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8回目の嘘コクは幼馴染みからでした  作者: 東音
嘘コク二人目
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私を信じて!

 

「何を考えてるんだ、芽衣子ちゃん!」


 放送室の外へ出た途端、俺は堰を切ったように芽衣子ちゃんを責めた。


「なんで動画データなんか持ってんだよ?しかも、どうして、田橋に渡したりなんかしたんだ?秋川の狙いは分かってた筈だよな?」


 芽衣子ちゃんは泣きそうになりながら謝った。


「ご、ごめんなさい。お守り代わりに持っていて。京先輩も映っていたのに、私勝手に…。でも、あのままじゃ、京先輩、あの変な企画をさせられるかと、気が気じゃなくて…!」


「そんな事を言ってんじゃないんだよ!俺の評判はもう落ちに落ちてるし。今更どうって事ない。あの企画だって、田橋が暴走して言い出しただけで、他の奴ら皆引いてたじゃん。

 秋川は、芽衣子ちゃんが俺をかばって自分から企画に乗るだろうって狙いだったんだよ!」


「そ、そうだったんですね。ごめんなさい…。」


 芽衣子ちゃんは青ざめて、口元を抑えた。


「いや、ごめん。俺が油断しすぎたせいだ…。」


 芽衣子ちゃんを責めても仕方ない。

 昼の学校放送だから、変な事は起こらないだろうと油断してしまっていた俺が全て悪い。


 あの恐ろしい秋川が何も仕掛けて来ないなんてことある筈がなかったんだ。


 何かが起こるよりも先に、逃がしてあげればよかった。


 今からでも遅くない。やるべき事をやろう。


「芽衣子ちゃん、今から鼻ポンして保健室に、逃げるんだ。体調崩したと放送委員には言っとく。」

「京先輩はどうするんですか?」


「俺は今から何としてでもデータを取り返す。別にここで放送終わるなり、アンコール放送するなり放送委員の奴が決めればいいだろ?放送なんて人一人不幸にしてまで、やるべき事じゃない。」


「で、でも、そんな事したら、放送委員の方に恨まれませんか?秋川さんにまた悪い噂を流されませんか?」


「だから、今更俺の評判はどうでもいいよ。でも、芽衣子ちゃんに何かあったら、元も子もないだろ?

 何のために俺がここに来たと思ってるんだ。俺はこれ以上俺に関わった人間が不幸になるの、見たくないんだよ。」


「それは私だって同じことですよ!逃げるのは嫌です。京先輩が、これ以上傷付けられるの見たくない!」


 芽衣子ちゃんは目に涙を浮かべて強い口調で言い返して来た。

 いつもはおっとりしている彼女が見せた思いがけない激しさに俺は目を見張った。


「芽衣子ちゃん…。」


「京先輩が私の事を心配してくれるの、すごく嬉しい。だけど、お願いだから、京先輩。今この瞬間だけでいいから、私を信じて!

 京先輩が心配しているようにはならないから。」


「だけど…。」


「それに、京先輩。そうなったら、そうなったで大丈夫なんですよ?例え学校中が敵に回ったとしても、私は平気。耐えれます。

 私はかつて、周りが全て敵だった状況でもたった一人が側にいてくれたおかげで生き抜く事が出来ていたんだから…!」


 そう言って、微笑みさえ浮かべる彼女の強さはどこから来るのだろう…?


「芽衣子ちゃん。君は一体…?」


「京先輩、耳を貸して下さい。」


 芽衣子ちゃんは屈んだ俺の耳元に顔を近づけ、ある事を告げた。

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