新たなる部員の出現!?
放課後。
俺達は部室にやってきて、部活を始めようとしていた。
俺達の部活は『魔術格闘部』というだけあって、特別に闘技場の使用許可が取れているため、今日もそこへ行こうと思っていた時だった。
コンコン、というノックの音が、扉より鳴る。
「ん?誰だろ……」
一応部長である葵が、突然の来客に対して応じることとなる。
葵が扉を開けると、そこから入ってきたのは、
「あれ?優奈に刹那?」
「お知り合いですか?」
入ってきたのは、優奈と刹那の二人だった。
俺がそんな反応をしたものだから、一之瀬がそう尋ねてきた。
「ああ。ちょっとした付き合いでな」
「……瞬一、そろそろいい加減にした方がいいよ?」
「……何怒ってるんだ?葵」
何か葵から負のオーラらしきものが見え始めている。
……本能が告げる、逃げろと。
だが、次の二人の言葉で、この場は一気にひっくり返ることとなる。
「部活見学に来ました」
「部活見学に来たわよ」
「「「「……え?」」」」
俺・葵・晴信・一之瀬の四人分の声が重なる。
……マジでこの二人が部活に来た。
「……それ、本当?」
思わず葵が、自信なさげにそう尋ねていた。
それに対して二人は、
「「はい(ええ)」」
声を揃えて、そう答えた。
すると……先ほどまで葵の周りに纏わりついていた負のオーラは、いつの間にか消え去り、
「やった!ついにこの部活も部員が6人になった!」
「いや、まだ入部するって言ったわけじゃないからな」
葵が喜んでいるのに水を差すようで悪いが、現実はそうだ。
……晴信、そこで鼻血を出して悶絶してるのはどうしてだ?
「いや、だってよ……葵があまりにも……」
「変態」
「ガハッ!」
おっと!
刹那の攻撃は、晴信にとって効果抜群か!?
「残念だったな!言葉攻めは俺には効かない!!」
何この無駄な争い!?
晴信のくせに耐久力が上がってる!?
「……へ。伊達に訓練したわけじゃねえってわけさ」
「なんのだよ」
速攻突っ込みを入れた。
すると晴信は、意味も無さげに右手を挙げて、その場で回転をしながら、
「それは心の耐久力をつけることさ。強い奴は心も強いって言うだろ?」
「……そんな気もしなくもないですけど」
困ったような顔をして、一之瀬は反応する。
……律儀に反応してやらなくてもいいのにな。
「まぁ、先輩の場合は、あまりに言葉で攻められすぎて、動じなくなってるだけかもしれないけどね……下手したら快感なんて感じちゃってるかも」
「「ブッ!!」」
俺と葵は、刹那のストレートすぎる言葉に対して、思い切り吹いてしまった。
「おいそこ!勝手に吹いてるんじゃねえ!」
「……いや、だってよ……ククク」
「だって……ねぇ?……アハハ」
笑いを堪えきれていない俺と葵。
「だ~!とりあえずお前ら!自己紹介をしろ!!」
この空気を取り払う為か。
晴信は、優菜と刹那の二人を指差し、そう叫んだ。
優菜は若干申し訳なさそうな表情をして。
刹那は精々したと言わんばかりの笑顔で、自己紹介を始めた。
「はじめまして。私は一年B組植野優菜って言います。科学魔術師で、得意属性は水です。どうかよろしくお願いします」
とりあえず簡単な自己紹介をして、優菜はペコリと頭を下げた。
思わずこっちも、頭を下げてしまいそうになるが、それは刹那の自己紹介が終わってからでもいいだろう。
「私は一年A組植野刹那よ。同じく科学魔術師で、得意属性は火。とりあえずよろしく」
「……お前はもう少し後輩らしく出来ないのか?」
刹那は敬語というものを知らないのか。
一応は先輩である俺達にも、敬語を使おうとしない。
……最も、俺としてはそっちの方が親近感が湧いて話しやすいんだけど。
「なんでわざわざ歳が近い人のことを敬わなければならないのよ?」
「ごもっともで……俺もその考えの人間だしな」
「あら……瞬一先輩とは気が合いそうね」
「奇遇だな……俺も思ってた。一緒に晴信を弄っていこうな」
「……って、俺かよ!?」
突如自分の名前が出されたことに驚きを隠しきれていない様子の晴信。
……お前には悪いが、これからは刹那と共に、お前を弄っていくことになるやもしれん。
「……えっと、とりあえずそろそろ部活を始めようよ」
葵が遠慮がちにそう俺達に提案をする。
流石に部長である葵の発言を無下には出来ないので、俺達はそこで留めることにした。
「……命拾いしたな、晴信」
「まっ、次はコテンパンにしてやるわよ」
不敵な笑みを浮かべつつ、俺達は闘技場に向かった。
祝!PVアクセス210000 達成!
祝!!ユニークアクセス15000達成!!
これからもどうかよろしくお願いします!!!!




