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8回目の嘘コクは幼馴染みからでした  作者: 東音
嘘コク八人目
251/255

「8回目の嘘コク」クリスマス編 《後編》

「えっ。またバイト?」

「ああ。ごめん、めーこ。その日は軽作業のバイトがあって。クリスマスまでしばらく休日会うのは難しいかも…。」


「が〰〰ん!!||||」


 最近京太郎がバイト漬けで、休日になかなか会えず落ち込む芽衣子。


 何か欲しい物があるのかと聞いてもはぐらかされしまう。


(詳しく教えてもらえれば、私も協力するのに。

 まさか京ちゃんに限って浮気とかはないよね?

 イブにクリスマスデートだってするもんね?

 会えない時間、何もしてないと余計なこと考えちゃいそう!

 京ちゃんに贈るクリスマスプレゼントの資金を稼がなきゃだし…。私もバイトしようかな?)


 ふと過ぎった不安な気持ちを振り払いつつ、芽衣子は、取り敢えず、姉弟子の南晶が営む

 キックボクシングジム、“Hawks Moon〈ホークス ムーン〉“ へ向かい、バイトさせてもらうように当たってみるが…。


「ああ…。代打が必要な時、雇えって?悪いけど、同じ事を坊やに頼まれていて、この間安井さんのお子さんがインフルにかかっちゃった時、3日間シフト入ってもらったばっかりなのよね?」

「あの時は助かったわ〜。」


「ええっ。そうだったのぉ?」


 晶と安井から、既に京太郎が代打のバイトをしている事を知らされ、愕然とする芽衣子。


「ふふん。矢口さん、シフト入っていたもらってる時、重いもの持ってくれたり、パソコンの作業手伝ってくれたり、

 とっても頼りになったんですよ?」


「しかも、真柚さんと一緒のバイト…?||||」


 挑戦的な笑みを浮かべる真柚の前で更にショックを受ける芽衣子。


「まさかとは思うけど、京ちゃん、真柚さんに貢ぐためにバイトを…。||||」

「いや、芽衣子さん、バカなんですか?」


 青ざめてあらぬ方向に疑いそうになる芽衣子に、真柚が眉間に皺を寄せ、鋭く突っ込む。


「芽衣子さんは、バイトしようと思ったのは何の為ですか?」


「そ、そりゃ、京ちゃんへのクリスマスプレゼント代を稼ぐためで…。」


「矢口さんがバイトしてるのも同じ理由ですよ。ちょっと考えれば分かるでしょ?」


「…!!」


 腕組みをした真柚に言われ、芽衣子はハッとする。


(京ちゃん、もしかして、私へのクリスマスプレゼントを買うために、バイトしてくれてる??

 それなのに、私ったら浮気を疑ったりして…。

 よし、京ちゃんが私の為に頑張ってくれているなら、私も京ちゃんの為に頑張らなきゃ!)


「皆さん、お騒がせしました!

 私、他でバイト探します。」


「おう!頑張れよ?芽衣子。」

「うふっ。何か青春ぽいわ。芽衣子ちゃん、頑張れ〜!」

「せいぜい頑張って下さいね。」


 固く決意をして、その場を去る芽衣子に三人が激励の声をかけた。


          *

          *


「いらっしゃいませー!!不◯家のクリスマスケーキはいかがですかー?」


 それから芽衣子は、休日はケーキ屋の前で店頭販売をする短期バイトに励み…。

         

         *

         *

「バイトくん、こっちのダンボールは、全部作業終わった奴?もう封しちゃっていい?」

「あっ、はい!お願いします!!」


 京太郎は、軽作業のバイトに励み…。

         

          *

          *

 二人が待ちに待った、クリスマスイブの日。


「お料理、美味しかった〜♪パンもいっぱいお代わりして、お腹ぱんぱんだぁ…。」


「本当に美味しかったなぁ…。次から次へとお代わりパン回って来てくれるから、つい食べ過ぎちゃうよなぁ…。」


 パンの美味しいレストランでランチを食べ、お腹が苦しいながらも、満たされた芽衣子と京太郎。


 久々に芽衣子の笑顔を見て京太郎はホッとする。

(最近、休日に会えなくてめーこを寂しがらせちゃってた分、今日は芽衣子に出来る限りの事をしてあげよう。)


「めーこ。ちょっと、来て欲しいところがあるんだけど、いいかな?」

「うん。京ちゃんの行くところだったらどこだって!」


 京太郎が向かったのは、一軒のおしゃれ気なアクセサリーショップだった。


「京ちゃん、ここは…?」


 戸惑う芽衣子に、京太郎は照れくさそうに微笑んだ。


「えっと、ここ…。今、女の子に人気のアクセサリーショップらしくて。よかったら、ここのアクセサリーを1つめーこにプレゼントさせてもらってもいいかな…。」


「え!でも、こんな高そうなお店…?」


「ああ、大丈夫。一度ここで店員さんに相談して、予算とかはもう伝えてあるから。その範囲内でだけど、よかったら好きなもの選んで?」


「え、え〜?いいの…かな…?」


 躊躇いつつも、京太郎すきなひとにアクセサリーをプレゼントしてもらうという、好機を逃すことはできない芽衣子。


 キィ…。


 京太郎に手を引かれ、ドアのきしむ音と共に、お店の中に入って行くと…。


「いらっしゃいませ〜。」


 上品な店員のお姉さんが二人を見てにっこりと微笑んだ。


「あらぁ。この間来て頂いたお客さん…。可愛い彼女さん、連れて来て下さったんてすね?」


「あ、あの、この間お伝えした予算で、彼女に好きなアクセサリーを選んでもらいたいんですが…。」


「はい。お任せ下さい。」


 おずおずと頼む京太郎に、店員のお姉さんは、笑顔で頷くと、芽衣子に向き合った。


「彼女さん、どんなシーンでアクセサリーを身に付けられますか?」


「えっと。(京ちゃんから貰ったアクセサリーなら)いつも肌身離さず大切に身に着けていたいです。」


「なるほど〜。では、どんなお洋服にも合うワンポイントのものがよいですかね?

 お聞きした予算ですと、この辺などいかがでしょうか…?」


「わ…。どれも可愛い…♡(でもどれも高い!本当にいいのかな…。)」


 チロッと見遣ると、京太郎は、「大丈夫」と言うように力強く頷いた。


「うーん。どれも可愛いな…。じゃ、じゃあ、この星型の…これ…とかいいですか?」


 悩んだ末に、可愛い星型のネックレスを指差す芽衣子。


「彼女さん、お目が高いですね。それ、今、若い女性に大人気のデザインなんですよ?」


 店員のお姉さんは、テンション高く声をかけ、京太郎はそのチョイスに目を見開いた。


「え?星型のネックレスで…いいのか?」

「え?だ、ダメだった?」


「いや、全然駄目じゃない。俺もソレ、可愛いと思う…けど…。」


 びくつく芽衣子に、京太郎は、ふるふる首を振りつつ内心驚いていた。


(あれ?同じもの贈って、ギャルゲーのキャラには気に入って貰えなかったんだけどな…。)


「本当?京ちゃんに可愛いと思ってもらえるならよかった。」


「店員さん。じゃあ、それでお願いします。」


「ありがとうございます!」


 店員のお姉さんは、そんな二人に微笑み、明るい声を上げた。


         ✽



「ど、どう?似合うかな…?//」


「う、うん…。めちゃめちゃ可愛いし、似合ってる…!//」


 星型のネックレスを気に入った芽衣子は、店の人にお願いして、会計後、ラッピングをせずに、そのままつけさせて貰う事にしたのだった。


「かわっ…//あうう…!京ちゃん、素敵なプレゼントありがとう…!!ぐすっ。嬉しすぎて涙出そうだよ…。」

「め、芽衣子。もう、メッチャ涙出てるけど…。」


 既に、ポロポロ涙の雫を落としている芽衣子に突っ込む京太郎。


「あっ、本当だ…。さっきからどうも視界が曇ると思ってたっ。

 うわぁ〜ん!!わ、私っ。このネックレス一生大事にするからねっ?京ちゃんっ。ああ〜ん!」


「め、芽衣子っ…。」


 大号泣してプレゼントの星型のネックレスを喜んでくれる芽衣子の姿に、過去のトラウマも癒やされ、温かい気持ちになった京太郎。


「よしよし…。泣くなよ。めーこ…。」

「クゥンクゥン…。(ひさびさの京ちゃんの手、温かくて気持ちいい…♡)」


 京太郎は芽衣子か泣き止むまで、しばらく髪を撫でてやったのだった…。

         *


「私もプレゼントがあるんだよ?京ちゃんに貰ったの程素敵なものじゃないんだけど、受け取ってもらえたら嬉しいな…。」


「えっ。」


 落ち着いてから、芽衣子に可愛くラッピングされた包みを差し出され、驚く京太郎。


「ありがとう。芽衣子。開けていい…?」


 包みを受け取り、開けてみると中から、そこそこ値の張りそうな革バンドの腕時計が出て来た。


「うわっ。時計だっ…。こんな高そうなものいいのか?めーこ…。」


「う、うん…。京ちゃん、最近腕時計のバンドがボロボロになって来たって言ってたから…。よかったら…。」


「ありがとう。めーこ。すげー嬉しいよ。」

「エヘヘ…。//気に入ってもらえてよかった…!」


 目を潤ませて喜ぶ京太郎に、恥ずかしそうに笑いかける芽衣子。


「あと、もしよかったら…なんだけど…。//

 バイトで、売っていたケーキ貰ってきて今、解凍してるんだけど、家で一緒に食べない…?

 今日は、お父さん、お母さん、仕事で、静くんは美湖ちゃんの家に行ってるから、夜まで誰もいないんだけど…その…。//」


「…!!!///」


 上目遣いで、辿々しく芽衣子に家に誘われ、心臓がドギュンとする京太郎。


「そそそ、そうなんだ…。じゃ、じゃあ、お言葉に甘えてお邪魔させてもらっても…い、いい…かな…?」


「う、うん…♡大歓迎!!」


 そして、手を繋いでいそいそと芽衣子の家に向かう二人だったが…。



 1時間後ー。



「ぐ〜。すぴー。めーこ、もう、ケーキ食べられないよ…。むにゃむにゃ…。」


 芽衣子の家でケーキをご馳走になった後、連日のバイト疲れにより、机に突っ伏し、すやすや眠る京太郎の姿があった。


「ぐすん…。もしもの時の為に、ショートケーキをイメージした可愛い勝負下着身に着けていたのにぃ…!

 今日だけは、カフェイン入りのコーヒー飲ませればよかったあぁ…!!」


 その前で、芽衣子はさめざめと泣き、後悔に叫んでいたとか…。




 

*あとがき*


 クリスマスのお話を読んで頂きありがとうございました!


読者の皆様もどうか素敵なクリスマスをお過ごし下さいませ✧✧


 また3月頃に、誕生日編を投稿予定でして、「8回目の嘘コク」 おまけ話の投稿はひと段落する予定です。


今後ともよろしくお願いします。m(_ _)m

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