夕暮れの火葬
飼ってる犬が死んだ。
大好きだったサツマイモをお供えして
いつも着ていた服の色のお花を飾る。
帰ったら当たり前にいる存在になっていて、居なくなった喪失感は恋人と別れたときよりもきっと大きい。
悲しいよりも絶望という言葉が当てはまるような感情で、辛いのに、泪は出なかった。
口から血をだした遺体をみて私の体はこわばり、口角はキュッと少しだけ上がった。
焼いた骨はスカスカなサンゴみたいで、花の匂いと混ざって海の匂いがした。
手を合わせる家族の顔と、火葬屋のおじさんの手元、コロコロと転がっている骨を何度も交互に見ていた。
今朝、金縛りにあった。
霊感が強い私からしたらいつものことだ。鳥肌が立ち、耳がキンキンと鳴り、体が硬直しても不思議と怖くなくて、そのまま昼頃まで眠った。
犬の名前を大声で呼ぶ妹の声で目が覚めると、冷たく、硬くなった愛犬がソファで死んでいた。
きっと、家を駆け回って空へ向かっていったんだろうと冷静に思った。
母は、きっとまだ家に居るから、感じたら何処にいるか教えてと言われた。
霊がいるときには、すぐに感じ取ることができる私でも、その死んだ時刻の金縛り以降何も感じ取れなくて
家にはもういないことを実感した。
最後の最後で私の元へきてくれたこと、
普段憎い、霊感に感謝した。
これを書いている今、二週間が経った今。
泣いている