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Magicians Circle  作者: ransu521
Last episode4 光の器、闇の暴走
289/309

Last episode 31

「吉沢先生から、闇の力が?」

「ああ。わずかながら、その兆候が見られた」


大和は、事実を述べるようにただそう言った。

だがここで、瞬一達は疑問を抱く。


「何で吉沢先生から、闇の力が……?」

「多分、吉沢先生はこの学校にやってきたスパイか何かなんだと思うよ。それで、彼女自身も闇の力を得てるんだと思う」

「け、けどよ……小山先輩の時には、薬を作ってくれたんだぜ?」

「……そのことなんだけど、最近気になって調べてみたんだ」


信じられないという表情を浮かべる瞬一。

瞬一はそこで、千里のアンジック病の件を出してみたが、その時に大和が口を挟む。


「あのアンジック病という病気だけどね……薬なんてものは最初から実在しなかった」

「「「「え?!」」」」


驚く瞬一達。

無理もないだろう。

なぜなら、その薬の材料を、彼らは採りに行っているのだから。


「け、けど、医学界でも確率は低いながらも治す方法はあるって……」

「吉沢先生は、そもそも医者じゃない。だから医学界にいる人間でもないんだ」

「彼女はあくまで一般人だ。学校医というのも、恐らく身分偽装によって得た称号だろう」

「そ、そんな……」


ショックを隠しきれない織。

だが、真理亜はそれ以上に何かに気づく。


「それじゃあ……細川さんは大丈夫なのかしら?」

「「「!!」」」


気づいたが、瞬一達はどうすることも出来なかった。

何故なら。

ガラッと、扉が開く音がする。


「……あ、みんな……?」

「あ、葵!?」


胸を押さえながら、葵は教室の中に入ってきた。

そんな葵の様子を見て、瞬一達はひどく狼狽する。


「い、一体どうしたってんだよ葵。何でそんなに苦しそうにしてんだよ!?」

「わ、分からない、の……吉沢先生からもらった薬を飲んだら……何だか、胸が……体全体が熱くなってきて……」


葵は、息も絶え絶えにそんなことを話す。

そして大和は、気になる単語を耳にした。


「吉沢先生、から?」

「うん……吉沢先生からもらった、黒い薬を飲んだら……」

「……恐らく闇の力がこめられた薬を飲まされたんだ。多分すぐに収まると思うから、それまで我慢を……」


大和が葵にそう言おうとした。

だが、その前に葵が訴える。


「もう……駄目……体の奥から……力が溢れ出てきそうで……耐えられ、ない……」

「……この状況、まさか」

「……大地?」


何かに気づいた様子の大地に、瞬一が尋ねる。

瞬一は、葵の身に何が起こっているのか、一体全体把握出来てなかったのだ。

そんな様子の瞬一に、大地は言った。


「今すぐ細川をこの教室から学校の外に転移させろ」

「なっ!?何で……?」

「いいから早く!」

「!?」


怒鳴られて、瞬一は慌ててその呪文を詠唱する。

葵自身も、他の人達も、何故大地がそんなことを命令したのか理解出来ずにいた。

やがて瞬一が詠唱を終えて、葵はその場から姿を消す。


「とりあえず闘技場に転移させといたぞ!」

「じゃあ今から闘技場に向かうぞ!時間がない……早くしないと、力が暴走しちまう!」

「力?何のことだよ!」


焦っているのか。

瞬一は大地の言っていることをうまく理解できずにいた。

織や春香、真理亜も同じだ。

そんな四人に、大和は言った。


「葵の身体に眠る、光の器(てんし)の力が暴走し始めてるんだ!」

「な、何!?」

「今すぐ瞬一達は葵のところへ……闘技場へ向かってくれ!僕と大地は、晴信や啓介を呼んでくる!」

「ああ、分かった!!」


教室から慌てて出て行く瞬一達。

その表情には、焦りが見えていた。


「待っててくれ、葵……絶対に助けに行くから」


瞬一は、廊下を走りながら、自然とそう呟いていた。













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