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Magicians Circle  作者: ransu521
水の都グレイブスタン王国編
78/309

“悪魔憑き”

「ん……」


目を覚ますと、俺は自分の部屋で寝かされていた。

いつの間に運ばれてたんだ……俺。

ところで、今は何時だ……?


「今は夜の9時だよ」

「9時か……って、え?」


およそそこにいるはずのない人物の声が聞こえて、俺は驚く。

慌てて俺は、目線をその人物に向ける。


「大和か……」

「葵とか、王女の方がよかったかな?」

「……いや、余計な心配はかけさせたくないからな」


何で大和なのかは知らないが、とりあえず女性陣の誰かではなくてよかった。

何でかは知らないけど……そう思えた。


「聞いたよ、瞬一……見合いが決闘になったんだってね」

「まぁな……展望台にいた男が、俺に決闘を挑んできてよ」

「それは……大変だったね」


まるで人ごとみたいに言ってくる。

……実際人ごとなのは、いいようもない事実なのだが。


「それでよ、大和……ひとつ聞きたいことがあるんだけど」

「何?なんでも言ってみてよ。僕に答えられる範囲なら答えるから」

「んじゃ……」


若干ためらいながらも、俺はあのことを言った。


「黒服の男……メルゼフっていうらしいんだけど、そいつと勝負していて、俺が勝ったと思ったら……突如メルゼフから黒いオーラみたいなものがかかって、力を増したんだ」

「……」

「俺はそいつの変化のしように驚いた。今までルールは守ってきた奴が、いきなり自我をなくして暴走し、どんな魔術を使うかと言ったら、黒い弾みたいなものを出してきて……大和、お前にこのことが分かるか?」


俺が話し終えると、少し考える素振りを見せる大和。

そして……。


「……ごめん。僕にも分からないや」

「そうか……ならいいんだ」


やっぱし大和にも分からないか。

あの黒いオーラらしきものは一体何だったのだろうか……。

気になったが、考えるだけ無駄なのかもしれない。


「んで、他のみんなは?」

「ああ、葵達なら自分の部屋で休んでいるよ。国王も自室で、王女も自室みたいだね」

「そっか……そういや、明日には俺達、帰るんだよな」

「だね。ゴールデンウィークはまだ明日明後日の二日間あるけど、さすがに明日には帰らないといろいろまずいしね」


学校に行く支度も済ませなければならないし。

楽しいことは、本当にあっという間に過ぎちまうものだな……本当。


「明日は遅くにこの国を出ると言っても、朝からまた観光に行くみたいだから、早く寝た方がよさそうだぞ?」

「そうだね。僕はそろそろ部屋に戻ることにするよ。君が無事だったことも一応報告しないといけないし」


そう言って、大和は立ち上がる。


「んじゃ、また明日な」

「うん、また明日」


そう挨拶を交わすと、大和は部屋から出ていった。


「……寝るか」


明日は早い。

言ったのは自分なので、早く起きる為に、俺は寝ることにした。















Side大和


「……」


瞬一の部屋から出た僕は、ただ驚くしかなかった。

瞬一から聞いた話―――あれは間違いなく。


「……“悪魔憑き”」


“悪魔憑き”。

それは、闇魔術を取得する際に必要条件となる――云わば通過儀礼みたいなもの。

この状態の器の中に悪魔が入ってきて、その悪魔と深層心理に潜む自我とが契約を結んだその時……契約が成立し、闇魔術を取得することが出来る。


「けど、それはあくまできちんとした魔方陣を描いてからの話だ……生身の人間が、何もなしにそんな状態に陥るとも思えないし……」


第一、あそこは屋外であり、しかも昼だ。

悪魔を呼び込み、儀式を行うには、あまりにも不適切な状態下にあるとも言えよう。

なのに、それが発動した。


「……一体、これはどういうことなんだ?」


分からない。

謎が残るばかりだ。

……日本に帰ってから僕がやるべきことが一つ増えた。


「……このことについては、調べてみないと」


さて、とりあえずは瞬一が目覚めたことを報告しなければならないな。

僕はとりあえず、一番近い部屋である晴信の部屋の扉をノックして、中に入った。
















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