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8回目の嘘コクは幼馴染みからでした  作者: 東音
嘘コク八人目
230/255

おまけ話 君と見るフルムーン

 

「あっ、満月…!」

「ああ、そう言えば、今日、お月見の日だって、ニュースで言ってたっけ…。」


 週末、京太郎の家にて、文化祭に向けての作品作りに励んだ京太郎&芽衣子。

 駅までの道を京太郎に送ってもらっていた芽衣子が、ふと頭上を指差して、歓声を上げ、京太郎も芽衣子の指の先に丸い月が浮かんでいるのを確認し、頬を綻ばせた。


「京ちゃん。せっかくだから、お月様を愛でながら、ちょっとだけ、公園でお喋りしていきませんか?」


「ああ。いいよ?あんまり夜遅くなると危ないからちょっとだけな…?」


 キラキラした瞳で、芽衣子に誘われ、京太郎は、駅前の公園に寄り道する事にした。


 *

 *


「今日は、月が綺麗だね…?京ちゃん?」

「ああ…。ホント、月、綺麗だな…。」


 公園のベンチに並んで座り、自販で買った飲み物を飲みながら、少し青みがかった大きな月を見上げる芽衣子と京太郎。


 以前芽衣子と一緒に満月に近い月を見る機会があり、その時は、芽衣子の「月が綺麗」発言を嘘コクだと勘違いしてしまった京太郎だったが、今は、芽衣子が夏目漱石の逸話を知らない事が分かっているので、純粋に月の綺麗さに感動しているのだと思い、同じように「月が綺麗」と返してしまった京太郎だが…。


「んふっ♡」

「??」

 答えた瞬間、芽衣子は、してやったりとばかりのニンマリ笑顔になった。


「京ちゃん。私、最近国語力を身に着ける為に、読者同好会の皆さんに、文豪のエピソードとか色々教えてもらっているんだよね…。」


「…!!め、めーこ。もしかして、夏目漱石の逸話知ってた…のか…?///」


 恐る恐る聞く京太郎に、上目遣いでいたずらっぽい笑みを浮かべる芽衣子。


「ふふっ。京ちゃんは、知ってるみたいだね?「月が綺麗」ってどっちの意味で言ってくれてたの?」


「い、いや、知ってるけど、めーこはその逸話知らないで言ってると思ったから、ただ本当に月が綺麗だという意味で言ってたよ。め、めーこはどっちの意味で…言ってくれてた…んだ?」


 ドギマギしながら、聞く京太郎に、小首を傾げる芽衣子。


「ふふっ。どっちでしょう?京ちゃんの望む方になろうかな?

 月の美しさに無邪気に喜ぶ私と、月にかこつけて、京ちゃんを誘惑しようとする私、どっちが京ちゃんのお好みですか…?」


「め、めーこ…!!」


 惑わすような笑みを浮かべる芽衣子に思わずドキッとしてしまう京太郎。


「かか、からかうなよ。そ、そういう試すみたいなの、良くないぞ?」


 噛み噛みながらもそう言い返すと、芽衣子は悲しそうな顔で謝ってきた。


「京ちゃん、ごめん。こんな事を言う私は、憎い…?」


「や、べ、別に憎いわけじゃないけど。(心臓に悪いだけで…。)」

「ホント?私の事、憎くない?」

「あ、ああ…。」


 慌てて、頷く京太郎に、芽衣子は再びのニンマリ笑顔になった。


「『憎くない』ってことは…。それって、私の事を『憎からず』思ってくれてるって事でいいのかな…?」


「め、めーこぉ…!!//」


 再びの芽衣子からの攻撃にしてやられたとばかりに、額に手を当てる京太郎。


(やべー。国語力を身に着け始めためーこ、たちが悪いぞ。多少強引な方法をとってでも、攻撃をなんとか封じなければ…!)


「憎からず思っている…つまり、遠回しに私の事を「好き」と…はうっ?!京ちゃ…!//」


 チュッ♡


 芽衣子の発言を遮るように、京太郎はそのほっぺに素早くキスをする。


「は、はうぅん…♡♡♡///」

「ほ、ホラ、国語のお勉強はまた今度な。もう、遅くなるし、帰るぞ?//」


 キスされたほっぺに手を当てて、腰砕けになる芽衣子に、照れ隠しのようにそう言い聞かせ、ベンチから立ち上がり、その場を去ろうとする京太郎。


「あ〜ん。チュウで黙らせるなんて、京ちゃんずるい!」


 芽衣子は、そう文句を言いながらニッコニコの笑顔で京太郎の後を追う。


「あんまり刺激の強い事すると、普段は大人しいめーわんこも、狼に変身しちゃうんだからね?送られ狼になっちゃうぞ?がおー!」


「普段からめーわんこは大人しくしてないだろう。だいたい、送り狼なら分かるけど、送られ狼って何だよ?」


 お馴染みのボケ突っ込みのやり取りを繰り広げながら、満月の光の下、二人は寄り添い歩き出した。


 ✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽


 そして、その翌日、読書同好会部室にてー。



「ふんふんふ〜ん♪」


 鼻歌を歌いながら思いつくまま、ノートに詩を書きつける芽衣子。


『満月の光の下ー。


 言葉で誘惑する私。

 行動で返り討ちにするあなた。


 今だったら、私、サイ◯人(大猿Ver.)にも変身できそう♡』


「氷川さん…。サイ◯人はやめといて…?||||」


「え?」


 書きつけを目にした部長の上月彩梅にメッチャ真剣な顔で、止められましたとさ…。



芽衣子ちゃんなら変身できそうですよね。


おまけ話、ただイチャイチャしてるだけの話ばかりになってますが大丈夫そうでしょうかね?(^_^;)


文化祭編はもう少しストーリーが展開していくと思いますので、今後も見守って下さると嬉しいです。


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