裁きの雷の発動
「……げほっげほっ」
「……え?」
そして晴信は、信じられない光景を見た。
「ふぅ……ひどい目にあったぜ」
「な……何でお前、まだ立ってられるんだよ」
傷を負いながらも、瞬一は立ち上がっていた。
最も、傷を負っていると言っても、魔術服のおかげで体がかなりしびれているという程度に収まってはいるが。
「ちょっとした最終手段をな……この瞬間に、魔術結界を張らしてもらった」
「あんな短時間で、結界が張れるなんて……」
馬鹿げてる。
と、確かに晴信は瞬一に告げた。
しかし瞬一は、その言葉すらも笑って聞き流す。
「さて。お前にはもうあまり力が残ってないんだったな。ここで決着つけないと、俺の負けになる……
そろそろ俺の体も限界だ」
体をフラフラとさせながら、瞬一は言う。
しかし、無意識のうちに行っているその行為が、
「あ……あ……」
晴信に無意味な恐怖を植え付けていた。
「朝に、お前に言ったことがあったな」
「俺に言ったこと?」
「この試験の為に……上級魔法を習得したってよ」
そう言うと、瞬一は右手を空へと掲げる。
そして、その術の詠唱を始めた。
「神の公正なる裁判にて、彼の者に正しき判決を下す。下された判決は有罪。よってここに、神の雷にて裁きを下す」
地上に何個もの魔法陣が展開される。
地上だけではない。
上空にもだ。
「……なんだよ、これ」
信じられないものを見るかのように、晴信は呟く。
この攻撃を喰らえば、自分は確実にやられることだろう。
魔術服がなかったら、自分は間違いなく死んでいるだろう。
自分の親友ながら、その容赦のなさに、改めて感銘を受けるのだった。
「まぁ、俺も容赦ない一撃喰らわしたから、これでおあいこってか……けどな、そう簡単にその術を
喰らうわけにもいかないってもんよ」
残った魔力を最大限に利用して、晴信は魔術結界を張る。
「無駄だよ晴信。この術は、その結界すらも破壊する……最も、使ったら最後、俺もほとんどの魔力を
使っちまうってもんだけど。ま、一日経てば魔力戻るし、いいだろ」
「それもそうだな……楽しかったぜ、瞬一!」
「俺もだよ、晴信。決着をつけるのが惜しいくらいにな!」
笑顔でそういい合う二人。
互いにその場を動けないので、ある程度の距離をとっての会話となる。
「けど、決着をつけてこその勝負だからな……この一撃で終わらしてやる」
「いいぜ、かかってきな!」
「なら……行くぞ!!」
叫び、瞬一はその術の名を告げる。
「ジャッジメントスパーク!!」
瞬間。
何かが壊れるような馬鹿でかい音が、闘技場中に響き渡る。
あまりの衝撃に、闘技場全体が揺れるような気配さえ感じられた。
「あがっ!!」
魔術結界を張っていた晴信だったが、初撃でその結界は破壊される。
そして、晴信の体に、雷撃が当たる。
「……」
そのまま、パタリとその場に倒れこんでしまった。
よって、ここにクラス分け試験第一試合の勝者が決定した。
『そこまで!』
校長の声が、闘技場に響いた。
『救護班は急いで彼らを治療室へ連れて行け!担架は四つだ』
「四つ?俺は必要……ない……だ、……」
最後まで言葉を言い終える前に、瞬一は倒れてしまった。




