水の国グレイブスタン公国
そう時間はかからないうちに、俺達はグレイブスタン公国に着いた。
飛行機から降りて、空港を抜け、そして俺達が目にしたものは……。
「……おお」
そこは、科学が発展した国……というわけでもなく。
そこは、かなり古典的な雰囲気を醸し出している……わけでもなく。
何というか、ベネチアに来たような、そんな感じがしている。
綺麗な水が、街中にあふれている。
一言でこの国を表せと言われたら……楽園という言葉が似合うだろう。
街の人も、みんな笑顔で生活しているみたいだし、何より活気がある。
「この国の治安がいいんですね……」
「もちろんですよ。現国王であられるレイブン・グレイブスタン様の政治は、誰一人として不満の言葉が出ない程のものですから」
「……お前、やっぱり日本語うまいよな。何気に敬語もきちんと使えているみたいだし」
本当は日本人なのではと思わせるような、そんな感じだ。
アイミーもそうだが、俺に関わったグレイブスタンの人が、特別日本語がうまいのか?
「いえ、そうではないんですよ」
「……どういうことですか?」
空が、分からないと言ったような表情を見せて、シュライナーに尋ねる。
……おい晴信、空のそんな表情を見て、一人で悶絶してんじゃねえよ。
「ここの国の人は、日本との交流が比較的多いから、母国語とは別に日本語教育もやってるんですよね?」
「……その通りです」
なるほど……日本で言うところの英語的な役割を果たしているのか……。
にしても、よく大和はそんなこと知ってたな。
「さすがは大和君……物知りなのもいいわ……(≧∇≦)」
でた……北条の顔文字感情表現(今つけた)。
「ところで、来たはいいけど、私達は何処に行けばいいの?」
葵がシュライナーに尋ねる。
するとシュライナーが、
「大きな荷物等を先に城まで持って行ってしまいます。ですが、客間を準備するのに少々時間が……」
「「「「「「城!?」」」」」」
大和を除いた、俺・葵・晴信・一之瀬・空・北条の驚きの声が重なる。
え……俺達、城に泊まるの!?
「はい。場内の準備が整うまで、この国の観光をお楽しみいただけたら幸いです」
「えっと……私達、そんな所に泊まっても、よろしいのでしょうか?」
一之瀬が遠慮がちにシュライナーに尋ねる。
するとシュライナーは笑顔で。
「もちろんです。国王の……そして、お嬢様のご招待なのですから」
「待遇はでかいのか?」
「恐らく」
ちょっと期待してもよさげかな?
「んじゃ、俺達は観光に行くとしようか」
「だね。でも、この国はどんな所があるのかな?」
「まずはこの国の中央にある広場に行ってみてはいかがでしょうか?そこには人もたくさんいますし、景色がきれいな展望台もあります」
「ほぉ……よっしゃ!みんなでその広場に行くぞ!」
「「「「おー!!」」」」
俺の声に合わせて、空・葵・晴信・北条の四人が同調する。
一之瀬は若干遠慮がちに、大和は爽やかに笑って流した。
「それでは、待ち合わせもその広場で」
「おう!」
こうして俺達は、グレイブスタン公国観光を楽しむこととなった。