表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8回目の嘘コクは幼馴染みからでした  作者: 東音
嘘コク三人目
52/255

幕間 女子会 テイク2

 今日はとあるGWの午後。柳沢先輩と一緒にマキちゃんの家に遊びに来ていた。


「わあっ、サーティーアイスだ。」

「美味しそう!マキちゃん、こんなに沢山いいの?」

 マキちゃん家の座卓テーブルにレギュラーサイズのアイス9個パックが惜しげもなく、広げられており、私と柳沢先輩はわあわあ歓声を上げた。


「大丈夫だよん!たまたま、家にアイスのギフト券があって、母親がドンと使ってくれって言われてるから!さあさっ、一人三つ選んで下せい!」


「三つも?お腹いっぱいになっちゃうね。」

「わあ〜、どれにしよう?迷う〜!!」


 アイスの種類の内訳は、ホッピングシャワー3個、バニラ、イチゴ、チョコ、キャラメルチーズ、小倉抹茶、オレンジコークそれぞれ1個ずつとなっていた。


「ふふっ、ホッピングシャワー3つって事はは全員必須なんだね?」


 私が思わず笑っちゃうと、マキちゃんはドヤ顔でウインクした。


「そりゃ、サーティーアイスといったらこれっしょ。」


「違いねぇ!」


 柳沢先輩が、ウンウンと頷いた。


 それから、またわあわあ言いながら、アイスを選び、コーンにアイスを組み立てつつ、スプーンで食べる事にした。

 ちなみにそれぞれがホッピングシャワー以外に選んだアイスは以下の通り。


 柳沢先輩  バニラ+オレンジコーク

 マキちゃん チョコ+小倉抹茶

 私     イチゴ+キャラメルチーズ


「そう言えば、おばさんは買い物か何か?」


 アイスタワーと格闘しながら、私が聞くと、


「いや〜、今、奥の部屋でなんか一心不乱に衣装を作ってるみたいよ?」


 1個目の小倉抹茶をペロペロしているマキちゃんが答えた。


「んんっ!衣装って?マキちゃんのお母さんって洋裁関係の仕事してんの?」


 オレンジコークのパチパチ感に目を瞑りながら、柳沢先輩が聞いた。


「んー、仕事とかじゃないんだけど、昔は結構なオタクさんで趣味で衣装作って、コスプレとかしてて…。もう今は自分ではやらないけど、知り合いに頼まれて衣装を頼まれたりしてるみたいっすよ。」


「へぇ、マキちゃんのお母さんすごいんだね!」

「私は手先が不器用だから、羨ましいな。」


「あははっ。芽衣子本当不器用だもんね?  家庭科の授業で作ったショートパンツ、ジグザグに穿き口まで縫っちゃって、穿けなかったよね?」


「もう、昔の恥をバラすのやめてよぉ…。」


「へぇー、芽衣子ちゃん、そういうの得意そうにみえるのに。」


「ふふっ。芽衣子が器用なのは足だけなんだよね?」


「そうなの。手で扱う球技も不得意だから、バレーもバスケットもダメなの…。」


「あー、だからバスケ部誘った時も断られちゃったのか。総合的な身体能力は高い筈なのに、残念だなぁ…。」


「ご期待に添えずすいません…。でも、やる方はダメでも見るのは好きなので、試合とかあれば応援に行きますので、言って下さいね?弟の試合と重ならなければ行けますんで。」


「あと、矢口とのデートと重ならなければね?」


「や、柳沢先輩、何を言うんですか…!」


 私は一気に真っ赤になった。


「聞いたよ?この前嘘コクデートしたんだって?それに、最近、お昼や、帰りいつも一緒にいるでしょ?にしし、噂になってるよぉ。

 最近、教室でも、矢口、様子がソワソワしてるんだよねぇ。」


「えっ!ほ、本当ですか?」


「うん、時々ワケもなく、ニヤニヤしたり、お昼の時間近くなると、時計ばっか見てるよ?後ろの席から見てるとすんごく面白いよ?」


「ええ〜!その様子見てみたいですぅ!」


「うん、今度シャッター音消して撮影にチャレンジしてみようかな!」


「矢口先輩、至近距離で、パパラッチされとるなぁ…。」


 マキちゃんが盛り上がる私と柳沢先輩を見て苦笑いしていた。


「まぁ、まだ栗珠との話し合いがあるから、そんなに長くは教室にいられないんだけどさ。」


「秋川先輩側と被害者の方は最終的にはどんな感じに落ち着きそうなんでしょうか。」


「うん、栗珠は人が変わったみたいにやつれてて、素直に被害者の子達とそのご家族に謝っててた。栗珠に加担してた夏菜子も、絵里も、栗珠の変わりようにビビったみたいで、神妙な顔で謝ってたよ。

 まぁ、謝ったからといって、いじめを受けた子の時間とか心の傷とか、全て取り戻せるワケじゃないけどね。

 退学とか停学とか処分は免れたみたいだけど、栗珠は自主退学して、転校するみたい。夏菜子と絵里も内申は覚悟しとけって先生に言われてた。当然進路には影響するだろうね…。」


 柳沢先輩は浮かない顔で現在の状況を教えてくれた。

 秋川先輩から、ひどい仕打ちを受けていた柳沢先輩だが、仲が良かった時期もあっただけに、学校を辞めると聞くと心中に複雑なものがあるんだろう。


 私も完全に晴れ晴れとした気持ちにはなれないまま、神妙な顔で頷いた。


「そうなんですね…。まぁ、あれだけの事をしたんですから、相応の報いを受けるのは仕方ないですよね?被害者の方少しずつでも回復してくれるとよいですね。」


「そうだね。不登校になってしまっていた子は今、週2で保健室登校できるようにはなったみたいだけど、これから、少しずつだね…。

 あ、そう言えばね。夏菜子が栗珠と芽衣子ちゃんが中学の時からヤバかった、ペットボトルがどーのってコソコソ話してたんだけど、中学でなんかあったの?」


「「…!」」


 柳沢先輩に問われ、私とマキちゃんは顔を見合わせた。


「あのペットボトル事件、今でも語り継がれておるんじゃのぅ。のぅ、芽衣子よ…。」


「み、皆、大げさだなぁ。たかが、足でペットボトルを両断したくらいで噂するなんて…。」


 感慨深げに頷くマキちゃんに、私は目を泳がせた。


「えっと…、ペットボトルって両断出来るもの…なの?」


「出来ます出来ます!意外と簡単に出来ます!」

「おめーだけだよ!」


 遠慮がちに聞いてくる柳沢先輩に必死に主張すると、マキちゃんに速攻で突っ込まれた。


「芽衣子、中学の時に結構モテてたんで、それをやっかむ女の先輩達に目をつけられちゃってて…。ある日、絡まれて、芽衣子の持ってた矢口先輩の小さい時の写真を破かれちゃったんですよ。」


「え、ひどっ!」


「ええ、まぁ、当然芽衣子は激怒して手にしていたスポーツドリンクのボトルを思わず足で両断して、あまりの恐ろしさに先輩達は泣きじゃくっていました。あの時、私が通りがかって芽衣子を止めなかったら、先輩達の明日はなかったでしょうね…。」


「ううっ、まぁ、マキちゃんには本当にお世話になりましたよ。

 本当に短気は損気ですね。

 あの後、床はベタベタして掃除は大変だし、喉は渇くし、あげく、次の日から学校で皆に私の事をスケバンとか、必殺仕置人とか言われるようになっちゃって…。

 マキちゃんが取りなしてくれたから クラスではなんとかうまくやっていけましたけど、代わりに後でヨーヨー持たされて写真撮られました。」


「??ヨーヨー?」


「いやぁ、すまんね。母がファンで、写真撮ってくれって言われちゃってねぇ。ちょうど中学校の制服セーラー服だったし…。」


「マキちゃんのお母さん、それでもまだ物足りなさそうで、3人いれば、三代分コスプレ出来るのにって言ってましたしたよね?…はっ!」

 私は瞬間悪い予感がし、

 マキちゃんは気まずそうに私から視線を逸らした。


「マキちゃん、今回の女子会、すごーくマキちゃんのお家でやりたがったのって…?」


「スマン、芽衣子!柳沢先輩!許して下せい!」


「えっ?何々?」

 事態が把握できない哀れな柳沢先輩の元に、後ろから黒い人影が忍び寄っていた。


「こんにちは!梨沙ちゃん、はじめまして!」

「きゃあっ!」

 いきなり背後から抱きつかれて、柳沢先輩は悲鳴を上げた。


「マキの母親です。いつもマキがバスケ部でお世話になってますー。あ、芽衣子ちゃんもこんにちは!」

「お、お邪魔してます。おばさん…。」


「ま、マキちゃんのお母さん…ですか?ど、どーも。お邪魔してます…。」


 私と柳沢先輩は、目の下に隈を作った、ハイテンションなおばさんに、ドン引きしながら、挨拶していた。


「今日は二人共、おばちゃんの趣味に付き合ってくれてありがとうね!三人分の衣装、たった今、出来たから!!早速始めちゃいましょうか?」

「???」

「マキちゃぁん…!」


 マキちゃんを睨むも、マキちゃんはただもう無言で両手を合わせて私達に頭を下げるのみだった。

 *

 *

 *


「てめえら、許さねぇ!!」


 ほぼ無理やりセーラー服を着させられた私は、マキちゃんとお母さんに向けて、大声で叫んだ。


「ちがうちがう!芽衣子ちゃんは土佐弁のセリフ!今のセリフは梨沙ちゃんが言うところ!あと、ヨーヨーの構えはこう!もっと鋭く!!」


 マキちゃんのお母さんに言われて、私は決めゼリフの書かれたメモを確認する。


「え、はい。難しいな…。お、おまんら、ゆ、許さんぜよ…?」

「もっとハッキリ、自信を持って!」


「は、はいっ!」


「えーん!私達なんでこんな事させられているの?」


「柳沢先輩、しばらく耐えれば、終わります。この場をなんとか乗り切りましょう!」


 半泣きの柳沢先輩を、マキちゃんが宥めていた。

 二人共もちろん、セーラー服姿でヨーヨーを手にしている。


「さっ、三人共スマイルよ?一番最初っから通してやってみましょうね?」


 マキちゃんのお母さんは一人水を得た魚のように生き生きした笑顔でそう言った。



その後は、皆結構ノリノリで楽しくやったらしいですよ…(^_^;)


いつも読んで頂き、ブックマークや、いいね、評価下さって本当にありがとうございます

m(_ _)m


今後ともどうかよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] スケバン刑事かな?w
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ