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エイム迷走ス  作者: くろ
102/111

パンデミックの後始末

 


   アリロスト歴1900年  10月



 「今年は10月に成っても暑い侭だな」とジャックと話して居たけど、その4日後にロンドの東部で、青い疫病が蔓延し始めた。

 ジャックは俺とクロエに対策方法を書いた手紙を送って呉れた。

 教えて広めるのは俺やクロエの判断に任せるけど、ジャックの名は絶対出さないでくれと、しつこく念押ししてきた。

 

 ジャックは、この世界には必要最小限にしか関わりたくないと、先日俺とクロエにしんみりと話した。

 日本での前世の記憶とアルフレッドの記憶があるから、どうしてもグレタリアンを感覚的に受け入れる事が出来ないと切なそうに語った。

 「無理はするな」そう言って苦悩するジャックを俺とクロエは宥めて励ました。

 

 クロエはニックもダリウスも、そして夫のルスランも居るので彼等との生活を守る為に生きて行くと言い、俺はセインの為にも身近で生活する人間たちを守りたいと言うと2人共、酷く驚いていた。

 こんな俺は少し前の俺だって驚くだろう。

 ジャックとクロエには「俺も年を取った。」そう話したけど、アレだ、セインのあの笑顔を曇らせたくないっつう、他人には言いたくない理由だったり。

 絶対にジャックが知ったら「しょうもない」って、引きそうな理由なんだよなー、コレって。

 

 青い疫病は取り敢えずは空気感染はしないらしいので、ジャックが何時も言っていた「水には気を付ける!、手洗いは細目に!」を俺もセインも兄達も心掛けていた。

 クロエ達は当たり前だと言っていた。

 俺とセインは友人や知人の見舞いをしつつ、ロンドの街を調べてヤードと鉄の女セーラーと鉄仮面ヒースとレナード・ホームへと情報を届けた。


 貧困地区の疾病者と死人が多かったので、不摂生な者たちの病と誤解もされたが、ジャックの期待値の高い鉄の女と鉄仮面が死者の多い箇所を特定、そして井戸や水道を調べる内に、汚染源の水道会社を特定した。

 そしてリンダム市長の時、自ら水道の公共化を行い水道についても詳しいアーサー・バレンに共に調査を依頼し、2社の汚染水道地域を割り出し対応策を練った。


 バタバタと慌しく俺とセイン、ルスランはロンドに蔓延していた青い疫病の対応をして日々を過ごして、そして気付けば年が明けていた。

 兄は部下達に対応を任せ、ジャックに万が1が在っては成らないと11月に成り、ロンドの風が止む前にウェットリバーある領主館の離れに連れて行った。


 「緑藍、変に成ったお前の兄を何とかして呉れよー。」

 「変えたのはジャックだし、製造者責任つう奴かな。頑張れ。俺は、何時でもジャックを応援しているからな。」


 俺の慰めを諦め切った顔で受け止めて、ジャックはすごすごと肩を落として霧のロンドの街へと去って行った。

 本当にジャックは拒まないよな。

 ジャックは生理的に絶対無理って事以外、「もうー、良いよ良いよ。」つう感じで許容して呉れる。

 それに俺と兄が「ゴロニャン」と甘えているんだけどね。


 「これだからエイム兄弟はっ!」


 って言う、ジャックのボヤキが俺に届いた気がした。


 



 

  アリロスト歴1901年  1月



  相変わらずの濃い霧の中、青い疫病の猛威がやっと衰え、俺もセインも人心地吐いた頃、今回疾病対策に動いた人へサンキューセレモニーをバレン宮殿で催される事に成った。

 序に内定報告式何つうモノがあった。

 先ずはアーサー・バレン、セーラ・ゲイル、ヒース、レナード、パトリック、ルスラン、セイン、で俺って言う面々が男爵や準男爵、パトは子爵に成ったよ。

 姓を作ったり紋章を作ったりと面倒なことこの上ない。

 あっ、当然、他の人達にも送られたけど、俺の知人や友人だけって感じ。

 別にアーサー・バレンとかは知り合いじゃ無いけど、ジャックが褒めていた人間てことで俺の記憶に残っていたって奴だ。

 俺やセインやヒースは兄の紹介とか後押しがあったみたいだ。



 特に、鉄の女セーラや鉄仮面ヒース、アーサー・バレンは青い疾病の地域・発生源を突き止めた事で、大きな称賛を浴びた。

 後はレナードとパトリックは貧困地区の子供達を救助、看護した事を大きく取り上げられた。

 パトは、レナードが動く手助けをしていただけだと思うけど、放置されていた子達を救護が出来たのは日頃レナード・ホームで真面目に児童と向き合っていた成果と多少なりとも医学の知識を持って居たレナードだからだろうと思う。

 確かにパトが惚れ込むだけあって繊細で綺麗な容姿をしているし、ちょっと俗人離れしたピュアさがあった。

 んー、しかしパト、レナードは恋愛対象には向かないと言うか、そう言う色みたいな欲求を持ってない気がするんだよなー。

 天使ってパトが言ってたからアレで良いのかもね。


 俺のセインは無茶苦茶緊張をしていて、真っ直ぐに歩けていない。

 見ていてヒヤヒヤしてセレモニーが終わってから俺の疲労感は半端なかった。


 「もう2度とバレン宮殿は行きたくない。」


 そう言ってセインは下宿112Bへと戻った後に自宅に帰って熱を出した。

 セインは準男爵に成ったけど、俺との関係性が強いて何か変わるって訳でもない。

 ただまあ、これは買った爵位ではないので男系嫡子へ継がせれるのだけど、セインの子供に男子が居ないんだよなー。

 此れから嫁を貰う訳でも無いし。

 いや、分んないか、まだ41歳だしな。

 俺が子爵位を叙任した理由は、俺が造ったマップで皆を統率し、疾病の鎮静化に尽力したとか何とかと、それ迄のロンドの治安維持及び偽1ポンド紙幣の発見、摘発等も含めたそうだ。

 もうさー、兄が捻じ込んだ感が半端ない。


 正式な叙任セレモニーは1年後なんだよなー。

 俺って又セインを見て冷や冷やして、ドッと疲労感を覚えるのかと思うと今から少し憂鬱だ。


 だから下宿112B内は、お目出度いって言うよりも「面倒」ってムードが漂っていた。

 それに死者が約8千人以上居たんだよ。

 ロンド郊外の墓地へ運ぶために死体列車も稼働させていたし。

 でもって東部地区では、まだ入院している人も多いからな。

 発症初期に水分が取れなかった人たちや栄養不足だった人たちが中々回復しなくて、今も人手不足。

 鉄の女セーラは案外と見切るのが早くて、症状を見て助かりそうな人をメインに看護をしているので、患者や介護補助をしてくれているシスターたちに、誤解を受けてバッシングされたりもした。


 「私、言い訳しないので。」


 つう感じで指示を出しているので、周囲が大変だとセインがポツポツと愚痴を零してる。

 兄の補佐官だったヒースも鉄仮面だし。

 いや、ヒースは今も兄の補佐官らしいけど。

 ダブル・アイアンなのでクレームつうか愚痴は人の良さそうなセインや医師見習いや、手伝いに来てくれてる医師や看護学生に行くんだよ。

 人助けしている筈なのにセイン達へ日増しに文句が増えて来るらしい。

 患者は文句を言い出すと回復したと見做(みな)し、ダブル・アイアンが即時退院させて行くそうだ。

 全く、俺の可愛いセインへダブル・アイアンがこれ程苦労を掛けるとは。



 さて、ロンド東部の都市再開発が本格的になされる事が決まった。

 一先ずは各水道会社の設備の再点検やざっくりと水質調査をして、問題の遭った所は改善命令が出され直せない企業はロンドの市場から出て行って貰う。

 採算が合わないと水道会社を売りに出すと、それを自治体が購入したりしている。

 水道管や浄化設備の保守点検の意識とか無い企業が殆どだから、今まで利益を出せていただけで、確りした水道事業をしようとすると、私企業では儲けとか出せないので、ナウ・オン・セールになった。

 そこでお役立ちは水道を公共化した経験者のアーサー・バレン議員。

 計画立案からロード・マップ迄マジ半端ねえー活躍でジャックの言った通り凄い人だった。

 

 1年後はロンド東部がどう変化しているのか?そう考えると、珍しく俺もセインと一緒に成って興奮していた。

 しかし、もう暫くはパンデミックの後始末が続きそうだ。

 てか、俺が兄に後始末の報告書を書かなきゃいけなくなってるし、冬に使えないくそっジャックめっ。

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