ランカスト家の憂鬱 ~中編~
「な、何だ!?」
エーネルは、突如背後より襲いかかってきた何者かの攻撃を避けた後に、そう尋ねました。
すると、その人物は、
「ランカスト家王女エルマー・ランカストを我が妃として迎え入れる為……貴様の命をもらおうぞ!」
「くっ、スネイプ家のものか……私はこんなところで死ぬわけにはいかないのだ。悪いが、全力でお相手致す!」
腰に吊るしていた剣を抜き、エーネルはオドワルドの攻撃を弾き返します。
負けずとオドワルドも攻撃を何発か繰り出します。
ところが、そのすべてエーネルには当たらないのです。
「くっ……どうしてだ。どうして私の攻撃が当たらない!」
オドワルドは混乱しています。
エーネルは、ここぞと言う勢いで、オドワルドの体を突き刺そうとしました。
けれど、その時です。
「王子!すぐに決闘をお止めになってください!!」
両者の中に、使用人であるエミーが割って入ります。
エーネルとオドワルドは、突然の来訪者に驚きましたが、しかし剣を鞘の中に収めるつもりはありません。
エーネルにエミーが言います。
「殿下のご命令により……我が国の軍がランカスト家に攻め入ったご様子です」
「な、なんだと!?」
エーネルはかなり驚きました。
それはオドワルドも同じことでした。
何故なら、ランカスト家には愛するエルマーがいるからです。
「何故父上はそのようなご命令を!?」
「理由は定かではありません……ですが、このままですとエルマー様が……急いで支度を!」
「分かった!!」
「わ、私も行こう!!」
「助かる!」
エーネルとオドワルドは、急いでランカスト家に向かいます。
馬を走らせること、およそ数時間。
隣国であるランカスト家の城に来ることが出来ました。
けど、そこはすでにネルディング家の旗でたくさんでした。
「どけ!私がここを通ろうぞ!」
「お、王子!……命はご無事でしたのですか?」
「命?何のことだ!」
「殿下から、王子の命が危ぶまれている為、ランカスト家を討つとのご命令が……」
「何だと!?オドワルドはスネイプ家の人間だぞ!……そうか、勘違いか」
そこでエーネルは、自らの父、アーサーが勘違いをしていることに気づきました。
エーネルは急いで城内へと向かいます。
自らの愛する、エルマーを助ける為に。
「貴様!ネルディング家の王子、エーネルだな!我が王の城に攻め入るとは、何たる暴挙!!」
「くっ!ランカスト軍の先鋭部隊長か!今は貴殿を相手にしている暇はないというのに!」
「ならば、ここは私に任せよ!」
言うや否や、オドワルドが剣を抜き、相手をします。
そして、エーネルに向かってこう言い放ちます。
「私がここで時間を稼ぐ!その間に、早くエルマーを安全な場所へ!!」
「ああ、感謝する!!」
戦っているオドワルドを置いていくことに少しの負い目を感じながらも、エーネルはエルマーの元へと向かいます。
そしてエーネルは、エルマーの元へたどり着いたのです。
「エルマー!」
扉が勢いよく開かれます。
すると、今にも自らの国の兵士が、エルマーを切り殺そうとしている所でした。
「やめろ!この者に剣を振るうでない!!」
エーネルはその剣を受けとめ、兵士をなぎ払います。
「え、エーネル……様?」
「なっ!?お、王子!そこをどいてください!この者は、反逆者ランカスト家の者ですぞ!」
「ランカスト家は今回の件では何の関係性もない!だから早くこの場から退け!」
「は、はっ!!」
急いで兵士は部屋から出て行きます。
残ったのは、エーネルとエルマーの二人のみです。
「エーネル様……どうしてここへ?」
「今回の件は私も悪かったのだ……すまない」
エーネルは一礼します。
そして、
「エルマー……私と共に、辺境の地で暮らさないか?」
「へ?」
エルマーに、そう提案をしたのでした。
結局三部構成となってしまいました。
文化祭も後何話かで終了となります。




