も出していたけど、街を歩くために中にしまってもらった。
ぱっと見獸人には見えない。
ただやっぱり首輪が目立つ。
これは奴隷の証拠だからだ。
特にリズは可愛いから男からじろじろ見られる。
だけどそれも首輪を見つけると嫌悪に変わった。
「ちっ。獣人かよ」
なにも悪くないのにリズは俯いていた。
俺はリズの前に出た。
「俺の後ろにいたらいい」
「ソーコさん……。ありがとうございます」
嬉しそうに笑うリズを見て俺まで嬉しくなった。
それから俺はリズを守るように道行く男達を睨みながらギルド本部を目指した。




