部員が六名になった所で
「……以上がうちの部活でやることだ」
さすがに実戦を見せるだけでは足りないということで。
優奈と刹那には、一応口でも説明することとなった。
んで、今説明し終えた所というわけだ。
「なるほど……」
「へぇ。結構大変そうな部活ね」
「まぁな。でも、入れば楽しい部活だぞ?」
俺は二人にそう言った。
すると。
「……まぁ、決めたわ」
「え?」
刹那の言葉を引き継ぐように、
「私達、この部活に入ることにします」
優奈が続きの言葉を言う。
……今、この部活に入るって言った?
……マジで?
「いっやほぅ~!最高にHighってやつだ!!」
何か、晴信が壊れた。
ヤバいな……あれは衝撃が強すぎたか?
「だ、大丈夫ですか?宮澤さん」
「別に平気だ。俺は至って正常だ」
なんだ、そうなんだ。
心配した俺が損だったぜ。
「おい、心配して損だったとか思ってないだろうな?」
「いいや、思ってた」
「そこは否定する所だろ!?」
もとより晴信のことを気にかけることもしなくてもいいからな。
こういう場の時の晴信は、驚異的な生命力を発動させて自動的に回復するように出来てるんだからな。
「それじゃあ……これで部員が六人になった!」
葵は、部員が六人になったことを喜んでいた。
何故喜んでいるのかというと……。
「どうして六人になったことがそんなに嬉しいんですか?」
その理由を、優奈が尋ねる。
どうやら刹那も気になっているみたいで、言葉を待っていた。
葵は笑顔になり、
「六人になれば、今度の大会に出場出来るんだよ!」
「大会?何の大会ですか?」
『大会』と言われてもいまいち理解出来なかった優奈達に、俺が補足的説明を加える。
「大会ってのは、十一月に行われる『全国魔術戦闘大会』のことを指すんだよ。そんで、規定参加人数が六人なんだよ。去年は三年生の先輩がいてくれたからよかったものの、卒業しちまったからな」
俺達が高校一年生の時に発足したこの部活だが、受験のことなど顧みずに入部してきた高三の先輩がいて、それで人数は間に合ったんだが……。
「それで人数が少なかったんですか」
「にしても、その大会は六人一チームでやるの?」
「うん。けど、各校から何チームでも出していいらしいよ」
一応、各校何チームでも出場することが認められているこの大会だが、まぁこの大会もまた白熱するんだが……それは別の機会にすることにしよう。
「んじゃま、落ち着いたところで、そろそろ部活を終わりにすっか」
今日はこの位にしとかないと、俺の体を休めることが出来なくなっちまうし。
「そう言えば、体育祭ってもうすぐですよね」
「え?」
朝も俺達の中で出た話題だが、この二人からもそんな話題が出てきた。
「先輩達は何組なの?」
「俺達?俺達はみんな、赤組だけど」
「私は黄色組です……」
「私は青組よ。ここまでばらつくなんて……」
見事なまでに後輩二人は分裂していた。
……説明しておくと、この学校の体育祭は、中高同時に開催されて、赤・青・黄・緑の四色に分けられる。
んで、その色の分け方というのが、中学は単純に、1組・2組・3組・4組の順番で、それぞれの色となるわけだが。
高校が何かと面倒な分け方をしていて、SG・AF・BE・CDの順番で、それぞれの色に対応することになる。
「去年も思ったけど、上から順番にしてけばよかったんだよな」
「それだと戦力な差が出るからって、こういう風な分け方にしたらしいぜ」
まぁ、晴信の言うことも分かるんだけど、体力的な差に、クラスなんて関係ないだろうに。
「まぁとにかく、体育祭の時はお互い敵同士だ。全力で勝たせて貰うぜ?」
「「こちらこそ(上等よ)!!」」
声を合わせてそう言うこの二人は、やっぱり双子なんだなと認識させられる。
「と言うわけで、本日の部活は終了!これで解散だよ!!」
葵がそう号令を出して、本日の部活はこれでお開きとなった。