文化祭編⑥ 1-Dメーワンコカフェ
「演劇部の劇、見た?」
「見た見た!風紀委員長の王子様姿、かっこ良かったよね?Мだったけど。」
「あと、シンデレラ役の氷川さんも綺麗だったよね?結局現彼氏(魔法使い)とくっついたけど。」
「そう言えば、氷川さんのクラスメイドカフェやるんだって。結構盛況らしいよ?」
「へ〜。行ってみよっか?」
午前中、演劇部の劇でシンデレラ役を演じた芽衣子。
劇が好評だった為、生徒達の話題に上り、午後からクラスの出し物のメイドカフェにも人が押し寄せていた。
「はいっ!氷川さん!!5番テーブルに、オムライス三つ!!」
「了解しましたっ!!」
殺伐とした忙しさの中、クラスメートからオムライスの皿を載せたトレーを受け取るメイド姿の芽衣子。
そして、制服姿の三人の男子が座っている5番テーブルに向かうと…。
「め、めーこ。忙しい時にごめんな。//(うっ。芽衣子のメイド服、メチャメチャ可愛いっ。)」
「「氷川さん、こんにちは。」」
「キャフン!京ちゃん…♡!!それに、杉崎先輩!福富先輩!」
京太郎、スギ、マサの一行が5番テーブルの席に着いており、驚く芽衣子。
「来てくれて嬉しい!!心を込めてオムライスにハートを書くね?」
感激した様子で、ケチャップを両手で構える芽衣子に、周りの席の客がどよめく。
「えっ。あの、水色のリボンの子、ハートは描けないって言ってた子じゃない?」
「ってことは、あれがあの子の超ウルトラスーパーカッコいい彼氏?」
「えっ?な、何だ何だ?」
「「京太郎、メッチャ注目されてんな。」」
「それは、私がご説明しましょう!」
戸惑う京太郎達に、髪にエメラルドグリーンのリボンを結んだメイド服姿の真希子が登場した。
「芽衣子は、ケチャップでオムライスにハートを描けるようになったものの、「他の人にハートを描くのは、京ちゃんへの裏切りになっちゃう!」という事で、他のお客さんから要望があっても、
「ハートを書くのは超ウルトラスーパーカッコいい彼氏さんにのみと決めていますので、他のマークか文字に変えて頂けますか?」とお断りしていたのです。」
「え。そ、そうだったのか?めーこ?!///(っていうか、超ウルトラスーパーカッコいい彼氏って、誰だよ?他のお客さん俺を見て首を傾げてて、恥ずかしいんだけど…。)」
「えへへ…。//皆さん快く了承して下さって、早く彼氏来てくれればいいねって声をかけて頂いての…。」
真希子に説明され、テレテレの京太郎と芽衣子。
「そして、今、矢口先輩が来て、芽衣子が唯一オムライスにハートを描く瞬間が訪れたのです!
ミュージック、スタートォっ!!」
チャーラーラララララ…♪
「!??」
「京ちゃんへ…愛を込めて…♡」
真希子のかけ声にムーディーな音楽がかかりる中、芽衣子は、京太郎の前に置かれたオムライスにケチャップでハートを描いていき…。
ハートが完成した瞬間ー。
「皆様、ハートの完成です!!水色リボンのメイドとその超ウルトラスーパーカッコいい彼氏に、盛大な拍手をお願いします!!」
真希子が、他の客に、感極まった様子で拍手を乞うと、1-Dの教室中に、大きな拍手が沸き起こった。
「いいぞ!両想いカップル!!」
「シンデレラ、魔法使いカップル最高!!」
「え、ええ〜?//」
「うふふっ。皆さん、ありがとうございます!//」
周りから、結婚披露宴のケーキ入刀ばりの注目を受け途方に暮れる京太郎と、幸せそうな笑顔を浮かべる芽衣子。
「ふわ〜。京太郎、すごい事になってんな…。」
「氷川さん、パワフル過ぎ…。」
そして、同じテーブルで、友人の大騒ぎに、目を瞬かせるスギ&マサだった…。
※ちなみに、彼らも友人なので特別待遇で、それぞれの彼女の名前の隣にハート
(アミ♡、マコ♡)を描いてもらえたそうですよ…。