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Magicians Circle  作者: ransu521
王女来日編
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作戦決行

「……時間だ」

「はい」


校長に言われて、俺はソファーから立ちあがる。

アイミーもまた同時に立ち上がり、俺の方を一度だけ見た。

俺はそれに対し、笑顔を見せるだけ。

大丈夫だ、俺を信じろ。

するとアイミーは、顔を若干赤くして、首を縦に頷かせた。

……赤くなる要素はどこかにあっただろうか?


「車も来たみたいだ。早く行くとしよう」

「……はい」


校長は、窓から外を覗いて、車があることを確認する。

俺も、校長の隣に立ち、車を確認する。

その車は、黒を基本とした高級車。

あの日、俺が初めてアイミーと出会った日に、アイミーが乗って帰った車と同じ車だ。


「あれに、俺なんかが……」

「そうだ。君は後ろの席に座って、後ろからの攻撃から王女を守るのだ」

「はい」


相手の攻撃が、どこから来るのか分からない。

……けど、何としても、アイミーに傷一つつけたくない。

何せ会合を行う前だ。

こんなに美しい顔に、傷一つつけさせるわけにもいかないだろう。


「では……行くぞ」

「「はい!」」


俺とアイミーの声が重なる。

それを肯定の意と確かめると、校長は前を歩きだす。

俺とアイミーは、そんな校長の後をついて、車がある場所へと向かった。










「作戦決行の時間ですね、石塚校長」

「うむ。運転は私がやるとして、シュライナーと言ったな……君は助手席に座り、横からの攻撃に対応してもらいたい」

「はっ」

「そして三矢谷瞬一……君は後ろの席に座り、背後からの攻撃に対応するのだ」

「はい!」


改めて作戦の内容を確認する俺達。

言われた通りの席に座り、ある程度の準備をする。

……剣は必要ないな。

背後からの攻撃に対応するには、遠距離魔術を使う他ないな。

つまり、ライトニングやスパークの方を多用するしかないか。


「……では、参るぞ」


校長が、キーを差し込んで、エンジンをつける。

ブロロロロロという音を立てて、そんなに時間がたたないうちにエンジンはついた。

それを確認すると、校長はハンドルを少し回して、道に出る。


「……うまいですね、校長先生」

「それはまあ、私とて運転免許を持っている身だからな。これくらい当然のことだ」


いくら校長と言っても、老人だからな……。

もう少し戸惑うものかと思ってた。


「何か?」

「い、いえ、何でも……」


一瞬だけ校長が後ろを振り向いたのだが、その目がクラス分け試験の時にも見せた、あの狩人の目になっていた。

直視しては殺されてしまうような……そんな目だった。

この人、ひょっとしたら若い時に、様々な修羅場を掻い潜ってきた人なのではないだろうか?

だとしたら、これからもあまり逆らわない方がよさそうだな……。


「この辺は敵が現れることはないだろう……」

「問題は大通りに出てから、ですね」

「うむ。そこで大きな戦闘になると、交通面でもデメリットが発生するからな」


俺と校長は、そんなことを話していた。

そして俺達は、もうすぐその大通りに出ようとしている。


「……」


その時。

隣に座っているアイミーの顔をふと見ると、不安の色が見え隠れしていた。

無理もないだろう……何の武器も持たずに敵地に赴くような感じなのだから。


「大丈夫だ、アイミー……必ず、お前は俺が守る」

「シュンイチ……」


俺がそう言ってやると、アイミーは不安の色がなくなったかのような表情で、俺に言葉を返してきた。


「……」


そんな俺達のやり取りを不満そうな顔をして見ているシュライナーを見た時は、正直どんな反応をとろうかと迷ってしまい、何の反応もとらなかった。


「覚悟はいいかな?」


そこに、校長からの最終確認の言葉が降り注ぐ。

俺・アイミー・シュライナーの三人は、首を縦に頷かせた。


「それと……これを持っておけ」

「え?……うわっと!」


そう言って、何処から取り出したかは知らないが、左手で俺とシュライナーにとある物投げてきた。

受け取った瞬間に、重みが加わる。


「それは魔銃だ……己の魔力を弾として撃つのだ……自前の魔術だけでは耐えられなくなった場合には、これを使うがよい」

「分かりました」

「はい」


俺とシュライナーは、そう返事を返す。

……それにしても、魔銃か。

初めて触ったな。


「いよいよだ……」

「「「……」」」


気を引き締める。

俺達三人の表情―――校長も含めた四人の表情は、引き締まった物となっていた。

やがて黒い車は、決戦の舞台の一歩手前―――即ち日本政府に行くまでの大通りに出た。
















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