露店(掲示板あり)
前半掲示板です。雑談スレのほうはサービス開始から1、2ヶ月後の時間軸です。本編ではサービス開始から半年以上経ってます。
掲示板、挑戦してみたけど難しかった……。
ーーー雑談スレpart4ーーー
203 開拓者 (砂の妖人)
なんか仲良くなった猫に付いていったら秘匿スポットってとこに辿り着いたんだけど
204 人形 (被毛の獣人)
ガタッ
205 探索者 (羽毛の獣人)
なぁにそれぇ
206 鍛冶師 (ヒト)
噂の猫集会所に招待されたんか!!?!?
207 剣士 (ヒト)
よ う こ そ 猫 の お 見 合 い 会 場 へ
208 薬師 (森の霊人)
†あなたは0006人目のお客様・・・†
209 探索者 (羽の妖精)
猫集会!?なにそれどこ!?
210 格闘家 (被毛の獣人)
好きな猫選んでテイムするんだ!
そして画像をあげてくださいお願いします
211 人形 (被毛の獣人)
SNSにネコチャンの様子をあげてくださってもいいんですよ!
212 人形 (ヒト)
うさぎだったら†○○人目のアリス・・・†ができたのに
213 錬金術師 (小人の妖精)
古の同人サイトやめろ(震え声)
214 テイマー (森の霊人)
ううううらやましくなんかないんだからね!!!!!!!!!
215 開拓者 (砂の妖人)
お、おう・・・
で、秘匿スポットって何?
216 探索者 (ヒト)
秘匿スポットはNPCに案内されないと辿り着けない場所
1回案内されたら行けるようになるけど、案内されなかったら絶対に辿り着けないっていう謎スポット
217 剣士 (ヒト)
アロアロだけでも何か所か見つかってたよな
218 錬金術師 (小人の妖精)
ていうかアロアロ周辺が一番多いんじゃない?NPC多いし
219 人形 (水の妖人)
それNPCに案内してもらったプレイヤーが、後から他のプレイヤーを連れて行くことはできんの?
220 狩人 (岩の霊人)
≫219
行けるとこと行けないとこがある
猫集会所は行けない
221 テイマー (ヒト)
猫集会所は猫と仲良くなって、猫に案内されると行ける。
猫集会所でテイムした猫を連れていれば猫集会所には何度でも行けるけど、他人を連れていこうとすると猫に不満を訴えられて辿り着けない。
222 魔法使い(森の霊人)
そっか~、猫にイヤって言われたら、マスターとしても連れてくわけにはいかないよね
221 探索者 (羽の妖精)
そんなーーーー!!!
222 テイマー (森の霊人)
チックショーーーーー!!!!
うらやましいいいいいいいいい!!!!!!!!
223 テイマー (雪の妖人)
集会所でウチのネコチャンと運命の出会いをしたワイ、高みの見物
ーーー従魔といっしょ!8ーーー
155 細工師 (ヒト)
猫好きたちに朗報!
ウチに猫の動物擬態植物持ってきたお客さんがいたよ~
露店出すよう説得したから探してみて
いつ出店するかはわかんないけど
156 テイマー (ヒト)
やっとか!!!!!
157 テイマー (鱗の獣人)
猫キターーーーーーーー!!!!!!!!
158 テイマー (岩の霊人)
待 っ て た
159 人形 (小人の妖精)
持ってきたのはどんな人ですか!?
160 花卉栽培者 (砂の妖人)
なんの植物だった?
161 探索者 (羽毛の獣人)
≫159
人探るのはやめとけ
ストーカー認定されたら追い出される
162 細工師 (ヒト)
花猫っていうピンクの小さい花だった
人については内緒
163 人形 (小人の妖精)
ごめんなさい!気を付けます!
164 農家 (森の霊人)
≫160
ちょっと待て職業
165 小さき探究者 (羽の妖精)
うわ、砂の妖人で花農家やってんの!?
植物育成デバフはどうした!?
166 花卉栽培者 (砂の妖人)
乗り越えた
167 聖騎士 (ヒト)
乗り越えたwwwww
168 召喚師 (砂の妖人)
そんな簡単に言えるレベルのデバフじゃないでしょ!!!!
169 双剣士 (鱗の獣人)
砂の妖人の植物育成成功率8%とかじゃなかった?w
170 格闘家 (被毛の獣人)
はえ~生産職にも縛りプレイしてるヤツがいるんだな・・・
171 テイマー (羽毛の獣人)
鍛冶師やってる雪の妖人もいるし
172 建築家 (ヒト)
どの職にも修羅の道を歩むやつはいる
173 テイマー (水の妖人)
猫と仲良くなりたいのにげっ歯類縛りになってるテイマーもいるし
174 聖騎士 (ヒト)
猫に貢ごうとしても何故かげっ歯類に気に入られる某森の霊人の話はやめるんだ!
175 双剣士 (鱗の獣人)
つかテイマー少ねぇwwwwww
みんな露店行ったんだろーなwww
176 召喚師 (砂の妖人)
まあ犬とか鳥とかは早々に見つかってんのに、猫はずっと見つかってなかったからしゃーない。
177 さすらいの庭師 (森の霊人)
新しい植物と聞いて
178 農家 (森の霊人)
庭ゾンビ来ちゃった
179 錬金術師 (小人の妖精)
庭にお帰り
◆
昼時の露店地区は人通りが多い。
ジョッキで酒を煽っている、暖色カラーと木の葉型の耳が特徴の岩の霊人。その人の肩で肉を貪り食っている小人の妖精。
顔や腕の一部に鱗が生えた民族衣装の鱗の獣人、ゴスロリ姿の羽の妖精。
キリッとかっこいいドーベルマン頭の獣人と一緒に走るニッコニコの黒ポメ。頭にヤドカリを乗せた青い肌の水の妖人。
あの腕を組んで歩いている真っ白な髪の人と、寒色カラーと笹の葉型の耳が特徴の森の霊人は夫婦だろうか。白髪の人は雪女っぽい雰囲気だから雪の妖人かも。
露店、楽しい。
客は誰も来てないけど、いろんな人眺めているだけでも楽しい。
「あ、昨日の。今日は露店やってるんですね」
帯剣した軽鎧の青年が話しかけてきた。記念すべき最初のお客さんである。誰かわからないけど、たぶん無法鬼ごっこの参加者か見学者だろう。訓練場以外で目立った行動はしてないし。
「『あなたの悩みを解決するかもしれない石』……?」
青年はきらきら星の疑問が気になったらしい。こちら、本日限りのお試し価格で安くなっておりますー。いかかですかー。
「1つください。………………そっか、救護院……」
その場で石を握った青年はハッとしたあと、礼を言って去った。まいどあり~。
青年の背中を見送ってしばらく人通りを眺めていると、紺青色のポンチョを着た初心者装備の女の子と目が合った。
「妖精のお店……」
ちょっと嬉しそう。気持ちはわかる。妖精とか魔女とか動物の店なんかあったらテンション上がっちゃうよね。しかも売ってるのが、花と星型の石と木の実。我ながら完璧な妖精っぷりである。
女の子は一緒に歩いていた友だちの腕を引っ張って店の前に来た。聖職者っぽい格好のお友だちのほうはポンチョを着ていないのでレベル8以上はあるんだろう。私もレベル上げをしないとな~。
「『中の実は柔らかいライム味のグミ』……え、めっちゃ欲しい……」
「猫の花だー。籠もかわいい」
そうでしょ!花猫の入った縦長の籠は、実は花瓶である。瓶が入ってるわけでもないのに水を入れられるし、水が入ってなければ普通の籠でちゃんと軽い。試作品だからと雑貨屋さんが安く譲ってくれた。私も気に入ってる。ちなみにヒエビエプルルときらきら星の疑問を入れている深皿も柏の葉みたいな形をしててかわいい。聖職者ぽい子はヒエビエプルルを数個、初心者装備の子はきらきら星の疑問を1つ買った。
「お星さまへ、お金が稼ぎたいです」
切実。
「どう?なんて出た?」
「南のダンジョン行けだって。一緒に行こ」
「おけ」
いってらっしゃい。
そろそろお昼時も過ぎて人波も減ってきたので一旦閉店。
碁盤の目状の露店地区は、目抜き通りから広場へと繋がっている。飲食スペースを兼ねている広場は、公園で見かけるようなテーブル付きのベンチがぽつぽつと置かれていた。人はあんまりいないけどなんとなく奥まったところを選んでご飯。そしてリンゴとのバトル開始。ナイフを構えて……刺す!切……切れ……切れた!ふう~。
「ブフッ」
……あら、昨日の無法鬼ごっこでご一緒したジャンヌ風お嬢様。いつからそこにいたんですの?
「……す、すごい真剣にリンゴ突き刺して……っ」
地声出てますよ。イケボですね。
特に用はないっぽいお嬢様は無視して、もう一度ナイフを構える。なんせまだ切れ込みを入れただけである。気分はさながらドラゴンに挑む騎士だ。
唸れ俺のアップルスレイヤー!
「……っ」
そして手に入ったのがこちらのリンゴの欠片!お嬢様のサイレント爆笑を見守りながら、報酬を頂くとしよう。一仕事終えたあとのフルーツは格別ですな。
「そ、そのリンゴ貸して……ンンッ、貸してくださる?」
ボイチェンなしでその麗しいお嬢様ボイス出せるの羨ましいなチクショウ。喉交換して。
手でどうぞと示すと、お嬢様はリンゴを手に取って自分のナイフでくし切りにしてくれた。
「この一切れを切り終わる頃には【切断】や【料理】などのスキルが生えると思いますので、これ以上小さく切るのはやめておきますわね」
やだ、めっっっちゃ助かる!ありがと~~~!お嬢様の周りをくるくる回って、感謝感激雨霰!
突如現れた勇者により因縁のリンゴは討伐され、世界に平和が訪れた!勇敢なる勇者よ、褒美にあなたにこのきらきら星の疑問を差し上げましょう。
「まあ、ありがとうございます……は?…………あ……わ、わたくしこれで失礼しますわ!」
天啓を得た!って顔をしたお嬢様は、ギリギリ地声を回避しながら慌てて露店地区の一角に走って行った。なんかいい商品でもオススメされたのかもしれない。私もそろそろ露店再開しよう。
さっきの魔道具屋さんの隣は別の人が使っていたので、ピタパンの屋台とアミュレットを売っている店の間に設営する。朝使った魔気も全回復したし、ヒエビエプルルを猛暑で熱しながら並べることにした。
「新鮮な野菜と牛肉を使ったピタパンだよ~!おひとついかが~!」
「魔力アップ、耐性アップ、クラフト作成成功率アップ、各種アミュレット揃えております~。ぜひお立ち寄りください~」
めちゃくちゃ呼び込みしてる!魔道具屋さんの周囲は黙々と作業してる人ばっかりだったから、そんなこと思いつかなかった。私もなんかやる?花猫を持ってフリフリ。かわいいかわいい花猫ですよ~。「にゃあ」あ、この花摘んでも鳴くんだ。
「いたァ!!」
「!?」
花猫の鳴き声に振り向いた森の霊人がズザーッと滑り込んできた。肩にチンチラ、胸ポケットにハムスターを入れてる。かわいいー。あ、結んだ髪からひょこっとリスが。よく見ると腰のカバンにハリネズミが乗っかってた。なんというげっ歯類ハーレム。
「ははなはなねっ!!は、はははな、花猫ください!」
おお、ものすごいあわあわしてる……。お、お一人様1輪まで、600ニーゼになります……。
「ああありがとうございますッ!これ、心ばかりのお礼です!」
震える手で恭しく花猫を受け取った森の霊人は、革袋を差し出した。この革袋、お金が入っているのだが、重さもないし中を覗いてもただの虚空があるだけだ。お金(概念)である。売買モードなしで金銭のやり取りをするときはこうなるのだ。
革袋を受け取るとチャリーンと音がして――所持金が10000ニーゼも増えていた。
いやいやいや!赤スパか!こんなに受け取れな……もういない!
ええ……雑貨屋さんが自分で売れって言ってたのって、こういうことかあ……。
推しを支えてくれる人とかにも課金したい気持ちはわかる、わかるけど、私は花を売っただけなんだよ~。猫のために何かしたわけじゃないんだよ~。くれるというなら貰っておくけども。
気を取り直して、花を持って少し高めに浮く。猫の好感度が上がる、花猫いかかですかーとフリフリして数分後。
「ンナアアァ」
「あら~、ネコチャンかわいいネェ~……ね、猫の花だああ!!」
「ぴゃーん、にゃむ、ぴゃ、ぴ」
「これが欲しいのぉ~?も~仕方ないな~」
「花猫ください~~~!」
「ウワアアア花猫まだありますかーーー!?」
寄ってくる猫。猫につられた人。猫に連れてこられた飼い主。そして必死な形相で走ってくる人たち。たまにお礼です!ってお金をくれる人がいたおかげで、所持金があっという間に倍増した……。
「花猫をください」
はい。最後の1輪をどうぞ。
「すみません、自分は花農家でして……もしまた花猫が見つかったら根っこごと持ってきて頂けることはできますでしょうか。言い値で買います」
こういうこともあるんだ。拠点にある素材はまだ残してあるのでいいですよ。
麦わら帽子に褐色肌の花農家さんは、いつでも受け取れるようにしておくと言って、拠点招待コードを送ってくれた。拠点招待コードは、目覚めの間とコードの送り主の拠点を1回だけ往復で転移できる招待券だって。周りの土も取って来てほしいとポットを多めに渡されたので、なんかおもしろい植物あったらついでに採ってこよう。
さて、メインである花猫が完売してしまった。花猫フィーバーで人が集まっていたので他は売れてない。そろそろ帰ろうかな。レベル上げとか迷路根の調査とかやりたいことはたくさんあるし。素材採取もしたいし。
ヒエビエプルルを熱するために使っていた【環境魔法】を止めようとしたところで、影が差した。そこにいたのは、江戸の火消しみたいな格好のおじさん。額の角は、嵐の妖人の特徴だ。
「ヒエビエプルル……ほう、環境魔法であっためてんのか。1つくれ」
厳ついおじさんがプルルって言ってんのギャップがすごいな。
おじさんはヒエビエプルルを手に取ると、指で殻を割ってしまった!筋力たけー!
「……本当に冷えてる……これ、全部買い取りできるか?あっためてないのもあったら欲しい」
どうぞどうぞ。インベントリにあった常温のやつも差し出して、ヒエビエプルルも完売。おじさんはついでのようにきらきら星の疑問もいくつか買ってくれた。触らずにインベントリに入れてたからあとで使ってみるんだろう。
露店を閉めて、ちょっと買い物をして帰宅。思いの外いい売り上げになってよかった!
誤字報告ありがとうございます。