何で俺が!?
晴信をぶっ飛ばして清々した俺は、久々となる我がクラスに足を運ぶ。
……何だか、二年生になって初日の出来事を彷彿とさせる感じだな。
何といか、入りにくい空気が、この教室から漂ってくる。
「こんな空気に遭遇するのは、二度目だな……出来れば入院なんて経験、卒業するまで御免だぜ」
それにしても、アイミーの方は元気でやってるかなぁ。
ゴールデンウィーク中に会いに行くこととなってはいるが、電話番号とか知らないし、連絡の取りようがないしな。
最も、いくら電話番号知ってたからといって、国際電話となるわけだから、相当の通話料がかかる。
つまり、俺から電話することはないって話だ。
「今はこの扉をいつ開けるかに問題があるんだよな」
今や開かずの扉となりそうな、この扉。
はたして俺は、どのタイミングでこの扉を開けばいいのだろうか。
「……バカやってないで、とっとと入ろう」
俺は、目の前で突っ立ってるだけでもあれなので、とりあえず教室に入ることにした。
ガラッという音がして、教室の扉はいとも簡単に開く。
そして、ほぼ同時に聞こえてきたのは……。
「瞬一!」
「瞬一君!」
俺に近づいてくる、二人分の足音。
葵と春香の二人か……。
後ろからは、笑顔で大和も近づいてくる。
……帰ってきたんだな、俺。
「瞬一~!!」
「おう二人とも。元気だった……かぁ!?」
突然、葵が俺の胸に飛び込んできた。
いきなり何なんだよ、葵……。
「むぅ……」
ちょっと?
何か、一之瀬が若干顔を赤くして睨んでくるんですけど!?
いやいや、なかなかこの顔も可愛い……じゃなくて!
「おはよう、瞬一」
そんな中、涼しげに挨拶してきたのは、大和だ。
相変わらず爽やかな顔してやがるぜ。
「おはよう、大和……んで、そろそろ離れてくれないか?葵」
「嫌だ!今まで会えなかった分だけ、今日は甘える!」
「あのな……」
俺が入院していたのは、日本政府の建物がある場所から近い位置にある場所に建っている病院だった。
学校からは割りと遠い所に建っている為、見舞いに来る人など殆んど見当たらなかった。
つまり、実質入院してから一週間は、本当にクラスメートとの関わりはなかったということになる。
「ったく……俺がいない間も元気でやってたか?」
誰に聞くのでもなく、俺はそう言う言葉を発する。
「まぁね……学校破りは来たけど」
「学校破り……」
どんな奴だったんだろ、そいつ。
顔だけでも見たかったなぁ。
「実はその学校破りと言うのが……大和君の昔馴染みだったそうです」
「マジかよ!?今度俺にも紹介してくれよ!」
「別にいいよ。彼が大丈夫だって言ったらだけど」
兎も角、俺の日常がここから始まるんだな。
こうして、クラスのみんなと……俺の友達との楽しい毎日が。
「そう言えば……俺がいない内に委員会とか決めてたんだよな?」
「そうだね」
「俺……何委員になったんだ?」
これは割りと重要なことだ。
学級委員とかはマジで面倒だから勘弁したい。
「確か……学級委員だったと思います」
「……マジかよ!?」
一番なりたくない職に選ばれた!?
……ああ、この一年間、ある意味不幸だ。
「……女子の方は?」
「確か……北条真理亜さんだったと思うよ」
「北条……誰だそれ?」
分からないな。
「一年から学級委員を務めている、元一年S組の生徒だよ」
「成る程……」
覚えておいた方がいいのだろうか?
当たり前か、学級委員として仕事してくわけだからな。
「あ~そう言えば、今日学級委員の集まりだよ」
「……マジかよ」
ああ……退院して初日から、何て不幸だ……。