ゴールデンウィークの始まり
ゴールデンウィーク。
その名の通り……と言えるのかどうかは不明だが、とにかく休日が何日も並んでいる一週間のことを差す。
この日、俺は飛行機に乗っていた。
理由は……俺がとある国からの招待を受けたからだ。
その国の名前は……グレイブスタン公国。
「楽しみだね~」
「……まぁ、お前達を連れていくのはいいんだけども、くれぐれも道には迷うなよ」
「分かってるって!」
俺がこのことを言ったら、葵・大和・晴信の三人は連れてけと迫ってきた。
断り切れなかった俺は、その旨を確認する為に、校長室からアイミーの所に電話を入れる。
すると、全然大丈夫、むしろ歓迎という言葉を聞いたので、その言葉に甘えることにした。
そして今日いざ空港に来てみると……。
「空や一之瀬はいいとして……北条、お前まで来たのか」
「私が来たのに何か不満でも?」
「不満以外に何を持てと?」
「殺すわよ?」
「サーセン」
怒らせると何が起こるか分からないからな。
そんなわけで、最終的なメンバーは、俺・晴信・大和・葵・一之瀬・空・北条の七人。
……このメンバーで行動することが多くなったな、最近。
「それだけ、俺達が仲良くなったって証拠だろ?」
「……一之瀬と大和、それに空はともかく、俺は北条とはあまり接点がないはずなんだが」
「ていうか、大和君が行くところにいつもいるよね?」
「い、いいじゃない!私が行きたいんだから!!」
照れたような顔を見せる北条。
……いや、大和、北条のこと見てやろうな、うん。
「どうしたの?僕の顔に何かついてた?」
「ああ。目と鼻と口がついてる」
「それは当り前のことじゃないか」
……正論だな。
この前晴信に同じ質問されたから、同じことを言ってみたんだ。
すると。
『マジで!?やべぇ……俺、マジでやべぇかもしれネェ』
なんて、愉快な反応をとってくれた。
ヤバいのはお前の頭の中だっつの。
「ところで……この飛行機、おおよそ飛行機とは思えないような構造をしてるのは気のせいかな……?」
葵がそんな疑問を持つ。
まぁ疑問を抱くのは仕方ないだろう。
飛行機の席だってのに、ソファみたいに柔らかい椅子。
豪華な飾り付け。
極めつけは……みんなが向かい合わせになるように作られている構造。
「何なんだ、この金のかけっぷりは」
「ものすごいです……天井なんて、シャンデリアが……」
「これ、小型旅客機なんだよな?」
「……細かいことは気にするなの典型的なパターンだな」
上から順番に、晴信、一之瀬、俺、そしてもう一回晴信の言葉だ。
何というか、さすが一国の王……やることが違いすぎる。
「準備の方はすみましたでしょうか?」
「!シュライナー!!」
「し、知り合いなんですか?」
知り合いも何も……こいつは王女直属の執事である。
まぁ、俺としてはそんなこと関係ないけど。
「それでは席の方にお座りください。間もなく飛行機は離陸いたしますので」
シュライナーの言葉に従うように、俺達は椅子に座り、シートベルトをつける。
それを確認すると、シュライナー自身も椅子に座り、シートベルトをつけた。
同時に、飛行機は離陸する。
……アイミー、元気にしてるかな。