クラス分け試験
「……なんか、騒がしいな」
学校に来てみるなり、何やら生徒同士で話し合っている光景が見えた。
……本当に今日、何かあったっけかな?
「何寝ぼけたような顔してんだよ、瞬一!」
「ん?」
背後から声がして、そして。
バン!と背中を叩かれる音が体に響いた。
「いっつ!お前何すんだよ……」
「いやぁ、瞬一が今日の日のことを忘れているご様子だったから、教えてやろうと思ってさ」
あのな……。
悔しいが、今日が何の日か分からないのは事実だ。
なので、俺はこの際コイツに聞くことにした。
『コイツ』というのは、今目の前にいる奴のことであり。
中学の時からの腐れ縁というか、同級生という立場にいると言ったら正しいだろうか。
短くて茶色の髪、黒色の瞳、俺より少し小さい位の身長、そして、十字架のネックレス。
このネックレスは、親からのプレゼントなのだとか。
名前を、『宮澤晴信』という。
「それじゃあ晴信……今日が何の日なのか教えてくれないか?」
「お前本当に忘れてたのな……んで、今日が何の日かと言いますと」
そこでわざとらしく一拍置く晴信。
半ば殴ってやろうかと考えていたその瞬間に。
タイミングよく晴信が答えた。
「今日はクラス分け試験の日だぞ。一年前のこの日にもやったじゃないか」
「あ~そういえばそんな行事もあったっけか」
行事……と言うか、なんていえばいいだろうか?
まぁいいや、とりあえず今日は始業式。
各学期の始業式・一番始まりの入学式に行われる、クラス分け試験。
俺は毎回毎回クラスはBであった。
今年も恐らく、Bで収まるんだろうな。
「お?奇遇だな。俺もBで収まる気がするぜ」
「お前と一緒のクラスになるのだけはお断りだな……思い切ってS目指すかな」
「おいおい……いきなりそれはないんじゃないの?」
晴信がそう言うのも無理はない。
Sというと、この学校において最高ランクに値するからだ。
ちなみにこの学校では、上から順番にランク分けしていくと、S,A,B,C,D,E,F,Gの順番
となる。
「うるさいな。何事も挑戦だって言うだろ?」
「いや、無茶だろ。必ずお前、どこかでヘマするし」
「今日の為上級魔法を習得してるから、大丈夫だ」
「……さっきまでクラス分け試験があることすら知らなかったくせに。ま、ともかく闘技場へ行くぞ」
闘技場とは……簡単に言ってしまえば、体育館みたいなところだ。
ただ、魔術を使う授業をここで行うため、そのような名前が付けられたのである。
その時。
ドン!という衝撃音と共に、誰かと体がぶつかった。
「あ、すまん……」
「……触んなよ」
「!!」
少年は、黒髪で黒い瞳。
身長は、俺とたいして変わらないだろうか。
ただその瞳は……それだけで人を凍りつかせるにはちょうど良かった。
「……何だあいつ。あんな奴、この学校にいたか?」
「ああ……去年Sクラスにいた、由雪迅って奴だ……なんでも、ぶっちぎりの成績で
Sクラスに入ったらしい……けど、周りと関わることを極端に嫌う奴だってさ」
「ふ~ん……」
由雪迅、か……。
その名前、よく覚えておくとするか。
まだまだ始まったばかりですが、これからもどうかよろしくお願いします。