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8回目の嘘コクは幼馴染みからでした  作者: 東音
嘘コク五人目
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不穏な電話


嶋崎亮介さんが、一人でトラ男のマンションに乗り込んで、真柚さんの画像を消すよう頼みに行った結果、怪我をしたと聞いたのは、

私達が、トラ男と立ち向かう事を決意した、その翌々日の事だった。


幸い、骨折等の大ケガではなかったらしいが、京ちゃんは心穏やかではいられない様子で、私も重苦しい気持ちになった。


あーちゃんからは、大体下準備が整い、後は、昔の仲間の都合をつけるだけと聞いていた。2日後の夕方にトラ男に殴り込みをかける計画でいるので、下手に動かず、後はこちらに任せてもらうよう京ちゃんから、嶋崎さんと真柚さんに伝えてもらった。


すると、その翌日=計画を実行する前日に真柚さんからなんと私に連絡があった。


「真柚さん??どう…されたんですか?」


学校から帰り、自分の部屋で宿題をやっていた私は、真柚さんからのL○NE電話を驚きつつ応対した。


『芽衣子さん…。この間は、本当にごめんなさい…。色んな事があって神経が尖っていたみたいで、芽衣子さんに八つ当たりしてしまっていたの…。ハァ…。私、本当にダメね…。』


電話口の彼女は、この前のとげとげしい態度とは違って、かなり弱々しく、疲れているような声だった。


「それは、いいのですが…。真柚さん、

大丈夫…ですか?」


『え、ええ…。お兄ちゃんが私の為に、嵐山魁虎にお金を持っていって、写真の画像を消してもらうよう頼みに行ったんだけど…、魁虎に突き飛ばされて、手首を捻挫してしまって…。ううっ。もう、私、どうしたらよいのか…。』


電話の向こうで泣いている彼女に私はなんて声をかけていいか分からなかった。


「ま、真柚さん…。」


『も、もう、画像の事は諦めた方がいいのかもしれない…。たとえ画像が拡散されようが、誰かが傷付くよりその方がいい…。もういっその事、今私が持っている画像を公開してしまおうかな…。』


私は思い詰めて自暴自棄になっている彼女を、私は慌てて止めた。


「真柚さんっ…?そんなっ。落ち着いて下さい。」


『だって、芽衣子さん、矢口さん、南さんにまで、傷付くことになったら、申し訳が立たないっ…。

申し訳ないけど、明日の計画は中止してもらえない…?』


嵐山魁虎打倒計画を中止しろとまで言ってくる真柚さんを宥めるように、私は安心してもらえるよう計画の説明をした。


「ま、真柚さん。もう計画は進行していて、止められないところまで来ています。計画通りに行けば、皆無傷で、嵐山魁虎を捕らえられる筈です。心配しないでください。

だから、変な気は起こさないで下さい。今、お家ですか?」


『え、ええ…。』


「よかったら、今、お家にお伺いして、お話聞いてもいいです?」


『いいの?芽衣子さん、ありがとう…。話を聞いてくれるなら、助かるわ…。一人では色々考えてしまって。』


「では、今から伺いますから、絶対に、画像は公開しないで下さいね。絶対ですよっ?」


私の申し出にホッとしたような彼女に強く念を押した。


『ええ、分かったわ…。あ、それから、この事、矢口さんや、南さんには言わないで。

お願い…。男の人には知られたくない…。』


「分かりました。誰にも言いません。では、また、後で…。」


私は、息詰まるようなやり取りの後、

電話を切ると、それから急いで支度を整え、真柚さんの家に向かったのだった。

         

         *

         *

         *



「芽衣子さ〜ん。」


真柚さんのアパートの前に、真柚さんがこちらに向かって手を振っているのが見えた。


「真柚さん!」


足早に彼女の元へ急いだところ…。


!!?


突然ガラの悪そうな3、4人の男達が現れ、周りを囲まれた。


そして、男達の後ろから、ニヤニヤ笑いを浮かべた金髪の男が現れた。


「よう!また会ったな。茶髪美少女ちゃん?」


「嵐山…魁虎…!」


私は信じられない思いで、そのおぞましい名前を呼んだ。


「この間は邪魔が入ったけど、今日はたっぷり遊んでもらうぜ〜?」


「ごめんなさいねぇ?芽衣子さん。

(たばか)っちゃって…。」


その傍らで、嵐山魁虎にしなだれかかるようにし、真柚さんが、クスクス笑っていた。


「でも、こんな手に引っかかるあなたがいけないと思うの。魁虎。この女、二度と、矢口さんに顔向けできない体にしてやって?」


「おう。笑いがとまらないぜ…。お前もえげつない事考えるようになったな?真柚…。」


「ま、真柚…さん…。」


私は歪んだ笑いを浮かべる真柚さんを前に愕然と呟いた。


「連れてけ!」


「い、嫌!!や、やめて!!」


嵐山魁虎が男達に命令すると、私は男達に腕を捕まれ、アパートの近くに停めてあった車に引きずり込まれた。


そして、無理やり私は車の後部座席に座らされ、連れ去られたのだった。

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