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疲れが抜けない。
頭がぼーっとする。
それでも俺は働き続けた。
俺の職場は大手通販メーカー『コノザマ』の倉庫だった。
とんでもない広さの倉庫には大量の商品が置かれた棚が延々と続いている。
その中から指示書に書かれたものをピッキングしていくのが俺の仕事だ。
ここで朝から夜まで働いている。
毎日歩く距離は優に十キロは超え、仕事が終わる頃には足がパンパンになっていた。
契約社員として雇われた俺は黙々と働き続けた。
今日はいつもより大変だった。
大型商品ばかりを運んでいる。
原因はネットでやってる大型セールだ。
近年稀に見る安さのせいか家電製品がバカスカ売れた。
それを運び続けて五日目。
俺の体力は限界を迎えていた。
ただここで休むわけにはいかない。
勤務態度の良し悪しで契約が延長されるかが決まるからだ。
サボったり怠けていた同僚はあっけなくクビを切られた。
明日は我が身だ。
だから俺は体中が痛みで悲鳴をあげていてもそれも無視して働き続けた。
それでもセールの売れ行きは恐ろしく、定時になっても全く終わりが見えない。
当然残業となり、気付くと今日の労働時間は十二時間を超えた。
あれ?
おかしいな。
なんだか疲れを感じなくなってきた。
さっきまでヘトヘトだったのに。
これならまだ働けるな。
よし。がんばるぞ。
なぜか楽しくなってきた俺は小型の冷蔵庫を持ち上げようとした。
だけど足下がふらつき、後ろに倒れてしまう。
そこにバランスを崩した冷蔵庫がゆっくりと倒れてきた。
普段なら避けられたはずだけど、俺の体は反応してくれない。
倒れてくる冷蔵庫をぼんやりと眺めながら俺は思った。
ああ。晩飯なににしようかな。
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