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8回目の嘘コクは幼馴染みからでした  作者: 東音
嘘コク六人目
134/255

あらぬ誤解


そして翌日の朝ー。


俺と芽衣子ちゃんは、小谷くんと組み、風紀委員の活動として男子生徒の服装チェックをすることとなった。


「カッコいい腕章!何だか気持ちが引き締まりますね?」


「そうだね。」


青いラインの入っている、風紀委員の腕章を付けて、少し嬉しそうな芽衣子ちゃんに、俺は微笑んだ。


生徒が集まる前に、風紀委員同士の服装チェックがあり、俺は昨日のTバック姿を思い出し、密かに芽衣子ちゃんの事を心配していたが、(※校則では、過激な下着は禁止)

問題なくクリアしていたようなので、ホッとした。


「人数が少ないせいか、何故か、氷川さんまで武闘班に入れられちゃったみたいでごめんね。」


「いえいえ。そんな。大丈夫ですよ。」


小谷くんが、申し訳なさそうに芽衣子ちゃんに謝っていたが、その配置が妥当なものであることを知っている俺は苦笑いした。


白瀬先輩が、その配置をした事を考えると、芽衣子ちゃん、彼女の前でその強さが知れるような事やらかしたんだろうな…。


「おまけに男子の服装チェックに回されちゃって、ごめんよ。困る事があったら、俺と、矢口くんで対処するから言って?」


小谷くんの言葉に、俺も大きく頷いた。


「うん。芽衣子ちゃん、何でも言ってね?」


「はい。その時は、お願いします。お二人がいるから心強いです。」


にっこり微笑んだところに…。


ちらほら、登校する生徒が現れ始めた。


「男子生徒は、こちらに2列に集まって下さ〜い!」


他の風紀委員の女子が呼びかけてくれ、それぞれの列に並んでいる男子生徒達の服装を小谷くん、俺&芽衣子ちゃんで次々と、チェックしていった。


清楚な美少女として人気の高い芽衣子ちゃんにチェックを受け、デレデレする男子が続出で、俺はちょっと面白くなかった。


「あ、あれ?私達の列異様に長くないですか?二人でチェックしてるから、早く終わると思われてるのかな?」


芽衣子ちゃんは、人気者だと自覚も、そんな事を気にする余裕もなく、後ろに並んだ列の長さに目を遣り、ふうふう言いながら、作業をこなしていた。


いつの間にか、以前大山さんに無体を働こうとした、例の大柄で悪人面の男子生徒が目の前に立っていた。どうやら、他の人を押しのけて、無理矢理前に出て来たらしい。


芽衣子ちゃん顔を顰めて注意をした。


「あの、順番守って下さい。」


「細かい事言わないで、早く脱がして服装チェックしてくれよ?やってくれないなら、俺が逆にあんたを脱がしてやってもいいけどな…。」


その男子生徒は、芽衣子ちゃんの手を掴んで、スケベそうな笑みを浮かべた。

「…!!」


ったく、コイツ凝りねーな!!


「芽衣子ちゃん!」

「氷川さん!」


俺と小谷くんが芽衣子ちゃんの方に駆け寄ろうとした瞬間…。


芽衣子ちゃんの足元が一瞬ブレ、不意に風が吹いたかと思うと、男子生徒は、校庭の土に膝をついていた。


「かっ、かはぁっ?な、なんだ、こりゃ?あ、足が痺れっ。た、立てねぇっ。」


「あら、転んじゃったんですか?しょうがないですねぇ…。」


氷のような目で、芽衣子ちゃんが男子生徒を見下ろしていた。


「なっ、何言ってんだ?お前が蹴ったんだろう?」


「言いがかりはやめて下さい。蹴ったところを()()()()()()()()()()?」


文句を言ってきた男子生徒は、芽衣子ちゃんに聞かれ、怯みながらも言い返した。


「い、いやあんな早い動き見えるわけねーだろっ!?」


「た、確かに氷川さん、直接触れてはいなかった…!!(すごい…。風圧だけでダメージを与えるなんて、柑菜さん以上の達人だ…!)」


小谷くんが慄きながら、芽衣子ちゃんの言葉を肯定していた。


っていうか、今の動きが見えているだけで

小谷くん充分すごい。

流石武道をやっている人は違うなと感心してしまった。


「ホラね。か弱い女の子が、大の男を転ばせられるワケないでしょう?


そんなに早く脱がされたいんだったら、京先輩にお願いしてください。

彼の脱がせっぷりは、もう、すごいんですから!あっという間に、パンツ1丁にされちゃいますよ?」


「ちょ、ちょっと、芽衣子ちゃん?!」


俺を手で指し示して何故かドヤ顔で胸を張る芽衣子ちゃんに、男子生徒は、驚愕したように俺を見つめ、ポッと顔を赤らめた。


「イ、イヤン…。」


キモッ!でかい図体でしなつくるなよっ!



ザワザワッ。


「ん?」


芽衣子ちゃんの発言を聞いていた周りの生徒に動揺が走った。


「や、やっぱり、あの二人そういう関係なんだ…!」

「矢口、氷川さんの服あっと言う間に脱がせたんだ…!」


俺と芽衣子ちゃんを見て、ヒソヒソ話を始める。


「あっ。ち、違いますよ〜!!私が脱がされたワケじゃなくて、京先輩が他の男の人の服を脱がしているところを見た事があるだけですよ〜!!」

「ちょ、ちょっと、芽衣子ちゃんってば!!」


焦って誤解を解こうと大声で弁解する芽衣子ちゃんだが、周りのざわめきは、更に大きくなった。


「えっ?彼女の前で、他の男の服を脱がすってどういう状況?」

「それ、何のプレイなの?」


「あ〜、だから、違うんですってぇ!!もう!!」

「全部誤解だ!違うから!!」


「あわわ…。矢口くん、氷川さん…。助けたいけど、どうしたらいいんだ…。」


否定する俺と芽衣子ちゃん、途方に暮れる

小谷くんー。


事態の収拾に時間がかかり、服装チェックは、予定よりかなり時間がかかってしまった。


ちなみに、あの悪人面の男子生徒は、俺と芽衣子ちゃんを怖がって、小谷くんに別人のように、大人しく服装チェックを受けていた。


気が小さいのなら、最初から絡んで来なきゃいいのに…。


そう言えば、ある意味もう一人の要注意人物=庭木信太は、服装チェックに来ていなかったな。今日は、休みだろうか?


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