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愛猫は気ままに謎を解く  作者: 星雷はやと
消えた耳飾り
2/2

戸張さんとおじさん


「開いているよ。入ってくれ、戸張くん。ノエルくん」

「榎田! 君の助けが必要だ! 頼む捜査協力してくれ!」


 大川さんが内側からドアを開けた。すると慌てた戸張さんと、ホワイトシェパードのノエルおじさんが部屋に入って来た。


「用件は分かっているよ。こちらに座りたまえ、軽食も用意してある」

「……っ、嗚呼。すまない、取り乱したよ……」


 榎田と戸張さんとの会話を聞きながら、僕はクッションに飛び降りノエルおじさんの元に駆け寄る。榎田が大学に行く時のような格好をしていたのは、二人が来ることを知っていたからだ。


『ノエルおじさん! こんにちは!』

『ロロ、おはよう。今日も元気だな……』


 僕が挨拶をすると、彼は伏せの体制になり僕と目線を合わせてくれる。優しいおじさんなのだ。


『戸張さん如何したの? 凄く焦っていたよ?』

『嗚呼……厄介な事件が起きたからだ』


 戸張さんは刑事さんだ。そしてノエルおじさんは、彼の相棒であり警察犬である。戸張さんは普段は温厚で落ち着いている人だ。そんな彼が焦っているということは、一大事である。おじさんは疲れた様子で頷いた。


『どんなの?』

『……耳飾りが盗まれた』

『戸張さんが駆り出されて、忙殺されているということは……名のある家的な?』

『……そんな感じだ』


 僕の質問に歯切れの悪い返事を繰り返すノエルおじさん。守秘義務や機密事項を話す訳にはいかないのだろう。戸張さんの疲れ具合とおじさんの話から、想像していたよりも事は深刻かもしれない。榎田に話が来るわけである。榎田は趣味で探偵をしているのだ。


『よし! 耳飾りを探しに行こう!』

『待て、何故そうなる』


 ノエルおじさんの頭の上によじ登る。すると何故か、おじさんから待ったがかかる。


『ん? だって、榎田に頼むぐらいに戸張さん困っているのでしょう? 忙しくて時間が確保出来ないから、おじさんのブラッシングも充分じゃないよ? ボール遊びもしてもらえていないじゃない? 何よりノエルおじさんに元気がないもの!』

『名探偵だな……』


 観察したことを口にすると、おじさんが青い瞳を見開いた。


『へへっ……。早く事件を解決して、一緒に遊ぼう』

『……仕方がないな。協力してくれるか?』

『勿論!』


 ノエルおじさんは、面倒見がよくて一緒に遊んでくれる。声が明るくなった彼に元気よく返事をした。




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