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8回目の嘘コクは幼馴染みからでした  作者: 東音
嘘コク八人目
244/255

文化祭編⑫ 馬娘の懺悔


『消えたスイッチ』作者:氷川芽衣子       

         話し手:神条桃羽



『修理業者の人は、その部屋に入るなり、顔色を変えて汗を流し出しました。


 そして、棚が置かれた壁の辺りを指差して、Hさんに、こう言ったのです…!』


「ひひいいいぃーーんっっ!!(ぎゃああああぁーーっっ…!!)」      


 馬の絶叫が展示室中に轟いた。



         ✽


 桃羽のストーリーテーリングが終わり…。


「うっ。うっ。(怖かったようっ。流石姉御様の作った怪談ですっ。)」

「「(秋川さん怖がり過ぎ…。)そんなに泣くほど怖い話じゃないのに…。」」


 栗珠のあまりの怖がり様に、隣で聞いていた雅と潮は引き気味だった。


「ご清聴ありがとうございました。あまり怖くない話なのでどうかと思ってましたが、反応があるのでやりがいがありましたよっ。ふふっ。」


 桃羽はいい笑顔でそう言うと、今度は彩梅に交代する事になった。


 ガラッ!


「あっ。姉ちゃんの話、始まりそう。お母さん、早く早く!」

「分かってるわよ。清太、引っ張らないで?」


 そこへ、40代ぐらいの女性と小学生中学年くらいの男の子が展示室に入って来たのを見て、彩梅は小さく声を上げた。


「あっ。(お母さん、清太!)」


 二人は、彩梅の母と弟であり、彩梅と目が合うと手を振った。


「「お母様、清太くん、どうぞそちらに座って、ストーリーテーリング聞いていかれて下さいね?」」


「紅さん、碧さんありがとう。」

「双子のお姉さん、ありがとう。」


 去年の文化祭で面識のある紅と碧が、観覧席に案内する。


 さっきより、少し照れたような表情で、彩梅は話し始めた。


「で、では、中国の民話をお話したいと思います。//」


『ろばになる旅人』 中国民話

          語り手:上月彩梅



『女主人に怪しい焼餅を食べさせられ、宿屋の客は、皆、ロバになってしまいました。 』


「ひ、ひひいぃーんっ!!||||」



『女主人は悪い妖術使いで、人をロバにして、働かせお金を儲けていたのです。


 それを見ていた旅人の男は、その宿屋に客として泊まり、

 お店で買って来た焼餅と女主人の作った怪しげな焼餅をすり替え、うまく言いくるめて女主人に食べさせました。


 すると、女主人はいななき声をあげ、ひづめで地を蹴るロバの姿になってしまいました。』


「ひ、ひひいぃーんっっ!!||||||||」


『驚き慌てふためく女主人ロバに男は指を突き付けていいました。


「ははっ。お前が食べたのは自分で作ったものだ。よくも今まで人をロバにしてこき使っていたな。報いを受けるがいい…!」』


「うっ。うっ。うっ。(私が馬の姿になってしまったのは、全部私の昔の悪行のせいだったんですね…。)」


 彩梅の語りのところどころで馬は叫び、とうとう泣き始めた。


「「……||||||||(よりによって、何てドンピシャなお話なんだろう…。)」」


 隣の雅と潮は何も言えず、青褪める。


「ねえ、お母さん、あの馬のお姉さん、お話聞いて泣いてるよ?」

「(シッ。清太。見ちゃいけません…!||||)」


 母が固い表情で弟に窘めているのを見つつ、彩梅は苦笑いしていた。


(あの馬の人、反応良過ぎて、逆にやり辛いんだけど…。)


         ✽


「「ストーリーテーリング面白かったよ。お邪魔しました。」」

「うっ。うっ。」

 ペコリ…。


「「「「あ、ありがとうございました…。(馬の

 人、大丈夫かしら(かな)?)」」」」


 泣き止まない馬を抱えて、雅と潮は、読書同好会に苦笑いで見送られる…。


「とにかく、しばらくここで大人しくしていてね?ロバさ…秋川さん。」

「はい…。」


 二人に生徒指導室まで連行された馬…もとい栗珠だったが、部屋入口まで来た時、中から聞き覚えのある女子の声が聞こえて来た。


「ハイ!連れが、迷子になってしまったんです!

 特徴は、ツインテールで、サングラスとセーラー服を身に付けていて、一見不審者に見えるけれど、気弱で、恐怖を感じるとすぐお漏らしをしてしまうような子なんですが…!」


「ふんふん…。ええと、もしかして、その子って、あんな感じの子かしら…??」


 部屋の中で、迷子の特徴を説明をする保護者=星川スミレの話を聞いていた風紀委員副委員長の姫華は、廊下で馬マスクを被ったセーラー服の女子を指し示す。


「え、えーと…。(確かに私と同じ学校の制服だけど…。)」


「スミレちゃあんっ!!」


 バッ!


 栗珠は戸惑っているスミレに駆け寄り、

 馬のマスクを取る。


「あっ!栗珠ちゃん!探したよ〜?」

「スミレちゃん!うわああぁ…!!」


 保護者と迷子の感動の再会に安心する一同。


「迷子って秋川さんの事だったのね…。どこの不審者かと思ったわ…。」


「ふうっ。よかったな…。」

「本当に…。これで、8番目を狙っている本当の不審者の件に専念出来るね…。」


「8番目…??」


 雅の言葉にピクリと反応して、一瞬涙を止めて首を傾げる栗珠。


「そう言えば、私とサングラスがすり替わった人も、「8番目の恨みを忘れるな」って言ってたような…。」


「「「…!!」」」


 風紀委員一同に再び緊張が走る。


「秋川さん!その話、詳しく聞かせて?」

「え、は、はい…。」


 雅に詰め寄られ、栗珠はトイレでの出来事をその場にいる皆に話したのだった。

いつも読んで頂きまして、ブックマークやいいね、評価下さってありがとうございます。

作中に出て来たストーリーテーリングのお話は、以前芽衣子ちゃんが作った怪談話(?)と、実際にある中国民話からとりました。


アニメまんが世界昔ばなし「ろば◯なった旅人」を観てみましたが、かなりインパクトのあるお話でありました…。機会がありましたら、ぜひご覧になってみて下さいね。


また、活動報告でもお知らせしますが、本作品とカクヨムで連載していました「紅糸島」(明日から投稿予定)という作品をアニセカ小説大賞に応募してみようと思います。


その際、出来る限り段落一字下げなど編集を行っていきたいと思っていまして、もし大量の更新通知がいってしまったら大変すみませんm(_ _;)m


ご迷惑をおかけしますが、今後ともどうかよろしくお願いしますm(__)m

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