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Magicians Circle  作者: ransu521
体育祭編
89/309

えっと……次は借り物競争だそうだ

第一競技も終了し、次はいよいよ俺の出番か……。

次の競技はというと……借り物競走か。

この学校の借り物競走って、本当一筋縄ではいかないから困る。

去年この競技をやったやつにどうだったかを尋ねていると、


「あれはもうやりたくない……」

「第一、これは借り物じゃないっての!!」


など、ほとんどの人が口をそろえて拒絶反応を示していた。

……そんなに無理難題がふっかけられるのか?

この借り物競走は。


「瞬一~!頑張って~!!」

「まぁ……何とか頑張ってはみる!!」


手を振りながらこちらに向かって叫んでくる葵の言葉を聞き、俺はそれに言葉を返す。

すると、葵は笑顔になり、やはり俺を応援するのだった。


「瞬一先輩」

「む……その声は、刹那か」


ふと隣を見ると、青組のハチマキをした刹那がいた。

ああ、言い忘れてたけど、この競技は男女学年混合型なんだよね。

借り物競走って、特に足の速さとかあまり関係ないから。

なにせ、早く借りられたやつの勝ちだから。


「意外だったな。お前がこの借り物競走に参加してるなんて」

「私もよ。瞬一先輩だったら、さっきの100m走とかをやってそうだもの」

「そうか?俺って案外面倒くさがりだからな……ちなみに、リレーをやらされる羽目になったけど」


葵と晴信、そして大和の推薦により、俺はリレーで走る羽目になったのだ。

晴信はともかく、葵と大和の意見と言われると、説得力があるしな。

さらに大和の言葉に乗じて、北条までもが、


「三矢谷瞬一の体力は相当のものよ!」


などと、ありもしないことを吹き込みやがった。

おかげでもう逃げられない状況に追い込まれたということだ。

……北条め、いつか絶対借りを返してやるからな。


「ご苦労様、瞬一先輩……だからって私は負けませんし、手加減する気もありませんよ?」

「知ってる。俺だってリレーがあるからって体力温存策なんてとりゃしねぇよ」


もとよりそんなつもりなど微塵もない。

やるからには全力でやる。

これ、俺のルール。


「……いいじゃない。けど、その根性もいずれ私が折ってみせるわよ」

「折れるもんなら折ってみろ。俺の意志は、そんじょそこらのもんじゃなかなか折れないぜ?」


なんか気分が乗ってるからだろうか。

俺らしくもなく、刹那に挑発している俺がいる。


『さぁやって参りました借り物競争!この競技より、たった今学校に到着致しました私、宮橋修也がお送り致します!』


……はい?

なんか、実況がついてきたんだけど。

しかも、無意味にハイテンションな上に、コイツ体育祭の日に堂々と遅刻してきたってことか?


「なんていうか……馬鹿ね」


刹那が何時もの毒舌(?)を吐く。


『馬鹿で結構です!何せ体育祭ですから馬鹿にならないのが損!暴れなくては損!!盛り上がらなくては損!!!』


……今、刹那の言葉に対して返答しなかったか?

おかしくね?

実況席があるとしたら、本部の所にあるわけだろ?

だというのに、どうして本部に一番遠いはずのこの場所からの声(しかも観客の大歓声によるデコレーション済み)が聞こえるのだろうか?


『細かいことは気にしないで結構ですよ!そこの貴方!!』


……俺?


『さぁいよいよ競技が始まろうとしています!本日はここ、雷山塚高等学校・中学校で共用している闘技場よりお送りしています!!』


どっかのテレビ中継かよ、これは。


「……負けないわよ、瞬一先輩」

「……ああ、分かってるっての」


どうやら刹那は、実況を全力で無視する方針を立てたようだ。


『それでは参ります!位置について!』


……今度はコイツがスタートの合図を言うのか。


『よ~い……』


パン!

結局最後はピストルの音が鳴り、俺達は一斉にスタートした。

……大丈夫かね、この体育祭。
















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