文化祭編⑦ 2-D アニマルクイズミッション
「矢口先輩のとこの展示は、クイズだって?」
「うん。今の時間、京ちゃんが案内役してくれるって言ってた。楽しみだな〜♪」
メイドカフェの当番を終えて、京太郎のクラス、2-Dの『アニマルクイズミッション』の出し物を見に来た真希子&芽衣子。
「あっ。めーこ!」
「きょ、京ちゃん…!」
廊下で、羊の被り物をした京太郎と目が合い駆け出す芽衣子。
ガバッ!
「京ちゃん。羊の被り物可愛い〜!!///ワフンワフン♡♡」
「わあぁっ!!///めーこ!!」
「どうどう、メーワンコ。羊を襲ってはいけないよ?」
羊の被り物を被った京太郎に萌えて、思い切り抱き着く芽衣子を窘める真希子。
「ふ、二人共、来てくれてありがとう。今の時間空いているから、ゆっくり案内できると思うよ?」
「わーい!ありがとう、京ちゃん!」
「よろしくお願いしまーす!私、クイズは結構得意なんで、楽しみです!」
京太郎の言葉にテンション高く答える二人だった。
「スギ、マサ、二人お客さん、入るぞ〜?」
「「了解!!」」
後ろの扉から、同じ時間の当番、スギとマサにクイズの問題用紙とそれを挟むバインダーの鉛筆のセットをもらい、芽衣子と真希子に渡す。
「今から、①から⑧まで、クイズを出していくから、それに答えを書き込んでいってくれるかい?」
「「はーい!」」
解答用紙には、①から⑧まで、○○○○のように、丸の中に1字ずつ答えを書き込むようになっていた。「きゃ」「ぎゃ」などの文字は、それで一文字らしい。
「じゃ、二人共、中へどうぞ?」
ガラッ!
「わあ…✧✧」
「おぉっ…✧✧」
京太郎に誘導され、前扉から教室へ入った芽衣子と真希子は、中を見て歓声を上げた。
教室の中は黒いカーテンで2つに仕切られていて、
三人のいる前半分には、森と動物をモチーフに、可愛く飾り付けられている中、
順路に従って、机の上に、クイズの表示と、かごを持ったぬいぐるみが置かれていた。
黒板に、
『アニマルランドクイズミッション』
と大きく書かれた下に、ウサギやクマ、羊、犬、ネコ、などがチョークで描かれ、その横に、説明文が書いてあった。
「今日は森の動物達のパーティーの日。
パーティーで食べるごちそうの食材集めに
皆も協力してくれると嬉しいな?
クイズに正解ごとに、食材カードをゲットできるよ。
全部集めて、印のついている文字を読み上げると、ミッション達成!!頑張ってね?」
「まぁ、説明文にあるように、クイズにチャレンジして、ぬいぐるみの籠にある食材カードを集めていくというイベントなんだ。」
「そうなんだぁ。何だか可愛いミッションだね。」
「飾り付けも凝ってるね〜。」
京太郎の説明に周りをキョロキョロしながら、笑顔になる芽衣子と真希子。
「じゃあ、早速この1番からクイズにチャレンジしていこうか。答えが書けたら、俺に見せてね?」
京太郎に指し示されたテーブルの上には、ウサギとカメが一生懸命走っている挿し絵と共にクイズの問題が書いてある紙が立ててあった。
「はーい。えっと…。クイズ①この動物達がしていることはなんでしょう?」
「何か、ウサギとカメの絵が書いてあるね?」
芽衣子と真希子はクイズの問題と絵を見て首を捻った。
「ウサギとカメの童話みたいだね?」
「うーん、だとしたら、解答欄に○○○○とあるから、『きょうそう(競争)かな?』」
答えを書いて、京太郎に渡すと…。
「ピンポーン!正解です!!」
「やったぁ!マキちゃん、すごい!」
「よかった。意外と簡単だね?」
笑顔で親指を立てる京太郎に、早々に正解して、テンションの上がる芽衣子&真希子。
「じゃあ、このぬいぐるみのかごの中に入っている食材カードを一枚とってくれる?」
「はーい!」
問題文の隣に置いてあるウサギのぬいぐるみが持っている籠の中から、食材カードを取り出す芽衣子。
「白菜…かな?」
「だね?」
食材カードに書かれた葉野菜を真希子に見せて確認し合う。
「では、2番目のクイズにどうぞ。」
「はーい。クイズ➁驚くほど早く10歳になった動物はなんでしょうか?」
「んー。芽衣子?」
「へっ。私、そんなに早く成長しないよ?」
「…!(あ、ああ…。)」
問題文を読み上げるなり、真希子にそんな解答をされ驚く芽衣子に密かに頷いてしまう京太郎。
「??難しいなぁ…。京ちゃん、ヒントはないの?」
「ああ。えーと、じゃあ…。「がおー!がるるるる…!」
両手を上げて襲いかかるポーズを取る京太郎(羊)に、腕組みをして考え込む芽衣子。
「うーん。トラっぽいような…?あっ!もしかして猛獣?もう10っ!?ってこと??」
「ピンポーン、正解!!」
「やったぁ!」
正解して喜ぶ芽衣子に、真希子が吹き出す。
「ぷぷっ。やっぱり芽衣子じゃん!」
「もぉ〜。マキちゃんったら、こんなに大人しい子のどこが猛獣に見えるの!」
「……。(ごめん。芽衣子、俺も納得しちまった。||||)」
プリプリしている芽衣子から静かに目を逸らしつつ、誤魔化すように、問題文の隣のぬいぐるみを指し示して、次の行動を促した。
「ま、まぁまぁ、二人共。答えを解答欄に書き込んだら、食材カード取ってな?」
「あ。はーい。」
「今度は、きのこだね。」
今度は真希子がライオンのぬいぐるみの持っている籠から、きのこの絵が書かれた食材カードを取り、隣の机へ移る。
「えーと、次は…。クイズ③このネコは、一体何をしているところでしょう?」
真希子が読み上げた問題文の隣にはスマホを持っている猫の挿し絵があり、その猫の首付近に←H の表示があった。
「??//(こ、これは、もしやアダルトな問題では…?)」
顔を赤らめた芽衣子は、勢いこんで、京太郎に頼み込む。
「きょ、京ちゃん…!ぜひヒントをお願いします。普段はワンコですが、今だけ猫になるので、ぜひ、私にえっ…Hっ…。///」
「へ?あの、めーこ?」
「コラコラッ!メーニャワンコ!文化祭の出し物で何を期待しているんだ。ハウスだぞっ?」
「キャフニャンッ?」
戸惑う京太郎に詰め寄っているところを真希子に止められ、犬と猫が、混ざったような鳴き声を上げる芽衣子。
「CAT(猫)にHを入れて、答えはCHAT!」
「おおっ。正解!!」
真希子に解答に拍手をする京太郎。
「あっ。そそ、そうだったんだぁ…。///(わ、私ったら何を思い浮かべて…!)」
何やら邪なものを思い浮かべてしまった芽衣子は、恥ずかしさに顔を覆う。
今度はネコのぬいぐるみから、白だしのつゆの食材カードをゲットした二人であった。
「クイズ④いつでも自由に電車に乗れる犬はなんでしょう?
んー。やっぱり芽衣子?」
「もう、マキちゃんたら…。」
いたずらっぽい笑みを浮かべる真希子に苦笑いしつつ、芽衣子は自分の解答を告げる。
「これは、私分かっちゃったかもしれないな?「定期券」じゃない?」
「おおっ!ピンポーン!正解!!」
「やったぁ!!」
「すごいじゃん!芽衣子。」
「この問題、皆苦戦するのに、よく分かったな?芽衣子。」
「えへへ。最近定期券更新したばかりだからピンと来たんだよぉ…。」
二人に褒められ、照れくさそうに頭を手にやる芽衣子。
犬のぬいぐるみから、「油揚げ」の食材カードをゲットした。
※ちなみに芽衣子の定期は、いつでも京太郎の家に行けるよう、芽衣子の家の最寄駅から京太郎の家の最寄駅までの区間となっています…。
その後も、順調にクイズに正解し、ぬいぐるみの籠から食材カードをゲットしていった、
芽衣子&真希子。
「答えはらくだ!!」
「ピンポーン!大正解!!」
「マキちゃんすごい✧✧」
最後のクイズも難なく正解し、食材カードも、「白菜」「きのこ」「白だしのつゆ」
「油揚げ」「エビ団子」「ネギ」「とうふ」
「ごぼう」
と全て揃えていた。
「めーこ、笠原さん。全ての食材カードをめたね、おめでとう!!では、こっちで最後のミッションにチャレンジしてくれるかな?」
「「はーい!」」
京太郎は部屋を仕切っているカーテンの一部をめくり、教室の後ろ半分のスペースへ芽衣子とマキを移動させた。
そして、教室の後ろ半分のスペースには、
真ん中に、会議室テーブルを2つほど並べた上に、大きな土鍋が設置されていて、出入り口付近には、スギ(キツネの被り物をしている)とマサ(豚のかぶりものをしている)が2つ机を並べて、席についていた。
「「氷川さん、笠原さん来てくれてありがとう!最後のミッション頑張ってね?」」
「「あっ。杉崎先輩、福富先輩、先程はどうも!」」
声をかけられ、クラスのメイドカフェに来てくれていたスギとマサに会釈する芽衣子&真希子。
「揃えたカードをこの鍋の中にいれて、解答用紙に書かれた解答で上に☆の印がついた文字を、上から下に大きな声で読み上げてくれたら、ミッションコンプリートだよ。
頑張ってね?」
笑顔でファイティングポーズを向ける京太郎の言葉に従い、
「よいしょ…。」
真希子は、食材カードを土鍋に入れ…。
「えーと…。☆のついた文字…。…!!」
芽衣子は、解答用紙を見やって、☆マークのついた文字を確認すると目を見開いた。
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「アニマルクイズミッション解答用紙」
☆
① きょうそう
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➁ もうじゅう
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③ チャット
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④ ていきけん
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⑤ いたずらっこ
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⑥ すずめ
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⑦ かき
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⑧ らくだ
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芽衣子は、すうっと息を吸うと、教室中に響く大声を張り上げた。
「きょ、京ちゃん、すきだあぁ〰〰〰〰っっ!!!////」
「めめ、めーっ…?!///」
「コンッ!?///」
「ブヒッ!?///」
芽衣子の叫びに驚く羊(京太郎)、狐、豚。
「あ、あれ…?ち、違うの…??」
「め、芽衣子…。やると思ったよ…。」
苦笑いしつつ、焦る芽衣子に肩ポンをする真希子。
「芽衣子、一文字抜かしてる。正解は「京ちゃんこ(鍋)すきだ」だよ?
食材カードと鍋丸無視してんじゃん。」
「はっ。そう言えば…!
キャーッ。は、恥ずかしいぃっ…!!///」
真っ赤になり、顔を手で覆う芽衣子。
「京太郎、羞恥プレイは二人の時にやってくれよ。//」
「そうだぞ?こっちまで恥ずかしいぞ?//」
「違うって〜//」
スギとマサにコソッと文句を言われ、京太郎も真っ赤になっていた。
*
その後、スギとマサにミッションクリアの景品に折り紙で作った動物キャップをもらった芽衣子&真希子。
「いやー、しかし、芽衣子と一緒にいるとホント、スリリングで楽しいわ〜。」
「もう〜。スリリングって何〜。」
京太郎も一緒に教室を出て、他の出し物を回る二人を見送る。
「め、めーこ、笠原さん、来てくれてありがとうな?」
「いーえ。クイズ、とっても楽しかったです。」
「う、うん。楽しかったよ?京ちゃん。今日は予定が合わなかったけど、明日は一緒に出し物回ろうね?//」
「お、おう!//」
芽衣子と京太郎はさっきの告白に、ぎくしゃくしながらも明日の文化祭デートを楽しみに、恥ずかしそうに笑い合い別れたのであった。
ここまでが文化祭編の前半部分になります。今まで読んで頂きましてフォローや、応援、評価下さって本当にありがとうございました✧✧
次回、1日空きまして、11/13(水)〜
後半部分をカクヨムサイトさんと同時投稿していきます。毎日投稿ではなく、週3回水、木、金投稿投稿になります。変則的になりご迷惑をおかけしますが、今後ともどうかよろしくお願いしますm(_ _)m