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8回目の嘘コクは幼馴染みからでした  作者: 東音
嘘コク六人目
131/255

忠犬メイ公


「お帰りなさいっ!ご主人様!!」


4時限目の授業が終わると教室の前で、そう言って出迎えてくれたのは、後輩の茶髪美少女=芽衣子ちゃん。


「芽衣子ちゃん、迎えに来てくれてありがとう。でも、ご主人様って…。しかも、ここ家じゃねーし…。」


俺は、いつもの事ながら芽衣子ちゃんの不思議な趣向に苦笑いで突っ込んだ。


「えへへ…!ちょっと忠犬○チ公ぽく言ってみたくて…。」


恥ずかしそうに頭を掻く芽衣子ちゃん。

俺の顔を見た瞬間、パアッと顔を輝かせて出迎えてくれる様子は、確かに主人をしっぽをパタパタ振って嬉しそうに出迎えてくれる

小型犬に似ていたが、そのセリフとビジュアルは、まるで○イド喫茶の店員さん。


ワンちゃんの耳をつけて、メイド服を着た芽衣子ちゃんを思い浮かべて、

いいかも…ニヘラと邪な笑みを浮かべてしまった。


「京先輩…?」

「はっ…!ご、ごめん。何でもない!」


そんな俺を純真な瞳で不思議そうに見詰める芽衣子ちゃんに、慌てて誤魔化した。


いや、いかん!俺は何を考えてるんだ!!

自分の立場を考えて自粛しろっつーの!!


俺は、これから犯罪者としてのリーチがかかっている状態で、風紀委員の活動をせねばいかんというのにっっ!!


今日は、風紀委員のミーティングがあるため、昼休みは昼食持参で生徒指導室に集合となっていた。


昨日は、セクハラをした上、邪な思いを見破られてしまった俺だが、芽衣子ちゃんは、聖母のような包容力で俺を許し、ある条件を飲んでくれたらそれを誰にも言わないと約束してくれた。


その条件とは、風紀委員の活動がある時は

毎回、俺の教室に迎えに行き、一緒に集合場所に行きたいという可愛らしいものだった。


「しばらく、京先輩と二人でいられる時間減っちゃうし。ちょっとでも、一緒にいられる時間があると、いいかなと思って…。ダメですかぁ?」


上目遣いで手を組み合わせてウルウルとした瞳で美少女に見詰められ、(しかも、俺の邪な気持ちを黙っていてくれる為の条件で)

俺に拒否できるワケがなかった。


俺は、芽衣子ちゃんと並んで、いつもよりゆっくりとした歩調で、生徒指導室へ向かっていた。


「あ。そう言えば、俺達と組んで仕事をする事になっている小谷くんだけど、例によって保健室に寄ってから向かうから、少し遅れるってさ。」


「ああ。大山さんですか?」


「うん。大山さんには、委員会優先して欲しいって言われるんだけど、大山さんが一人でお昼してるとこ想像すると、小谷くんが辛いんだってさ。」


「ふふっ。大山さん大事にされてるんですねぇ…。幼馴染みですものね…。」


芽衣子ちゃんは、どこか懐かしそうな目をしながら微笑んでいた。


そんな彼女の姿に、俺ももう一人の女の子を重ねて思い出してしまった。

大分心配かけてしまった事だし、一応彼女にも言った方がいいよな?


「あのさ。幼馴染みといえば、めーこの事なんだけどさ。」


「はいっ!!」

「へっ?」


いきなり大きな返事をされて、俺は目を丸くした。


「あ。い、いい、今のは返事をしたワケではなくてすね!!あの、めめ、めーこちゃんの件どうなったのかな〜と思ってつい大きな声を出しちゃっただけなんですよぉ?」


慌てふためく芽衣子ちゃんに、ちょっと引き気味に頷いた。


「お、おう…。そうなんだ…。」


何だか分からないが、芽衣子ちゃん、今日も順調に挙動不審だな。


「そそ、それで、そのめーこちゃんがどうしたんですか?」


「ああ。芽衣子ちゃんに心配かけちゃってたから、一応報告しとくね。

俺、めーこの事、自分の中で大分拗らせてしまってたから、気持ちの整理をつけようと思ってさ。

今、母にめーこのお母さんに連絡してもらって、彼女が今、どうしているか聞いてもらってるんだ…って、危なっ!?」


ズルッ!ドベシャッ!!


俺が止める間もなく、芽衣子ちゃんは、スカートを翻し、派手にすっ転んだ。


ぐふっ!水色のT…バッ…ク…だとっ?今日のは破壊力高っ!!綺麗な形のお尻がほとんど見えっ…?!


「ら、らいじょーぶか?べーこちゃんっ!!」


熱いものが込み上げそうなり、俺は鼻を押さえながら、駆け寄ると、芽衣子ちゃんは、床に横倒しになりながら、持っていた手提げ袋を上に抱え上げていた。


「は、は、はい…。お弁当は、なんとか死守しました…。」


「いや、まず自分の体を守ってよ…。はい。」

「あ、ありがとうございます…。そそっかしくて、すみません。」


俺が手を差し出すと、芽衣子ちゃんは、恥ずかしそうに礼を言い、俺の手を支えに起き上がった。


幸いどうやら、ケガをしている様子は、ないようだった。


「そそ、それで、めーこちゃんのお母さんと、連絡はとれたんですか?」


「いや、それが、この間連絡した時は、

めーこのお母さんが仕事で立て込んでいるときに電話しちゃったらしくて、あんまり詳しい話ができなかったようなんだ。ただ、めーこは、元気でやってるらしいけど…。」


「ホッ。よ、よかったぁ…。あ、い、いや、取り敢えず、めーこちゃんが元気だと分かって本当によかったですねぇっ?」


「あ、ああ…。めーこのお母さん、また、仕事が一段落したら、連絡くれるって言ってたらしいけど…。」


「!!そ、そうなんですね。きょ、京先輩。私、唐突に小用を思い出してしまいまして、すみませんが、先に生徒指導室でお弁当食べてて頂いても大丈夫でしょうか?」


芽衣子ちゃんは、何やら必死な様子で、お弁当の手提げを俺に渡して来た。


「あ、ああ…。いいけど…。」


「自分から一緒に行きたいっていいながら、すみません!用事が終わったら、すぐ私も向かいますので!!」


芽衣子ちゃんは俺にペコリと頭を下げると、ダッシュで走り去って行った。


俺は苦笑いでその様子を見守った。


まぁ、こういうのは、生理現象だから、しょうがないよな。

芽衣子ちゃん、トイレ間に合うとよいけど…。

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