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その10

いちいち犬を怖がってなんかいられなかった頃の話。

名建築の建物を紹介しつつ、物語がゆっくり進んでいく大好きなドラマの主人公の一人の中年男性が、ドラマ内で犬に吠えられビビる場面がちょいちょい。

そんな姿を、一緒に名建築を見て回るもう一人の主人公の若い女性がくすくす笑う、なんて場面を見て、「ああ、犬が怖くない人は、こんな感じでこちら側の人間を下に見てるんだねえ」って思った。

無意識だし、悪気はないんだろうけど…

馬鹿にしてるんだなあとわかる。

きっと「何もそんなにビビらなくても」といった感じなんだろうね。

自分よりも遥かに体が小さい生き物に、ちょっと吠えられたぐらいで…って。

…ん〜…なんか哀しい。

それはさておき…ルルと暮らす前、いちいち犬を怖がってなんかいられない状況だったなあ。

「児童デイサービス」に勤めていた時、通う児童らの送迎があったので。

何かしらの障害を持つ子供達の家へお迎えや送りで伺うと、犬を飼っているお宅が案外多かった。

だもんで、玄関でその家の犬に遭遇するばかり。

親御さんや利用者の子供の前で、「犬が怖い」「犬苦手」な素振りを見せる訳にはいかなかった。

始めの頃は、笑顔も随分引き攣ってたと思う。

小さい犬はまだいいけれど、真っ白いピレネー犬がいる家の時など、内心ビクビクしっぱなし。

笑顔も体の動きも堅かったと思う。

でも、「仕事中!仕事中!」と強く自分に言い聞かせて、送迎の僅かな恐怖の時間をなんとか乗り切っていた。

あの頃、決して犬を克服した訳じゃなかった。

くどいけど、いちいち怖がっていたら仕事にならなかったから。

なんてことも、今では懐かしい思い出。

50キロぐらいある中学生の男の子なんかも、抱きかかえて車に乗せたり降ろしたりなんかがあったもんだから、ある日、両腕が肩から痛くて痛くて。

急遽仕事を休んで整形外科を受診すると、お医者さんから「残念だけど、もう今のお仕事は…」と言われ、やむなく退職。

なんて感じだったっけ。

まあ、その後、小さな可愛い黒猫のルルちゃんが、我が家の一員になるのだけれど…

最後まで読んで下さって、本当にありがとうございました。もう少しだけ書きますので、引き続きどうぞ宜しくお願い致します。

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