その2
猫の話を書きたい気持ちがいっぱいなんですけどね。何故か犬ないし、犬の飼い主さんへの不満ばかりが増えてしまって…
前に住んでいた街の案外古い側は、家と家の間を徒歩と自転車だけが通れる謎の「遊歩道」が張り巡らされている。
道の幅は軽自動車なら通れるんじゃないかと思われるぐらい。
雪のない季節なら人と人が少し距離を保ちながら、楽々すれ違える。
自転車同士や自転車と徒歩となると、若干、どちらかが道の端へずれるとスムーズといった間隔。
そんな「遊歩道」も雪が積もれば、当然のことながら道幅は狭くなり、両端には背の高さよりも随分と高い雪の壁ができる。
そうなると、もう「自転車族」はいなくなるとして、徒歩ばかりになるのだが…
高い雪の壁に覆われた道を歩くのは、正直怖い。
勿論、高く積み上げられてある雪が崩れる危険性もある。
それに加えて、前や後ろから「おかしな人」(例えば、刃物を持った人など)が現れた場合、自分以外の人が視界の中にいるならば、万が一のことがあったとしても助けてもらえるとか、色々できるだろう。
でも、まあ、それはごく稀な話であって、現実はそんな「おかしな人」なんて、そうそういないわけなのだが…
そうじゃなくって、その雪の壁に覆われた遊歩道を歩いている際、前方もしくは後方ないし、遊歩道どうしが交わる十字路やY字路などで、ちょいちょい「犬を連れた人」に出くわしてしまう。
小型犬など可愛らしい部類の犬ならば、例え激しく吠えられたとて、飼い主さんが抱き抱えたり、屈んで地面に近い場所で取り押さえてくれたりするので、割と安心して先に進めるのだが、うっかり大型犬を連れた人に出くわしちゃった場合、とても困るし、恐怖でいっぱいになる。
そんでもって、そういう大型犬を連れてる人って、何故か小柄で細身の60代ぐらいの女性だったりする。
立ち上がると自分よりも遥かに大きなその犬を散歩させている様だが、実際のところ、犬に引っ張られ気味で全然コントロールできていない感じ。
なので、雪の季節、遊歩道で大型犬を連れている人と出くわすのが、本当に嫌で嫌で。
「じゃあ、時間帯を考えて、そういう人が犬を散歩させていなさそうな時間帯を歩けばいいんじゃない?」などと簡単に助言してくる人もいたが、笑いながら「あはは、ええ、そ、そうですよね。」と言葉を発しながらも、心の中では「こいつ馬鹿か?」などと口汚く罵ってみたり。
だって、そうでしょ?
犬を散歩させなさそうな時間帯って、じゃあ、一体いつですか?と。
真夜中にでも歩けと言うのか。
好きで犬に出くわす時間帯に歩いている訳じゃない。
「病院や郵便局、銀行、スーパーなどが開いている時間帯に、そういう場所に用があるから出歩いているのだよ!逆に、そういう、みんなが出歩く時間帯に、犬の散歩なんてさせんじゃねえよ!」なんて、叫んじゃいそう。
なんでこっちが「お犬様」に合わせにゃあならんのよ。
話が随分脱線しちゃったけれど、そう、その街に住んでいた頃の雪の季節、前方のY字路から大きな動物がバッと勢いをつけて飛び出してきたことがあった。
一瞬、「ゴリラ?」かと思い、恐怖で体が固まった。
180センチぐらいの、ガタイの良い、ゴツい男性ぐらいの大きさだったと思ったよ。
その「ゴリラ」は、毛足の長いアフガンハウンド(後で調べた)なるでっかい犬で。
リードの先を両手で必死に握っていたのは、やっぱり小柄で細身で50代から60代と思しき女性。
「これっ!ダメっ!」などと犬に向かって叫んで叱りつけるも、犬はシュンとしょげることもなく、その場に座り込むこともなく、よほど雪が、外が嬉しいのか、はしゃいでいる様に見えた。
当然、飼い主の女性は犬を大人しくさせるどころか、掴んでいるリードごと逆に引っ張られちゃってて。
顔を強張らせて立ち尽くしていたあたしだけれど、どうにもアフガンハウンドが恐ろしすぎて、飼い主さんと戯れあっているのを凝視しながら、ゆっくりと相手に背中を向けずに後退り。
犬と飼い主さんが見えなくなった地点から、結局、大きく大きく遠回りをして行ったっけ。
大人のあたしでもそうだったんだから、子供だったらもっと怖いはず。
いくら自宅で犬を飼っている子供でも、よその犬はちゃんと躾けてるのかわからないから、怖いと思うんだよね。
そのアフガンハウンドの他に、黒と茶色と白い長めの毛足のバーニーズ・マウンテン・ドッグなどにも出くわしたりしてさ。(その犬も飼い主さんの言うことを全然聞かず、飼い主さんもリードで逆に引っ張られててさ)
あの頃、近所にそういう大きな犬を飼ってる家が、少なくとも2軒はあったってことだものね。
……う〜。
襲われなかったからよかったけども…
…あ、もし、襲われてたらどうなってたんだろう?
あ〜、考えると怖すぎ〜!
いや、だからさ、犬の話じゃなくて、猫の話を書きたいんだったね。
そうそう…猫。
我が家の黒い猫の「ルル」ちゃんを譲り受けた時、「この子、大きくならないかも」と言われた。
「ん?大きくならないとは?」
尋ねると、「人間でも背の高い人低い人、痩せてる人太ってる人がいる様に…」なんて説明を受けた。
な〜る!
そうなんだね。
猫もそれぞれ大きくなるタイプや、小柄なタイプなど様々なんだね。
大人になるまで飼ったこともない猫。
色んな事情で飼えなかった猫。
正直、それほど「大好き〜!」でもなかったから、猫のことは詳しい訳もなく…
飼ってから勉強することとなった。
ルルちゃんを連れて帰る時、車の中でじっとしていたな。
きっと真新しいキャリーバッグも、知らない車も、知らない人間も、その匂いや車の振動などなど、ルルにとっては全てが初めてだったから、よっぽど不安で怖かっただろうなあと思う。
自宅に到着して、キャリーバッグを開けると、すぐさま私達のベッドの下の奥の方に隠れてしまって、しばらく顔を見せてくれなかったな。
夫とあたしは、「お腹空いてるよねえ」とか、「おしっこしたくないのかな?」など、心配で心配で。
挙げ句の果てには、「私達、嫌われたんじゃないだろうか?どうしよう?Kさん(ルルを外で保護して、私達に預けてくれた人)のところに帰した方がいいのかなあ?このまま、ご飯も食べずに弱って倒れちゃったらどうしよう」などなど。
寝るまで隠れてたルルちゃんだけど、次の日にはケロッとした顔で可愛くにゃあにゃあ「ご飯ちょうだい!」みたいに鳴いて、足元に擦り寄ってきてくれたっけ。
あ〜、思いだすと涙が出ちゃう。
最後まで読んで下さって、本当にありがとうございました。もうちょっと続きを書きますね。