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8回目の嘘コクは幼馴染みからでした  作者: 東音
嘘コク二人目
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本当の嘘コク

 

「いや、今回の放送マジヤバかった。きっと皆に大盛況だよ。」「クラスの友達から、教室で歓声上がってたってメール来てる。」「君達しばらく話題の人かもね。あわや、放送事故のピンチを救ってくれてありがとう!」「またぜひ出演してくれ!」


 放送終了後、放送委員全員から、感謝と感嘆の声を浴びながら、俺と芽衣子ちゃんは呆然としている秋川を置いて、一足先に放送室を出た。


「ふぅ。」


 疲れた顔でため息を漏らす俺を見て、芽衣子ちゃんが、ぷっと吹き出した。


「ふふっ。フクククっ。」


「おい、笑うなよ。芽衣子ちゃん。どうせ、こういうの、慣れてないよ。」


 俺が唇を尖らせて文句を言うと、芽衣子ちゃんは手を振って、否定した。


「ち、違うんです。京先輩が動画始まる前、渋い顔して必死に笑いを堪えてるの思い出しちゃって。私もつられて笑いそうになっちゃって、大変だったんですからね?ふふふっ。」


 芽衣子ちゃんは涙目になって笑っている。


「いや、あの動画見て、秋川どんな顔になるんだろうと思ったら、もう可笑しくて可笑しくて。」


「はい。すんごくビックリしてましたね。」


「しかし、あんな動画よく用意してたな。」


「はい。秋川先輩の事を忠告してくれた方から、秋川先輩の好まない状況になる動画を念の為用意しといた方がよいと言われまして。私も、まさか必要になるとは思っていなかったのですが。」


「バッチリその人の読み通りだったな。

 用意しといて良かったな。」


「ええ。私としては、最後に撮った嘘コク動画も気に入っているのですが、放送するなら、あっちの方が皆が幸せになれるかなと思いまして。」


 芽衣子ちゃん茶目っ気たっぷりの表情で

 ウインクをした。


「私の目指す本当の嘘コクは、誰一人傷付けたりしないんです。むしろ、周りの人を幸せにしてくれるものなんですよ?」


「何だよ、ソレ…?」


 俺は脱力して苦笑いしていた。


 そんな嘘コク聞いたことねーよ!


 本当にこの子は天然で、言ってる事もさっぱり分からない。

 だけど、その言葉は意味不明な中にも、彼女なりの確固たる信念のようなものが感じられ、俺の心を強く打ったのだった。


 この子が望む事があるなら、叶えてやりたい。その為に俺が出来ることがあるなら、何でもしてやろう。


 そう思っている自分がいた。


「今日のところはやり過ごしたけど、今後も、秋川には十分気をつけてくれよ。しばらくは、一人で行動しない方がいいかもしれない。」


「はい。マキちゃんについててもらいます。」


「うん。その方がいい。あと、心配なのは、あの動画で、芽衣子ちゃん、俺と変に噂になったりしないかって事なんだけど…。」


「ああ、そんなのは全く問題ありません。むしろ外堀り埋まって好都合…、ゲフンゲフン。いや、何でもありません。大丈夫。それも対策を考えていますから。」


「そうなのか?」


 念の為、1年の教室まで送っていくと、戸口から、廊下に笠原さんがヒョコッと顔を出して、手を振ってきた。


「芽衣子ー!!」


「マキちゃんー!!」


 芽衣子ちゃんも大きく手を振り返し、駆け寄っていった。


「放送、すごく良かったよ!お約束もよく守ったね。マキちゃんがヨシヨシしてやるぞ?」


「クウン!キャフンキャフン!」


 芽衣子ちゃんは笠原さんに飛び付くと、その頭を撫で倒されていた。


 芽衣子ちゃんって犬属性だったのか?

 覚えとこう…。

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