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8回目の嘘コクは幼馴染みからでした  作者: 東音
嘘コク八人目
246/255

文化祭編⑭ 絆のコサックダンス 〜右足に想いを込めて〜 《前編》


 ジャンジャンジャン…♪


「いやぁ、ステージに出るなんて、学生時代以来だぜ!高揚するなぁ!

 皆さん、どうも〜!!ダブル京ちゃんLOVE→めーこ☆彡で〜す!!」


「(ううっ…。凪叔父さん、毒牙にかからない内に、早く新谷先生から逃げてくれっ…!)」

「(お母さ〜ん!京ちゃんとの写真いっぱい撮ってね〜?)」


 ギターをかき鳴らしながら、ステージに登場し、観客席に愛想を振りまく京介、

 その後に続きながら、

 観客席の方ににいる凪、麻衣子が気になりそれぞれジェスチャーでメッセージを送る京太郎、芽衣子。


「おおっ?嘘コクの矢口に最強美少女の氷川さん?」

「プログラムにないけど、飛び入りかぁ?何やるんだ?」


 観客は、校内で有名なカップル、京太郎、芽衣子の登場にざわめいた。


「おおっ。(京太郎、あんなに燥いで手を振って!)頑張れよ〜、京太郎っ!」

「…!(この方、矢口くんの身内の方かしら?結構いい感じの男じゃない?✧✧)」


「芽衣子ったら、今度はステージに?また右足使わないといいけれど…。」


 京太郎を応援して手を振り返す凪に、目を光らせる京太郎の担任、新谷良子独身(29)


 再び芽衣子を心配にする麻衣子。


 京太郎と芽衣子を取り巻く人々も様々な思いを抱いていた。


「いよいよだな…。そっちは、大丈夫か?」

「はいっ!」

「準備万端ですっ!」


「「私達も、さっきの不審者らしき人を見つけたら、お知らせしますねっ!」」


 ステージの登り口で風紀委員長の柑菜が呼びかけると、マットのようなものを支えている雅と潮は威勢よく返事をし、

 栗珠(馬)とスミレも近くで不審者を探す協力をする意思を見せた。


 ジャン…♪ジャジャン…♪

「コラコラ〜♪お前たち、集中しろよ〜♪」


「あっ。は〜い。京ちゃん、色々気になるけど、今は…!」

「そ、そうだな、めーこ。今は、ステージに…!」


 歌いながら京介に窘められ、不審者をあぶり出すための、パフォーマンスに集中しようと頷き合う芽衣子&京太郎。


 ジャンジャン…♪ジャンジャン…♪


 ピョンピョンピョン…。


「フンッ!フンッ!」

 タカッ!タカッ!


 ギターのリズムに合わせ、腕を組み、しゃがんだ姿勢で、ピョンピョンと飛びながら、ステージの中央へ進み出て、京太郎は、ゆっくり足を右足、左足と出すコサックダンスを始めた。


 トコトコッ。


「京ちゃん、捕まえちゃうぞー!」

「わっ!」


 ジャジャン♪

 ヒュンッ!


 そこへ、いたずらっぽい笑みを浮かべた芽衣子が近付き持っていた縄の先端を京太郎の足元に回し投げるが…。


 ピョンッ!


 京太郎は、大きな両足ジャンプで回避し、観客席から「おおっ」と声が上がった。


「むぅっ。もう一回!ふん!それ!それ!はっ!やっ!」

「フンッ!フンッ」


 ジャンッ♪ジャンッ♪ジャンジャン…♪


 ヒュンッ…。タカッ…!ヒュンッ…。タカッ…!

 ヒュンッ。タカッ!ヒュンッ。タカッ!

 ヒュッ。カッ!ヒュッ。カッ!


 芽衣子が何度も地面に円を描くように縄を回すと、京太郎は、リズムに合わせてジャンプで縄を回避し、コサックダンスを再開しどんどん速い動きになっていき、観客はわあっと湧いた。


「あーん。もう、回し疲れた〜!!」


 スポッ!


 ジャンッ♪

「わおんっ!」  


 芽衣子が輪にして放り投げた縄は輪投げのように、ギターを弾いていた京介の体にスポッと入り、京介がおどけたポーズをとると、観客席から、拍手が上がった。


「よくもやったな!めーこ!フンフンッッ!」

「わっ?!フンフンッッ!」


 ジャンジャンッ♪

 タカッ!タカッ!→ タトッ!タトッ!


 今度は京太郎がしゃがんで、コサックダンスをしながら、芽衣子を追いかけて来たので、芽衣子も慌てて、コサックダンスをしながら逃げ出した。


「待て〜!めーこ〜!!」

「あ〜ん。京ちゃんごめ〜ん!!」


 ジャカジャカジャン♪ジャカジャカジャン♪

 タカタカッ!タカタカッ!

 →タトタトッ!タトタトッ!


「ハハッ。伝説のカップルケンカしてる!」

「変な動き〜!!」


 ギターを弾いている京介の周りをぐるぐる周り、手や足を大きく振り上げ、コミカルな動きでコサックダンスで追いかけっこをしている京太郎と芽衣子に、観客席からは笑いが起こった。


 盛り上がる会場の中で、一人怨念めいたオーラを出して焦っている者もいた。


「何アレ…?よく見えないけど、動きが激しいなぁ…!8番目の団体があんな出し物だなんて、乱入し辛いじゃないかっ!

 今回は辞めておくか…?

 いや、8番目の恨みを忘れるな!」


 拳を握り締めたそのツインテールの怪しい人影は、見辛そうに目を細めて舞台上の三人を観察すると、邪な計略をめぐらせた。


(うーん。ステージ上の三人のうち、女が一番華奢だから、あいつを人質にとろう。動いている二人が後ろを向いている間に決行しよう!)


 そう決めたツインテールの女は、小柄な体を人々の間に滑らせるように移動して、風紀委員が見張っている上がり口から少し離れた舞台に近付くと…。


 ステージ上で、京太郎に続いて芽衣子が舞台の後ろを向いた瞬間ー。


「あっ!あの人、さっきの怪しい人っ…!」

「「「「…!!」」」」


 バッ!!


 スミレがツインテールの人影を指差すのと、その不審者が持っていた踏み台で舞台の上に飛び上がり、銀色に光るものを片手に芽衣子に近付いていくのが同時だった。


「(8番目の恨み思い知れっ!)」


「!!? 何だお前!あいつらに手を出すな!俺が相手に…」


 舞台上に乱入した人影に、京介は京太郎と芽衣子を庇うように両手を広げ、立ち向かおうとして…、


 グキッ! べシャッ!!

「グハッ!!」


 つんのめって、派手に転んだ。


「?!めーっ…」


 振り返り、怪しい人影がめーこに近付いているのを見て、京太郎が叫んだ時ー。



「ハアーッ!!スズメバチ退散っ!!」



 芽衣子は後ろ向きのまま信じられない高さまで跳躍し、不審者へ向かって、勢いよく回し蹴りを繰り出した。


 ゴオオォーッ…!!


「ぎゃああぁーっっ…?!」


 瞬間、突風が起こり、ツインテールにセーラー服の女子はぶっ飛ばされた。


「ぎゃああぁーっっ…?!||||||||」


 自分そっくりの人影が芽衣子にぶっ飛ばされる様子を間近で見た栗珠(馬)も悲鳴を上げた。


 ボフッ!!

「う〜ん…。☠」


「「ふうっ。ま、間に合った…。||||」」

「な、何とか生きてるか…。」


 不審者のツインテール女子は、タッチの差で床の上に敷いたマットの上に落ち、安堵の息をつく雅と潮。

 気絶しているものの、不審者の息があることを確認する柑菜。


「ホッ。よ、よかった。秋川さんにそっくりだったので、つい力が入って、殺す勢いでやってしまいました。テヘペロッ。」


「?!!☠☠☠ |||| う〜ん。ブクブクブク…。」

 ドタッ!

「わ〜っ!!栗珠ちゃんも倒れちゃったぁ!」


 ステージの上で芽衣子がボソッと呟いているの聞いてしまい、ただでさえショックを受けていた栗珠は昏倒し、スミレは慌てる。


「やれやれ…。保健室に運ぶのが二人になりそうだな。」

「柑菜さん…。不審者が落として行ったものなんですけど…。」

「…!!これは…!」


 雅に銀色に光るマイクを渡され、目を見開く柑菜。



 ステージ上では、芽衣子の元へ京太郎が心配そうに駆け寄って来た。


「めーこ!大丈夫か?」

「うん。私は大丈夫だけど、京介おじさんが…。」


 京介は、床に倒れて、呻いていた。


「ううん…。不審者に刺されて俺はもうダメだ…。お前達、早く逃げろ…。」


「いや、転んだだけだろ?刺されてないから…。」

「京介おじさん、不審者はもう撃退したから大丈夫だよ?」

「え。あ…。そ、そう…なの?//」


 京太郎と芽衣子の指摘に、京介は顔を赤らめて身を起こした。

 そこへ、柑菜が舞台の下から声をかけてきた。


「すいません。盛り上がり過ぎて、舞台に上がってしまった観客がいたようで、ご迷惑おかけしました。」

「「「え?(不審者じゃ…?)」」」


 戸惑う京太郎&芽衣子&京介に、柑菜は目配せをして来た。


「もう危険はありませんので、引き続き演技をして頂いて大丈夫ですよ。」


「「「!」」」


「じゃぁ、せっかくだから…。」

「最後まで…。」

「やるとしますか!」


 京太郎、芽衣子、京介は頷き合った。       

✽あとがき✽

読んで下さりありがとうございます!

来週はおじさん&京太郎くん&芽衣子ちゃんの舞台クライマックスになりますので、見守って下さると嬉しいです。

今後ともどうかよろしくお願いしますm(_ _)m

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