表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Magicians Circle  作者: ransu521
Last episode4 光の器、闇の暴走
291/309

Last episode 33

「よ……吉沢先生?どうして……」


信じられないという表情を浮かべる一同。

だが、そんな表情を浮かべることを予測していたらしい茜は、


「……ごめんなさいね、三矢谷君達。私、こっち側の人間なのよ」

「……先生、まさか」


考えられる一つの可能性。

それは、瞬一にとっては、考えたくもなかったこと。

数ある可能性の中から、最も抜き出したくはなかった……可能性。

茜の口から言って欲しかったのだ。

そうではないと、一言言ってもらいたかったのだ。

……だが、茜は、


「……ええ。貴方の思っている通りで合ってるわ。私は、スクリプターに手を貸してるの。言わば……スパイってところね」

「せ……先生……」


呆然としてしまう春香。

春香だけじゃない……織も、真理亜もそうだったのだ。

もちろん瞬一だってそうだった……だがそれ以前に、尋ねたいことがあったのだ。


「……先生、どうして葵を、こんな目に遭わせたのですか?それに……どうしてこの学校に、潜入してきたのですか?」


懇願するようにも似てる言い方で、瞬一は尋ねる。

その表情は……信じたくないという強い意思表示が見受けられた。

茜は答える。


「そうね……強いて言うなら、スクリプターに頼まれたから、かしらね?スパイのことも、細川さんのことも、ね?」

「……それだけで、そんな単純な理由で、葵の力を暴走させたってのかよ」

「しゅ、瞬一君……」


怒りの感情が芽生え始める。

もはやその表情からは……優しい感情など見られることはなかった。


「そうね……それだけの理由で、私は動いたのよ。スクリプターに頼まれたから、私はこうして行動を起こしたのよ。それが私の望みでもあったから、ね」

「ふざけんな!アンタのそんな自己中心的な考え方で、人一人の命を左右するようなことがあってたまるものか!アンタには……アンタには葵がどれだけ苦しんでいるのか分からないのか!!」

「さぁ……どうだかね。そんなことは私には分からないわよ。だって、私は本人じゃないもの」

「くっ……!!」


怒りを茜にぶつける瞬一だが、茜はそれを軽く流してしまう。

まるで眼中にもないと言った感じだ。


「それにね……私はスクリプターに協力しなければならない理由があったのよ」

「理由……?」

「それって……どういうことよ?」


瞬一の代わりに、真理亜が尋ねる。

すると茜は、一旦言葉を詰まらせる素振りを見せたかと思うと、やがて笑顔になり、こう一言だけ告げたのだ。
















「だって……この世界、あるだけ無駄じゃない?どうせなら最後は派手に壊しちゃった方が、面白味もあって楽しそうでしょ?」















「テメェ……そんなふざけた理由で、そんなふざけた理由で、人の命弄んでるんじゃねえよ!」

「しゅ、瞬一君!?」

「駄目です!刀を出して吉沢先生を斬ってはいけません!」

「アンタ……人殺しになりたいの!?」


静止の声が、瞬一の耳に入ってくる。

だが、瞬一の耳はそれらをすべて、意図的に聞き流した。

聞こえてくる音など、すべて雑音。

感じられるのは、異常なまでの狂気、怒り、殺意。


「殺してやる……殺してやる!!」


瞬一の右手には、いつの間にか刀が握られていた。

それを握る力は、今までで一番強い。

敵は明確だ。

やることはただ一つ。

……その刃を以て、ただ茜を突き刺せばよいのだ。


「死ねぇえええええええええええええええええええ!!!!」


これ以上ないほどの叫び声を、瞬一はあげていた。

だが、そんな瞬一の状態にも茜は目を配ることもなく、


「……やりなさい、細川葵だてんし。その力を使って……この世界にあるすべてを破壊し尽くしなさい」

「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」


葵は、叫び声をあげながら、瞬一に突っ込んで行く。

だが、怒りに狂った瞬一が、そんな葵に気付く筈もない。

そして、瞬一は、


「ガハッ……!」


葵によって作り出されたナイフによって、左肩を斬られた。













評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ