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Magicians Circle  作者: ransu521
学校破り編
38/309

誤解が解けて

Side大和


「ここなら誰の邪魔も入らない」

「……」


そこは、周りにほとんど人の気配が見当たらないような、空き教室だった。

ここなら、内緒話をするのにもってこいの場所だ。

……当の森谷自身は、かなり嫌がっているみたいだけど。


「……それじゃあ、話すよ?」

「……」


話は聞く見たいだ。

僕と会話する気はないみたいだけど。


「……あの日、君があいつから何を聞いたのかは知らない。けど、僕が駆け付けた時には、もう君の両親は……殺されていた」

「……!!」


少し反応があった。


「風魔術を使って殺されていた……それに、犯人と思われる後ろ姿も見た。だから僕は、その犯人の正体を掴むために、そいつを追った」


僕はあの日、確かにそいつのことを追った。


「……そして、その男の顔を、見た」

「……それで、どうだったんだ?」

「何が?」


ここにきて、初めて森谷が口を開く。


「その男は、誰だったんだ?」

「……君に、僕が君の両親を殺したんだと告げた男……クリエイターだ」

「!!」


クリエイター。

そう、この男こそが、森谷の両親を殺した張本人。

でも……何故森谷の両親が殺されたのか。

そこまでは、まだ解明されていない。


「……でも、どうして俺の両親は、そいつに」「分からない……もしかしたら、森谷の両親は、クリエイターのことに関する何かを知りすぎたのかもしれない。それが森谷の殺された理由なのだとしたら……僕はあいつを……クリエイターを許す気はない」

「……そうか」


森谷は一言、それだけを呟く。

……真実を知ってなお、こんな反応だ。

まだ、僕のことを信用していないのだろうか?


「……あれから、あの出来事から、僕達は変わってしまった……」

「……俺はお前と口を利かないようになってしまったっけかな」


昔を思い出すかのように、僕と森谷は語る。

……懐かしい、中学の時の話。

そして、決別する羽目となった、中学の時の話。


「……まだ、大和はあそこに?」

「……うん、まだ僕は、あそこにいるよ」

「……そっか」


森谷が言う『あそこ』。

今は語ることが出来ないが……いずれその場所については語る時が来るだろう。

だから、それまで待っていて欲しい。


「……誤解は、これで解けたかな?」

「……済まなかった。今まで俺は、お前のことを勘違いしていたみたいだ」

「分かってくれたのなら、僕はいいよ」


森谷とは、昔のような……あの時のような気軽な関係でありたい。

かつて一緒にいろんな場所を回った。

かつて一緒に様々なことをした。

そんな関係に、僕は戻りたいだけなんだ。

そして……すべてのことに決着を。










僕達の過去に、決着を。










「……それじゃあ、俺はそろそろ帰ることにする」

「そっか。学校に帰らなくちゃならないもんね」

「まぁ、最近学校には行ってないけどな」

「行ってないって……どのくらい?」

「……もう一週間になる」


一週間!?

さすがにそれは長すぎると思うけど……。


「それは長いと思うよ……」

「だよな……だから明日は、学校に行こうと思ってる」

「それがいいよ……あ、昔の仲間に会った時は、よろしくね」

「ああ」


そして森谷は、扉に手を触れた。

その扉を開く前に、


「……なぁ、大和」

「何?」


森谷は一言、こう告げた。


「また……俺達、昔の関係に戻れるよな?」

「……もちろんだよ。だって僕達は、昔からの友達じゃないか」

「……ありがとう、大和。それじゃあ俺、行くよ」

「うん。またいつか会おうね」

「ああ」


そして森谷は、扉を開き、去って行った。


「……クリエイター。そういえば、瞬一と買い物に行ったあの日に聞いた男の声も、クリエイターの声にそっくりだったよな気がしたんだけど……気のせいか」


多分、あれは他人の空似だったのだろう。

この疑問から思考を切り離し。

僕も、自分の教室に戻る為に、その部屋を出た。











これにて、『学校破り』編は終わりです。

え?短い?

いいえ、仕様です。

……次回からは、『秘薬探し』編が始まります。

そして、瞬一やっと帰ってきます!!

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