文化祭編⑮ 絆のコサックダンス 〜右足に想いを込めて〜《後編》
パンッ!パンパンッ!
「「「フンフンッ!フンフンッ!」」」
タカタカッ!タカタカッ!
タトタトッ!タトタトッ!
ダカダカッ!ダカダカッ!
その後、観客席の手拍子に乗って、肩を組み合い、コサックダンスを披露する京太郎、芽衣子、京介三人の姿があった。
三人の中には昔、京介が京太郎と芽衣子にコサックダンスを教え込んだ時の思い出が蘇っていた。
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「そうそう…。京太郎、姿勢を保ったままリズムよく、足を繰り出して…。」
『ふん、ふんっ、あっ…!
何回か足を繰り出したものの、すぐに姿勢を崩して倒れてしまう、京太郎。
「京太郎、リズム感はあるんだが、ちょっと筋力が足りないな。上手に踊れるようには、下半身をもう少し鍛えた方がいいかな?」
「は、はーい。」
「それと、芽衣子ちゃんは…。」
「ふん、…ふんふん…、ふん…、ふんふんふん!」
つらい姿勢で長時間、足を交互に出しながら汗一つかかない芽衣子に驚く京介。
「??め、めーこちゃん、子供の割に下半身周りの体幹がめちゃめちゃしっかりしてるんだな?けど、リズムをとるのは苦手みたいだね…。もう少し練習した方がいいかな?」
「は、はーい。」
「京太郎と、めーこちゃん、それぞれお互いの苦手な事と得意な事が逆だから、一緒に練習すれば、すぐ上手に踊れるようになるんじゃないかな?上手になったらおじさんに見せてね?」
京介がそう言ってにっこり笑いかけると、
二人は嬉しそうに顔を見合わせて、返事をした。
「「はーい!」」
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京太郎は隣で共にコサックダンスをする芽衣子を見遣りながら、感慨深いものがあった。
めーこ、リズム合わせるの苦手だったのに、上手になってるな。
あれから、俺も時々コサックダンスの練習を続けて来たけれど、やる度にめーこの事を懐かしく思っていたんだよな…。
めーこも同じ様に俺を思ってくれていたんだろうか。
↓
芽衣子は隣で共にコサックダンスをする京太郎を見遣りながら、感慨深いものがあった。
京ちゃん、筋力がついて、長時間ダンスの姿勢を保ってられるようになってすごいなぁ。
あれから、私も時々コサックダンスの練習を続けて来たけれど、やる度に京ちゃんの事を懐かしく思っていたんだよな…。
京ちゃんも同じ様に私を思ってくれていたんだろうか。
↓
京介は隣で共にコサックダンスをする京太郎と芽衣子を見遣りながら、感慨深いものがあった。
京太郎もめーこちゃんも、苦手を克服して、コサックダンスめちゃめちゃ上手くなってるじゃねーか。すげーな!
多分会えない間もお互いの事を思い出して、練習してたんだろうな。
昔も今もこいつらは当てられちまうぐらい仲のいいカップルだよな。
よし。おじさんがひと肌脱いで、今日の日を二人の忘れられない思い出にしてやるかな?
そして…、コサックダンスの演技を終えると、三人は肩を組んだまま礼をし、観客からは盛大な拍手をもらった。
わああぁっ!パチパチパチ…。
観客席からの拍手が鳴り止まない中、京介は手を組み合わせ、芽衣子に迫った。
「めーこちゃん。俺と結婚して下さい♡」
「…!」
「なっ…。あんた、何言ってんだよ!!」
「無事に終わりそうと思ったら、あら、まぁ…!」
「京兄っ?!||||」
突然芽衣子にプロポーズをする京介に目を剥き怒る京太郎、
その様子をカメラに収めつつ驚く麻衣子、度肝を抜かれる凪。
「えっ。略奪愛?」
「年の差エグくね?」
観客席がざわつく中、芽衣子は京介に向き合い、深く頭を下げた。
「ごめんなさい!私には将来の相手と心に決めた人がいますので!」
「ガーン!!」
京介は項垂れ、芽衣子は手を組み合わせて、京太郎に向き合った。
「京ちゃん、私と結婚して下さい!///」
「ええっ?めー…わっ!////」
チュッ♡
「わぁっ!ホッペチュウした!//」
「伝説カップル強し!おじさん、やっぱフラレたか〜。」
「めめ、めーこ…!人前で…!///」
会場が湧く中、プロポーズ&頬にキスをされ、目をパチクリする京太郎に、芽衣子はひそっと囁く。
「こ、これ、パフォーマンスの一部だって。白瀬先輩もホッペにチューだったらOK出してくれたって。だから、その、よかったら、京ちゃんも…。///」
「…!///」
赤い顔で、上目遣いでこちらを見上げてくる芽衣子にドキッとする京太郎。
「ううっ。めーこちゃん…。(ホラ、京太郎、早くやんねーと、めーこちゃん、恥かいちまうぞぉ?)」
観客向けに泣き真似をしつつ、煽るようにそう言って来る京介を京太郎は睨みつける。
(あんたは黙ってろ!ったく、誰のせいだよ…?)
「……くぅん…?///」
しかし、縋るように見て来る幼馴染みワンコの気持ちは無にする事は出来ず…。
(ああ、もう、ままよ!)
チュッ♡
「!!////」
「おおっ!プロポーズ成功した!!」
「お前ら!ここで結婚しろ〜!!」
京太郎が屈んで芽衣子の頬にキスを返すと、会場は、わああぁっと、ここ一番の盛り上がりを見せたのだった。
麻衣子は、動画を収めたカメラを撫でて満足気な表情を浮かべていた。
「いいシーンがとれたわ。奈美ちゃんにも見せてあげよう。」
「京太郎青春してんなぁ…。独り身には眩しいぜ…。」
「キラーン✧✧」
京太郎達を見守り、眩しさに手をかざす凪、その呟きを聞いて更に目を光らせる新谷先生。
京太郎と芽衣子を取り巻く人々にも、波乱がありそうであった…。
✽あとがき✽
いつも読んで頂き、ブックマークや、いいね、評価下さって本当にありがとうございます。
ステージの上の芽衣子ちゃんをイメージしたAIイラストをみてみんに投稿していますので、よければご覧下さいね。
https://42432.mitemin.net/i909710/
また、読書同好会がアイドルになったらという設定のAIイラストで、紅ちゃん&碧ちゃん、芽衣子ちゃんも同時投稿していますので、そちらもお願いします。
https://42432.mitemin.net/i909709/
https://42432.mitemin.net/i909706/
次話も引き続き文化祭編になりまして、不審者さんの後始末のお話になります。
あと、2話ぐらいで終われるかと思いますので、最後まで見守って下さると嬉しいです。
どうかよろしくお願いしますm(_ _)m